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2005年05月29日

セミブローグ

たまたま小金が入る機会があったので、ロイドで茶のセミブローグを買った。

ロイドだからさほど高価なものではないが、価格の割にはよい仕上げで美しいので、靴をテーブルの上に置いて眺めながら、酒を呑んでみた。

変態だろうか。女の沓を眺めながら悦に入っているのではないので大丈夫かと思うが。

いや、男の靴を眺めているほうが変態か。

2005年05月15日

NANA(第1巻~第12巻)

矢沢あい(集英社)。

話題の少女漫画を、遅ればせながら読んでみた。

田舎出の冴えない女の子が、才能に溢れたミュージシャンと知り合い、それをきっかけにロックスターと深い仲になる。そういう、あり得ないようであり得るかもしれない話を「あり得るかもしれない」ほうに少しだけ傾けた塩梅と、モチーフの採り方を考えると、売れたのには納得。人物造型は、むしろ意外なほどに、少女漫画の鋳型に忠実と思ったが、その点も安心して読まれる所以か。対象読者層の気持ちになって読んでみると、確かに大小の夢に手が届きそうな気分になってくる。そういう仕掛けに満ち溢れた作品と思う。

絵もそこそこ描き込んであるが、絵の持つ情報量よりも、モノローグを含む台詞が圧倒的に多い(少なくとも、読後は台詞のほうが印象に残る)。その点、個人的には好みではないが、絵を読み解く訓練を積んでいなくても共感できる、という意味では、こういうやり方のほうが読者をつかむという点では正解か。

第12巻までで累計2200万部という数字が妥当かどうかは、まだよくわからないが、途中からは「売れているから余計売れた」ということではないかなあと思った(その分水嶺がどれくらいかも不明だが)。売れるということは大事である。

2005年05月11日

禁戯 かがり淫法帳

睦月影郎(廣済堂文庫)。

目に付いた時代小説を片っ端から読み漁るのが最近の愉しみなのだが、これは時代小説というより、ポルノであった(読み始めてから気が付いたが、シリーズ物で、すでに先に三冊刊行されていた)。

それもかなりストレートなポルノなので、どちらかというと変態に慣れ親しんだわたしにとしては(小説や映画に関して、ですがね)、却ってどきどきさせられた。それに、男の性の情けなさがよく描かれていて、笑える。昼飯喰いながら読んでいて、頬がゆるんで困ったりした。

#余談ですが、ポルノを読みながら食事をすると、食事が進みません。これを応用して、ポルノ・ダイエットを提唱したら流行るだろうか。だめだろうなあ。

また、昼食後にこの本を持ってエレベーターに乗ったら、偶々一緒になった仕事場の韓国人の女の子に「青木さんはなにを読んでいるんですか?」と尋かれて、やはり非常に困った。

まあ、武士の時代にしかあり得ない人間関係を性的興奮と笑いにうまくつなげているあたり、決して新奇な趣向はないが、この手の小説としてはかなりきちんと作られていて、それなりに面白くはあった。

「淫法帳」ということろが、山田風太郎ファンとしてはそそられたんだが、その点については、星ひとつ半、かな? それなりに馬鹿ではあるけれど、奇想度は低し。

2005年05月10日

大川わたり

山本一力(祥伝社文庫)。

よんどころない事情で、大川(隅田川)を深川のほうに渡れなくなった若い大工職人の噺。大川を渡れない、というしばりを設けるだけで、いろいろな人の動きや話の展開が生じるという構造が面白い。

やくざ、代貸、大工の親方、呉服屋一同、主人公が世話になる剣術指南、そして3回しか登場しない冷や水売り(冬は汁粉売り)など、登場人物はいずれも善も悪も小ざっぱりとしていて、出方にも無駄がない。徒な情緒の描写をできるだけ押さえて、かつ泣かせるところは泣かせるところ、読んでいてとても心地よかった。渋い噺家の「芝浜」を聴いたかのような読後感。

あと、展開が予想できるどんでん返しも、この噺の中では、その大雑把さが却って爽やかな感じがした。この作家のものは、直木賞を取った「あかね雲」を読んでいないのだが、「損料屋喜八郎始末控え」(文春文庫)もシンプルな文体と構造の中ににじみ出る情感が面白かったし、きちんと追いかけてみたいと思う。

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