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2005年09月25日

チャーリーとチョコレート工場

ヘレナ・ボナム=カーター(チャーリーの母親役)が光っていたと思う。前半、チャーリーの誕生日にチョコレートを買ってきたときの表情だけで泣いてしまった。貧乏の中のなんともいえない諦念と優しさと幸福感がにじみ出てくるような顔。

苦味(毒)と甘さのバランスは、甘さがやや勝っているかなと途中思ったものの、映画のテーマを考えると、最終的にはちょうどよい按配だったと思う。いい映画でした。

2005年09月24日

カネが邪魔でしょうがない

なんてことをいってみたいが、これは書籍の題名。 紀田順一郎(新潮選書)。

「明治大正・成金列伝」である。この時代の成金の量的パワーはすごい。何も考えずに金を使いまくった結果、いろいろな方面で質的な変化も起している、その量が質に影響を与えるところが面白い。

いや本人達はいろいろ考えてのことだろうが、端から見ると「金を持っているが故のその場の思い付き」にしか思えないのである。貧乏人がくよくよしてもしょうがねえぞ、という妙な清々しささえ感じる。

ちなみに日本資本主義の父と呼ばれ倫理家と呼ばれる渋沢栄一は、本書に登場する

-鹿島清兵衛(酒問屋・写真道楽)
-鈴木久五郎(相場成金・孫文に革命資金十円を提供)
-大倉喜八郎(武器商人のちに政府の御用商人・現東京経済大学の前身を設立)
-岩谷松平(ご存知岩谷天狗の煙草成金・お国のために全資産を二束三文で売却。子供53人)
-雨宮敬次郎(投機家から政商へ。天下の糸平の盟友・生家のすぐ裏に現在の中央本線を敷設)
-木村荘平(ご存知牛鍋屋いろは大王・子供30人)
-山本唯三郎(貿易成金・当時の朝鮮で虎狩を行い狩った虎を試食して顰蹙を買う)

などなどの成金連中とはまた意味の異なる存在だが、しかし本書のどの章にも必ず一度は顔を出して上に挙げた成金連中と絡みがあるところは、やはり明治という時代の面白さか。

まあ、ちょいちょい出て来るその描き方がちょっとくすっとさせる道化役のような登場のさせ方は、本書の作者のお遊びという気もするが。

2005年09月23日

Omar Sosa(青山ブルーノートにて)

残念ながらパーカッションのアンガ・ディアスがとつぜんの不参加。オマール・ソーサのピアノトリオ+ピー・ウィー・エリスという格好になった。

で、トリオ登場時の呪術音楽めいたパーカッション・セッション(パーカッションのひとつはワインクーラー!)に始まり、ムビラを使ったフリーっぽいセッション、そしてベースのチルド・トマスがムビラからベースに持ち替えたとたん溢れ出るグルーブ、ピー・ウィー登場、そこから先は、酌めども尽きぬ酒泉のようなセッションであった。養老の滝のようだといってもよい。もう、一曲の中でジャズからラテンからファンクから、果てはエレクトロニクス、ディスコ、ジャングル(? ソウル・ジャズくらいかな)、どんどん湧き出てくる。なんて自由なんだろうか。しかももちろん曲芸的にではなく、それが全部音楽としてツボにはまっているのであった。

ピー・ウィーも、JBホーンズなどでは吹かないようなプレイの幅を見せていた。ぶつぶつしたラップも心地よい。大枠ではかっちりした構成があるだろう中で、ピー・ウィーと他のメンバーがふざけ合うようなところなども楽しいショーだった。ゲスト:ピー・ウィーではなく、ひとつのバンドである。とにかくよかったー。

2005年09月22日

Dr. John(青山ブルーノートにて)

大変楽しかった。もうそれに尽きますな。オルガンとピアノに挟まれたDr. Johnが真正面向きで右手でオルガン左手でピアノを弾く姿が微笑ましくかっこよかった。

。「I've been hoodoo」など昔の曲も演った。容れ物(演奏)次第でちゃんと今様に新鮮に聞こえるというのはすごいことだと思う。Dr. Johnに限ったことではないけれど。モノを作る上での永遠のテーマだ。

バンドのTHE LOWER 911も、それ単体のライブアクトを観てみたい。3名(ギター、ベース、ドラム)とも「N'Awlinz DIS DAT OR D'UDDA」の参加ミュージシャンだが、このライブだけのユニットなのだろうか。まだ全然情報サーチしてないけど、なにか知っている方がいたら、ここのリプライで教えていただけると嬉しいなあ。

で、大変楽しかったので、ついお勘定を忘れて帰りました。伝票代わりの番号札を自宅に持ち帰っていた。呑み逃げ(犯罪)である。翌日ちゃんと電話でごめんなさいして、今日オマール・ソーサ観にいくついでに支払う予定。

2005年09月19日

失踪日記

吾妻ひでお (イースト・プレス)。

刊行から半年遅れでようやく単行本を読んだ。

すごいなー。このすごさは「夜の1」を「夜の魚」(大田出版)で読んだときに、もちろん感じていたが、まとめて読むとなおすごい。背景を知って読んでも吾妻ひでおのギャグ漫画、として読めてしまうところは、ほんとすごい。

「コスプレ奥様」とか「マニアックるいちゃん」があんな状態で描かれていたなんて知っただけでもすごいなあと思う。「すごい」ばかりですみませんが。

2005年09月12日

秋刀魚の味

仕事場の近所で、晩飯に生ビールと200円の秋刀魚塩焼きを3本。変かしら。

というわけで、ちょっと面白かった秋刀魚の味リンク。

秋刀魚の味

ウイスキーと映画の世界 ウイスキー映画大全 『秋刀魚の味』

らくちんまんが・フライ・ムジーク「秋刀魚の味」

小津安二郎 ミュージック・アンソロジー / 映画主題歌|エキサイトミュージック(音楽)

シネシャモ19「秋刀魚の味」

『監督 小津安二郎』〈増補決定版〉はどのようにして書かれたか

黒焦げ美人

岩井志麻子(文春文庫)。

大正初年の岡山を舞台に、耳だけ残した焼死体となった美人の姉を巡る、その妹と姉の取り巻きの高等遊民等のモノローグで綴られる物語だが、変な小説だった。どう対応していいのかよくわからない。面白くなかったというわけではないが、評、感想の書きようが見つからない。

本人も変な人のようだ。

http://www.iwaishimako.com/index.html

「本人がエロいらしい」というのが、とりあえずの接点になるか(そうか?)。

2005年09月11日

ブリガドーン

水木しげる作品(「妖怪大戦争」や「朧車」などだっけ)でもお馴染みのブリガドーンだが、ハリウッド・ミュージカルにもなっていた(1954年MGM。ビンセント・ミネリ監督作品)。というか、この映画のモチーフを水木大先生が自分の作品に取り入れたらしい(ただし裏は取っていない)。

「Almost like being in love」というジャズのスタンダードのことを調べていて、この曲の初出であるこの映画に辿り着いた次第だが、霧に隠れていて100年に1日しか姿を表さないスコットランド高地の伝説の村「ブリガドーン」を偶然奇跡的に訪れたニューヨーカー(ジーン・ケリー!)が村の娘と恋に落ち、その愛の深さで再び村を覆った霧を晴らしてしまうというご都合主義的展開が素晴らしい。

なおこの場合、「ご都合主義」とは褒め言葉です。来るぞ来るぞと思ったところに真直ぐに来てくれる快感、とでもいいましょうか。

自分達は通りすがりの他所ものなのに踊ってもいいのかなあ、という感じで控えめに始まるジーン・ケリーのタップが面白かった。あと、スタジオでの撮影と思うが、光と影の表現がかなり洗練されている絵造りも面白く美しい。TVの画面で観ていると、レンブラントの絵のような趣のシーンも多かったが、フィルムで観るとどうなのだろうか。もう映画館で観ることは叶わないのだよなあ。

2005年09月09日

あかね雲

山本一力(文春文庫)。

山本一力の出世作(第126回直木賞受賞)。

決して人が悪いわけではないがお互いうまく行かない家族、という地味なテーマを地味なまま面白く読ませてもらえた。多少、ご都合主義的な展開はあったけれど。

冒頭の、京から出てきた豆腐職人と豆腐職人が住むことになった長屋住人(ともに主な役どころ)の会話がいきなり泣かせる。冒頭のそのシーンで強調されているように、基本的にはみんないい人なのだが、しかしなぜかうまく行かない、というあたりのリアリティは、たくさんの人に感じてほしいものと思う。そうすれば、世の中にもう少し小さい平和が増えるはずだ。

そういう地味なテーマを伝えるのに、小説はよい箱だと思う。映画などでは役者の演技力が却って伝達すべきことの邪魔になるからだが(登場人物にある程度の匿名性、というか「どんな人物か想像できる余地」が必要と思う)、その意味で、作者はよくぞ小説家になった、という気がする。

2005年09月07日

日本文学盛衰史

高橋源一郎(講談社文庫)。

うーん、明治の文豪が現代に生きていたらどうしたかを、あくまでも明治を舞台に描く、という前半部の試みはとても面白かったのだが。

また、漱石「こころ」の謎解き(Who is K?)もスリリングだったのだが、全体に、読み進むにつれてどんどん散漫になってきて、興が殺がれてしまった。

山田風太郎「人間臨終図鑑」めいた最終章とその結びに至る話の運びに、この長大な小説をどこかに収斂させようという意図は読めたが、よく理解できず。物語の収斂のさせ方がこの作家の魅力だったと勝手に思っているのだが(初期にそう思っただけか)、その辺、作家が書けなくなったのかわたしが読めなくなったのか、よくわからない。

あと「日本文学盛衰史」と謳うなら大正、昭和初期くらいまでは進めてほしかったような気もする(芥川龍之介、野間宏、日夏耿之介がちょっと出て来るくらい)。

まあでも、658ページもあるので、読んでて面白かった部分のほうがやや多い。援助交際にはまる石川啄木とか。石川啄木は、関川夏央・谷口ジロー「かの蒼空に」などと同様、やはり感情移入しやすいキャラクターになるんだなあ。

Maceo Parker(青山ブルーノートにて)

でっかいゴリラがなぜかサングラスをかけて踊りながら出てきたぞ、と思ったらいきなりサックスを吹き始めた。メイシオだった。

あとはいつもどおり、リアル・ファンク(ちょっとエレガントになってきたような気もしたが)。日本に生まれてその生活圏から出ずにリアル・ファンクに触れることができるのは、とても幸福なことだと思う。明日死んだとしても誰にも悲しんでもらう必要がないくらい幸福である。

でもひとりで1万5000円(入場料込みだが)は呑み過ぎだった。明けて宿酔い。

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