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2008年02月28日

ミーハーながら

エイミー・ワインハウス(「Back to Black」)を聴いてみたが、今のところまだピンと来ない

声質や歌唱法に合わせて、楽曲、アレンジ、音響に古色を施したような感じで、そういうアプローチ自体は好きなんだがなあ。たとえば(傾向は違うが)マデリン・ペルーを聴いてすぐに「もらった!」と思ったような感じが、なぜかしない。

却って現代風な(といってもハウスっぽい)アレンジの曲のほうが面白かったりするのだがな。ただ、それはそれで「すごい」というわけでもないし。

なんか、レゲエやスカも取り入れているが、なぜか「Monkey Man」をもっさりやってたりして、全体にもったいない人なのではないかと思った。プロデューサーが悪いのか?

まあでも、確かに、60年代モータウン風アプローチで「(アル中の)リハビリに行くのはいやなの。ノーノーノー」と明るく唄う「Rehab」は結構面白い。

あと、「Ain't No Mountain High Enough」をかなり大胆にリサイクルした「Tears Dry On Thier Own」という曲は、(そのリサイクル具合が)筒美京平の仕事ではないかと思われるほどの見事さではあった。

声は割と好きだし、もう少し聴いてみたら感想変わるかもしらん。

2008年02月23日

水戸で夕日を追いかけてみた

週末、水戸で遊ぶ。

まずは水戸の友人が手配してくれた小粋な料亭で、東京経由で先に水戸入りしていた西桐画伯と合流。なぜか小股の切れ上がったお姐さんもいて、水戸でお座敷を生業にしているとのことだがこの日はプライベート、でも日本髪で着物、みたいな感じで楽しい。

詳しいことは面倒なので書かないが、このお姐さんが、地元の御歴々が集まるしかつめらしいワイン試飲会に、なにを勘違いしたのか干し芋を一束差し入れしたという話が可笑しかった。で、その干し芋、少しいただく。

続いて、メインイベント? 水戸で唯一のソウルバーだという「Soul in Motion」のパーティに顔を出す。ここではいきなりジンをショットで6~7杯呑んで、大層はしゃいだ気がする。

この店も、「気の置けない赤坂Miracle」みたいな感じでよい。今度また、東京からふらりと呑みに行こうかしら。

その後、西桐画伯が床にペルシャ絨毯の模様を描いた(なんていう仕事だ)というバーでもう一杯。この店は、残念ながら因業大家の所為で、この3月で店仕舞いとのことだった。

で、友人宅で一泊し、朝飯をいただき、昼はめっぽう美味い蕎麦を手繰って、夕方東京着。クルマのバッテリーが上がっていたので、オートバックスみたいな自動車用品店を探していたらとんでもない迷い方をしてしまって途方に暮れたが、水戸から見たら東京は西のほうだよなと思い、夕日を追いかけるように走ってみたら、無事水戸ICに辿り着き帰ってこられた。めでたしめでたし。

しかし、夕べの晩飯は水戸の友人にすっかり世話になり、そしてその友人宅に泊めてもらったのに、結局その友人には一度も会えなかったというのも、なんか可笑しい。というか、いやーお世話になりました。

2008年02月21日

柳の下にいつもどぜうはいない

とか、株を守って兎を待つ、とか、舟に刻みて剣を求む、とか諺にいうけれど、どぜうに関しては、深川・高橋に行けばいつでも美味いのが喰える。

昨日は大阪・岸和田からやってきた西桐画伯が、どぜうが喰いたい、関西にはどぜうはないんや、というので、高橋・伊せ喜にご招待した。画伯の(和歌山・新宮の)後輩だという現代美術家氏と、私の友人も加わり、丸×3+抜き×2+なまず×1。あと鯉こく、ほか。喰った。ビールは皆で都合2ダースくらい呑んだ気がする。

久し振りのどぜうも美味かったが、なまず(多分冬にしかない?)もなかなか。なまず、卵が美味かったなー。

で、葱を割下で煮るとうまい、という話になって、どぜうをさらった鉄鍋に余った割下を敷いて、薬味として卓上に用意された山盛りの葱を次々、器が空になるまで煮て、それを肴にまた呑む。画伯も現代美術家氏も、それぞれの世界では結構すごいような人ではないかとは思うのだが、刻み葱だけ割下で煮て喜んだりしているし、なんというか、バカである。

画伯など、私が紹介した東京の宿の中で、よせばいいのに一番安い上野の(和室しかない、部屋にバストイレなしの)ホテルに泊まり、で、着いた時間に大風呂沸いてないといわれて、わざわざ浅草の蛇骨湯まで風呂入りに行ったと楽しそうにしている。

いやーバカ万歳、なんだか先日の祭りの日々の再来のような空気で楽しい一夜であった。冒頭に掲げた諺も、実はバカを諌めるのではなく、バカ礼賛のような気さえしてくるほどである。

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それから続いて二軒めの山利喜で、赤ワイン二本空いたが、お腹くちくなって煮込みの玉子残してしまったのが心残りではあった。ほんとは平政の煮たのが食べたかったのだが、売り切れで残念。

河鍋暁斎一口情報

4月8日から5月11日まで、京都国立博物館にて、没後120年を記念したかなり大規模かつ体系的な展覧会が催されるとの由。

http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/080408_pre/tokubetsu.html

というわけで、去年に続いてまたこの時期京都かー。なんとか連休は避けたいな。

2008年02月16日

バカラック日本公演

東京国際フォーラムにて。

なぜか司会の女性(実は通訳だった)が、「それではバカラックの素晴らしい世界をお楽しみください」みたいな、なくてもよい挨拶をしたあと、定刻通りにバカラック登場。ピアノでポロンと「When the World Needs Now」を弾き始め、そしてオーケストラを指揮して全部の楽器が鳴り出す。

で、まずは往年のヒット曲メドレー。各曲のおいしいところだけをちょっとずつ聴かせて行く聴かせ方がなんとも粋。どの曲も、もう少し聴いていたい、というところで、さらりと次の曲に移行して行く。なんというか、いろんな種類のうまい刺身の盛り合わせがオードブルに出てきた、といった感じか。

シンガーは3人いて(女×2、男×1)、それぞれリード取ったりコーラスに回ったりしてというところも、飽きさせない。

その後は、80年代の作品を集中してやったり、「At This Time」からバカラックいわく「政治的なアルバムの中で、一番政治的でない」2曲(Go Ask ShakespeareとIn Our Time)を披露したりと、次はなにが出て来るんだ、というワクワク感の中で、演奏は進む。

あと、オランダの歌手トレインチャ(4月に青山Blue Noteに出演するらしい)がゲストで2曲参加(Falling out of LoveとWho'll Speak for Love)。この歌い手もなかなか素晴らしかった。

そしてまだ録音してない、作ったばかりという新曲「For the Children」も披露されたが、そのオーケストレーションがまた素晴らしい。

さらに、「俺も苦労したんだよ」といいつつ、最初期にようやくヒットチャートに入った4曲「Magic Moments」「Story of My Life」「The Blob」「Tower of Strength」まで聴かせてくれたのも嬉しい。個人的には、バカラックがひとりで全楽器を演奏して多重録音したという「The Blob」が生で聴けて感激である。「The Blob」は変といえばすごい変な曲だが、これ(1958年)と「Tower of Strength」(1961年)などは、最初期においてすでにバカラック風味を濃く醸し出していたのだなあと思わせる。

圧巻は映画音楽メドレーで、これは10曲にも及んだ。「Raindrops Keep Falling on My Head」辺りからバカラックも歌い(歌い出しいきなり間違えてたが)、「Alfie」「House is not a Home」のバカラック歌唱で、もう心はどこかに持って行かれてしまう。この辺りで我慢の限界。号泣。「House is not a Home」で終演などだったら、とてもみっともない顔をさらすことになっていた。

#そういえば、「Make It Easy on Yourself」を演らなかったのが残念だったが、これはあんまり泣かせるのも悪いからね、という配慮だったのだろうか。

アンコール3曲中、2曲は「What the World Needs Now」と「Raindrops~」ですでにやった曲の繰り返しだったが、「Raindrops~」は映画音楽メドレー時には演らなかった、あのテンポが速くなるエンディングまで演奏された。

といったところまで、綿密に計算された、完成度の高いショウであった。腰を浮かせながら素晴らしいピアノを弾きつつオーケストラとバンドを指揮し、歌うバカラック80歳、紛れもない現役のミュージシャン/プロデューサー/ショウマンである。やはり観てよかった。

予定していなかった人も、今日の東京国際フォーラムか、あるいは20日(水)のグリーンホール相模大野、22日(金)の大阪フェスティバルホールは、なるべく当日券でも観に行かれることをお薦めします。

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セットリストは、友人の日記より転載。
Burt Bacharach
東京ニューシティ管弦楽団
Donna Taylor (Vo)
John Pagano (Vo)
Josie James (Vo)
David Coy (Bass)
Dennis Wilson (Woodwinds)
Rob Shrock (Keyboards, arrangement)
David Crigger (Drums)
Tom Ehlen (Trumpet/Flugelhorn)

1. What the World Needs Now
2. Don't Make Me Over
3. Walk on By
4. This Guy's in Love with You
5. I Say a Little Prayer
6. Trains and Boats and Planes
7. Wishin' and Hopin'
8. (There's) Always Something There to Remind Me
~メドレー、終わり~
9. One Less Bell to Answer
10. I'll Never Fall in Love Again
11. Only Love Can Break a Heart
12. Do You Know the Way to San Jose?
13. Anyone Who Had a Heart
~元妻キャロル・ベイヤー・セイガーとの共作と紹介して~
14. Heart Light
~エルヴィス・コステロとの共作と紹介して~
15. God Give Me Strength
~初期の4曲~
16. Magic Moments
17. Story of My Life
18. The Blob
19. Tower of Strength
~最新アルバムから2曲。7歳、12歳、19歳の子どもたちの話~
20. Go Ask Shakespeare
21. In Our Time
22. Close to You
~書き上げたばかりの新曲~
23. For the Children
~ゲストのオランダ人歌手Traincha入って~
24. Falling out of Love
25. Who'll Speak for Love
~映画のために書いた曲をいくつかと話して~
26. The Look of Love
27. Arthur's Theme (Best That You Can Do)
28. What's New Pussy Cat
29. April Fools
30. Raindrops Keep Falling on My Head
31. The Man Who Shot Liberty Valance
32. Making Love
33. Wives and Lovers
34. Alfie
35. House is not a Home
~メンバーを紹介、今の気分にぴったりの曲と紹介して~
36. That's What Friends are for
~アンコール~
37. Any Day Now
38. What the World Needs Now
39. Raindrops Keep Falling on My Head

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そして私は、これからピアノを練習することを決意した。「Alfie」とか弾き語りできたら、80歳でも女口説けそうなことがわかったから(笑)。幸い、ピアノとバカラックの楽譜は持っている。30~40年も練習すれば、バカラックの1曲や2曲弾けるようになるだろう。

2008年02月15日

敬老の日々

ひと月遅れの誕生祝いということで、大の鶏好きの老父(78)を神田ぼたんに連れて行く。

混んだ時間に行って老人を待たせるのを避けようと、聖橋で3時半に待ち合わせて、4時前から鳥すき突きながら呑み始める。

で、5時半近くなってそろそろ混み始めた頃にお勘定。

なんかこの、老人的な時間の過ごし方はなかなかいいな。近々パソコン買い替えたいというので、腹ごなしも兼ねて秋葉原をぶらぶら散歩してから家に帰っても、まだこんな時間(8時前)だ。

そういえば、昨日はアンディ・サマーズ(65)のギターソロに(心の中で)声援を送ったし、明日はバート・バカラック(80)のコンサート見物だしで、なんだか敬老の日々のようである。

2008年02月14日

で、ポリス、

ようございました(廉価でチケット譲ってくれた友人に感謝)。

新生ポリスを予感させる、ような要素は、正直ほとんどなかったけれど(スチュアート・コープランドのパーカッションプレイなど多少はあった)、一夜の夢としては素晴らしいショウだったと思う。満足。

個人的には、イントロだけ聴いてとつぜん涙が出てきたので、最初にポリスに遭遇して衝撃を受けたが「Roxanne」だったことを思い出した。

あと、アンコールの最後の曲「Next to You」は、ファースト・アルバムの1曲めである。「Every Breath You Take」を演ってから一旦引っ込んだメンバーを、ひとりステージに残ったアンディ・サマーズが「なにやってんだよ、早く出て来いよ」というジェスチャーをひとしきり演じたのちに「しょうがねえな」という感じでガーっと「Next to You」のイントロのギターをかき鳴らして引っ張り出すという趣向は、「またこれからもやるぜ」という意味合いかな? とはちょっと思った。

「ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ」(敢えてカタカナ)の日本語が聴けなかったのは残念、

#セットリストは、友人から聞いていた一日目と同じだった。スチュアート・コープランドのTシャツが「Ghost In The Machine」で頭バンダナ巻きでダサかったのも同じだ(笑)。

しかし息子(前座のフィクションプレインのベース&ボーカル)は、顔もやりたいことも、お父さんそっくりだったなあ。洒落で「Roxanne」とかやり始めてドーム全体ブーイング、みたいな感じがあってもよかったかもしれない(この意見には賛同は求めません)。

今日はポリス

「今日はお祭り」とタイトル並べるとバカみたいだが、今日はポリス来日公演を見物予定。あんまり何年ぶりの来日とか考えてなかったが、27年ぶりか。

で、一応調べたら、それは1981年のこと。その日本ツアーの際の2月2日の武道館公演は、私は高校受験の最中(第一志望の試験がたしか2月10日前後)だったが、ひとりでのこのこ観に行った。

で、観終わって家に帰ったら、夜のヒットスタジオにサックスを持ったスティング(と、バカのようなスチュワート・コープランドとアンディ・サマーズ)が出ていたんだった。懐かしい。

前座は誰だったかな。Ex(梅林茂と羽山伸也)と記憶していたが、同じような時期にやはり武道館で観たクラプトンの前座だったようだ。記憶違いか。

なんて思い出を綴っていたら(はは)、仕事する気なくなってきたなー。昨日行った友人の日記でうっかり予習もしてしまったし、いや絶対に読まないつもりだったのだが、うっかり読んだら余計その気になってきて、いやー楽しみだ。

2008年02月06日

今日はお祭り

朝から勝浦のくそうまい魚喰って温泉入ってもうベロベロ。これから祭だー。(13:24)

今白装束に着替えて、これから出陣。ベロベロ越して、静かに興奮してきた。(16:13 )

祭無事終了。勝浦でまた呑んで、そのうち寝るであろう。(23:04)

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で、「朝から勝浦のくそうまい魚喰って」のくだりは、港の食堂で、水揚げされたばかりでほんとに新鮮でうまい生のクジラや、オコゼの刺身、絶品の貝焼き盛り合わせなどで朝10時くらいから男だけで呑んで、で、映画「レザボアドッグス」の冒頭の会話みたいなバカ話を延々と繰り広げて、ほんと楽しかったー。

紀伊勝浦、ご承知かとは思いますが、魚好きにはオススメ。祭りから話それたが。

2008年02月04日

ある日、森の中

イノシシに、出会った。

ある日というか、本日2月4日のことですが。

大雲取越の急峻な下りもあと二時間ほどで抜けられそうだという時点のことであった。

最初、写真でも撮ってやろうかなと思ったが、ウリ坊ではなく結構でかいし、イノシシが「お前誰だよ」という顔をしているのでやめた。

冬で腹も空いて気が立っているだろうから、歌舞伎町でヤクザにカメラを向けるようなものかもしれぬ、と思ったのである。

で、「いえ、わたしはただの旅の者ですよ」という顔で通り過ぎたのだが、ところが、イノシシが、あとから、着いてくる。

ということにはならなかった。白い貝殻の小さなイヤリングとか落とさないでよかった。しかしさすがに緊張したなー。

ま、あとで今日の宿のご主人に訪ねたところ、普段イノシシから人を襲ってくることは、まずないという(以外に臆病なやつなので)。

が、冬は狩猟シーズンなので、犬に追われたり、手負いだったりして、気が立っていることも多いという。注意するに越したことはないな。明日は修験者のように、杖でも持って歩こう。
そういえば、明後日、本宮大社の境内で友人一行と落ち合ったのち、牡丹鍋をやる予定だったような気がするが・・・。

2008年02月03日

窓の外には那智の滝

という状況で呑んでおります。宿に合客はなく、とても静かだ。

空はまだ少し明るいが、山は真っ黒で、ヤタガラスか天狗でも飛来してきそうな禍禍しさがあって面白い。

と思ってたら、風がゴウゴウ鳴り始めて、ますますいい感じだ。

そして外は、ほんとの真っ黒になった。山は凄いなあ。

2008年02月02日

熊野市を訪れた

新宮・くし一のおばちゃんに教えられたとおり、新宮発朝9時半のバスで、和歌山から三重への県境を越え、熊野市駅へ。バスは目的地の花窟神社の前を通るのだが、それを知らずに熊野市駅まで行ってしまった。まあそこから歩いて戻っても10分程度ではあった。

で、年に二回行われるという御縄掛け神事を見物。

海辺から、ご神体の注連縄を掛け替えるところ

ご神体に供物が供えられるところ

詳しくは上記ホームページを参照していただきたいが、儀式の際のお供え物にトマトやバナナがあるのが、南国っぽくてよい。

花窟神社のご神体である巨巌は、とにかくでかい。あまりにでかくて、全貌を把握できないほど。帰りに神社の敷地の裏手に回って、この辺りから入り込めば巨巌への昇り口などあるかな? と踏み込んでみたが、やはり神域っぽいし、かと思えば民家の庭先に出てしまうわで、諦める。

その後駅まで出て、新宮に戻ろうと思ったが、せっかく熊野市まで来たので鬼ケ城跡を見たり古道を歩いて帰ろうと思って計画変更。取り敢えず駅前の食堂で飯。名物ばかり喰うのもなんだと思いカレーライスを頼んでみた。すごい普通のカレーライスであったが、ここ店構えも普通の食堂なのに、寿司のカウンターもあり、メニューは中華洋食から刺身定食に寿司各種まで、なんでもある。メニューをつぶさに眺めてしまうと、なに頼んでいいのかわからなくなるだろう。

で、まずは文字岩を見物。文字岩といえば、大分県国東半島の神代文字岩などが有名だが、ここのは伊勢の医師であり作家でもあった橘南渓が、熊野木本の友人を訪ねた折、徐福の宮を訪れた感動を五言絶句に詠み、華城山の麓の岩に墨で書き遺したという物件(寛政7年-1795年)。

その後、やはり木本に住む別の医師(喜田玄卓)が、雨露で消えてしまうのが惜しいと、その墨跡を石工に彫らせたのが、今に残る熊野の文字岩である。

考えてみれば、旅行の感慨を落書きしたら、それを関係のない人が勝手に彫ってしまったともいえるわけで、岩を勝手に彫らせた喜田玄卓は代官所のおとがめを受けたという逸話も残っているという、なんかお茶目な物件であった。

ちなみにその五言絶句は---

驚去徐仙子|深入
前秦雲|借問超逸
趣|千古誰似君

(岩に彫られたそのままを写す。|が五言ごとの切れ目)

内容は、まあ、「徐福の話を聞いて驚いた。私はこの地を去るが、空の雲は秦までつながっているのかなあ。徐福にその冒険譚を聞いてみたいなあ。こんな男がかつていただろうか(いやいない)」みたいな感じで、それもまたなんか可愛い。

文字岩をあとにしてぶらぶら歩き、続いて海岸沿いの鬼ケ城跡。入口(西側)はこんな感じ。

で、これを上ると、弁天神社の小さな祠がある。そこからの眺望

おおなかなかと思っていると、その先がなんかもっとものすごかった。気の遠くなるような長い年月をかけて波に削られた岩が作る奇異なる景観が、こんな感じで 続く。ちょっと不注意すると足を踏み外しそうなところも結構あるが、ふと頭上を見上げると、今にも落ちてきそうな巨岩が顔を覗かせていたりする

ちなみにここには、昔多蛾丸という海賊が住み着いていて、鬼として恐れられていたそうだ。で、坂上田村麻呂に退治されたという、そんな伝説が残っているとの由。そんな伝説も含めて、天然自然にできたテーマパークみたいで面白い。恐山に通じる感じもある。

西側の入り口から全体を抜けると、東側の入り口に出るのだが、そこではご老人方が「鬼フェスタ2008」の準備に余念がなかった。鬼フェスタってネーミングセンスが素敵だ。

さてこの東側入口から、鬼ケ城跡まで上る。これはかなりきつく、まず息が切れ、次いで太ももが悲鳴を上げたが、まあ明後日に予定している大雲取越のいいリハーサルになったと思う。鬼ケ城跡からの下りは、今回初の熊野古道で、いきなりこんな感じ

かなり長い間膝が笑っていた。そんなにおかしいか。

山を下りてから熊野市内をぶらぶらしてたら、こんな感じの佇まいをいくつか見つける。

あ、そういえば、熊野市はなにも調べず訪れて、最初道に迷ったりしたのだが、紀南ツアーデザインセンターという観光案内所を見つけて、大層世話になった。

ここのおかっぱの女の子が可愛くて親切で、「今年もお燈祭に参加する。去年は石段を転げ落ちた」と話したら、「私も毎年下で見てます。くれぐれも怪我しないでくださいね」などと見つめられ、なんかその気になる。俺は車寅次郎か。親切にしてもらったお礼に、そこで売ってた熊野関係の本を4冊ほど購入。

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帰りは電車で新宮に戻り、駅前のいつもの十二社でサエズリと〆サバで一杯。一人前サイズの小鍋が充実しているのに気付き、蠣の小鍋でもう一杯。これ、東京の呑み屋でもやらないかなあ。やってんのかな。実に池波正太郎的なのだが。

それから宿近くの銭湯の新宮湯に浸かり、今日笑った膝や悲鳴を上げた太ももをほぐす。明日もけっこうハードな行程を計画していたのでケアした次第だが、と、雨が結構降ってきて、明日は計画通りに行かないかも。起きてから考えよう。

新宮に着いた

家から結局10時間くらいかけて、和歌山・新宮に夜10時過ぎ到着。名古屋からの約5時間が、とにかく辛かったなー。もう暗くて景色見えないし。

何度か気絶したり水飲んだり本読んだりしているうちに、まあそんな5時間もどこかに消えて行ったが。時間って不思議だ。

で、新宮に着いて、取り敢えずなんだか定宿になった、でも相変わらず頭痛くなるほどインテリアの趣味が悪いサンシャインホテルにチェックインしてから、昨年も行ったくし一で、さんまの開きと鯨カツで一杯。

ここのおばちゃんから、明日三重・熊野市の花の窟神社で御縄掛け神事があることを教えてもらう。巨岩信仰・磐座信仰はもちろん興味の範疇だし、花の窟はイカズチ産んだことでホトを焼かれて死んだイザナミの墓だというくらいだから、機会があればいつか行きたいと思っていた。よいことを聞いた。明日こそ早起きだ。ほんとか。

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