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2008年07月21日

THE GHOST STORY 〜 影が、ゆく 〜

下北沢ザ・スズナリにて。作・演出:大西一郎。大西一郎が主宰するネオゼネレイター・プロジェクトのプロデュース作品。

http://www.neogene-pro.org/

先日観劇した劇団S.W.A.T!「Last Sceneはさりげなく」に引き続き、イタチョコ浄瑠璃の看板女優高村圭が出演するので見物に行った。

ミステリー作家が、次作の執筆のために山の森の中の屋敷を借りる。そこには幽霊が出るという話があり、作家もそれを知りながら借りたわけだが、案の定幽霊が出る。

幽霊が語るその家と集落にまつわる(80年前の)物語に、作家が執筆中のミステリー小説の物語と、現在のその家に集う人々(編集者、不動産屋、宅配ピザの配達員、警官、霊能力者)が交差して行く。最後には、80年前にあった事件にひとつの決着が着いて、幕。

ミニマムな大道具の中で、ちょっとした照明や小道具の工夫や、役者の出入りの仕掛けだけで各場面の背景を切り替え、そして3つの異なる物語を交差させる演出が、澱みなく効果的だったのが印象に残る。

あと、高村圭の演じていた「80年前」と「小説の物語」の一人二役が、話の進行に伴いひとつの像に重なって行くところも面白かった。その焦点が合って行く緊張感が、観客をこの芝居へ集中させる大きな力になっていたと思う。

物語や(ラストシーンの屋台崩しも含む)演出的・大道具的な仕掛け、そして役者それぞれの力もあって、2時間半近い長尺の芝居ながら、最後まで集中力が途切れるということはなく、楽しめた。

元々3時間半から4時間くらいあった台本を刈り込んだということだが、物語や演出、役者の力を信じて、もっと笑いの部分やサブ・ストーリーを整理して殺ぎ落として、もっと上演時間を短くしてもよかったかもしれない。そうして、3つの物語の関連性や結末に向けた道筋をわかりやすくしたほうが、決着部分の感動が大きかったように思う。一観客としては、2時間半の幽霊譚かつラブ・ストーリーを観たならではの重たい疲労感が、もう少し欲しかったかなー。

役者陣では、高村圭のほか、小説の作中人物(探偵)として宝塚の男役のようなキャラクターが面白かった白樺真澄と、不動産屋の女役の笹野鈴々音がとりわけ印象的だった。

なお、次回作は10/1〜5、下北沢「劇」小劇場にて「DESERT MOON〜砂の海であなたと〜」。「90分一本勝負のハードSFホラー」との由。

2008年07月17日

" Tiny Adventure with Strings " vol. 14

吉祥寺MANDA-LA2にて。

イベントの主旨は、酒井俊という歌い手がバイオリン、チェロ、コントラバスのアンサンブルを従えて歌うというもの。今回で14回目を迎えるという。

酒井俊については、寡聞にしてよく知らなかったのだが、ゲストが「パンチの効いたブルース」ということで観に行った。「パンチ」は長見順がギターで、ベースにかわいしのぶ、ドラムにグレイスという、女だけの凶悪なブルースバンドである。

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で、先攻「パンチ」は、1曲目の「あっしにはかかわりのねえことでござんす」の図太いベースのイントロからして凶悪。そしてグレイスのドラムが入り、長見順のギターが乗ると、どちらもどこから飛び出して来るかわからないドスやナイフのような感じで、不意のシンバル・アクセントや不意のギターが突き刺さって来る。

そんな感じで、プレイは実に自由だ。凶悪で自由。そして笑いもある。誰かが暴走すると、ほかのメンバーがそれをげらげら笑いながら見ている。

たとえば「加藤さんのテーマ」のコール&レスポンスもその場の思いつきだろうし(いつ観ても微妙に違うから)、予定の告知をしていて「ダンス天国」というバンドと共演するという話になったら長見順が突如「Land Of 1000 Dances」を歌い出すのもその場の思いつきだろうが、その思いつきに他のメンバーが直ちに反応して、その思いつきをグルーヴに昇華させて行く。そのコンビネーションの妙は、かなりスリリングで面白い。

あと、長見順がうっかり譜面台にギターを引っ掛けて倒したら、即座にかわいしのぶが自分の譜面台をわざと蹴っ飛ばして倒すとか。児戯のようだといえば確かに児戯だが、そういうのが悉く、三人の音楽にマッチしていて、ステージ上にこの三人ならではの音楽の磁場を創り出して行く。

かとおもえば、グレイスが自分のブルース的人生を語り歌う「殴られる人生」や犬になった女の気持ちを歌う「私はグレコ」(ワワワワワン、というコーラスがバカバカしくて可笑しい)とか、長見順の夭折した友人を歌ったという「夏から生まれた夏子さん」など、泣かせる歌、優しい歌もあり、かわいしのぶが歌う「サランラップの歌」「守銭奴のうた」といった狂ってるんだかほのぼのなんだかよくわからない歌もあり、なかなか奥が深い。

長見順のパフォーマンスは、ソロ、手練のセッションミュージシャンと共演、と観て来たが、今回のが一番衝撃的であった。このバンドは、ちょっと追いかけておきたいなあ。

あ、個人的には、かわいしのぶのベースを堪能できたのが嬉しい。「自分がベースになって弾かれてしまいたい」と思ったのは、生まれてはじめての経験であった。

01 あっしにはかかわりのねえことでござんす
02 曲名不明
03 殴られる人生*
04 私はグレコ*
05 秘め事**
06 サランラップの歌**
07 守銭奴のうた**
08 夏に生まれた夏子さん***
09 加藤さんのテーマ***
10 舟歌***

Vo=*グレイス、**かわいしのぶ、***長見順

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さて主役の酒井俊だが、経歴は下記オフィシャルページを参照。

http://www.sol.dti.ne.jp/~s-shun/

なかなかすごい経歴なのだが、上述のとおり私は勉強不足で聴いたことがなかった。なんのきっかけかは忘れたが、最近たまたま上記ホームページ見て、ちょうど興味を持ったところだった。

で、やはり上述のとおりバイオリン、チェロ、コントラバスのアンサンブルを従えて歌うというわけだが、(多分)日本の旧い歌、「Old Black Joe」などアメリカの旧い歌、トム・ウェイツの歌、パティ・スミスの「Because the Night」、「At Last I'm Free」(ロバート・ワイアットだっけ?)などなど、バラエティに富んだ選曲ながら、見事に違和感なく酒井俊の色にまとめ上げていた。

いや正直に言うと、昨夜が久々に徹夜で、一応昼寝はしたものの、早めに吉祥寺に着いたのでいせやにちょっとしけ込んだ所為もあり、そして「パンチ」でちょっと燃え尽きたのか、かなりうとうとしてしまったので、あまり詳しいことが書けないのだった。もちろん勉強不足もあるが、歌詞などを書き取ったメモも、ほとんど判読不能だ。

ストリング・アンサンブルも、かなり実験的、先鋭的なことをやっていたのだが(アレンジや奏法の組み合わせなどはもちろん、チェロの人など、なんだかよくわからないグルグル回る機械でチェロの弦をこすっていたり、やはりなんだかよくわからない火花を散らす機械などを使った演奏も披露していた)、今となっては曲ごとの違いが不鮮明で、ライブ全体として「いろいろな歌を、実験的、先鋭的なストリング・アンサンブルに乗せて、酒井俊が自分の歌唱世界にまとめ上げていた」という記憶の塊が残っているだけである。とても面白かった印象は留めているのだが、残念。

ちょっとCDを集めてみて、またトライしたい。

2008年07月16日

告知! イタチョコ浄瑠璃第三回公演

第二回公演(5月)が第一回にも増して好評につき、調子に乗って第三回公演を行うことになりました(青木は今回も、劇伴の打楽器ほかを担当)。

内容は、私もまだ全然知りませんが、下記のタイトルから想像できるように、有名なアレがモチーフです。見に来ていただける方々には、アレがどのように料理されるのかをお楽しみに。私も楽しみです。

#知己の方々には、8月に入ったら、再度メール等でお知らせするかもしれませんが、ご容赦ください。

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イタチョコ浄瑠璃新作公演
「南ソーイング里ミシン発見伝(なんそーいんぐさとみしんはっけんでん)」

日時
2008年8月28日(木) 19時半
2008年8月29日(金) 19時半
2008年8月30日(土) 14時半、19時半
2008年8月31日(日) 14時半、19時半

※開場はそれぞれ一時間前

場所
新宿アコースティックアート
※東京メトロ/都営大江戸線・東新宿駅徒歩5分
東京都新宿区新宿6-23-5 ピアビル B1F
03-3352-3387
http://acoustic-art.main.jp/top.html
http://acoustic-art.main.jp/map.html

出演
瀧下涼(劇団S.W.A.T!
高村圭
ラショウ
(楽士 GUNI、菊乃丞、青木)

詳細・前売り
http://harp.ruru.ne.jp/difficult/rasho/missa.html
http://harp.ruru.ne.jp/difficult/rasho/itadmb2.jpg
http://itachoco.jp/?mode=cate&cbid=348678&csid=0

Van Dyke Parksの新譜が

出るらしい(8月12日発売)。びっくり。

「Tokyo Rose」が1989年、ブライアン・ウィルソンとの共作「Orange Crate Art」が1995年。その後1998年にライブ盤の「Moonlighting:Live at the Ash Grove」も出ているが、いずれにせよ、10年以上振りの新作ということになる(サントラは除く)。

で、この新譜「An Invitation」では、Little FeatのLowell Georgeの娘、Inara Georgeが全編歌を歌っていて、InaraのホームページやMy SpaceのInaraのページで何曲か聴けるのだが(「Overture」「Oh My Love」「Duet」の三曲)、これがなかなか素晴らしい。Van Dyke Parksならではのポップス向けオーケストレーションの妙味が深化していて、一聴してかなりぐらぐらと心を揺さぶられる。

http://www.inarageorge.com/
http://www.myspace.com/inarageorge

CDはいうまでもなく早速予約注文したが、いや、これはInara連れて来日してくれないと、今年の下半期、私は不機嫌になってしまいそうである。

来ないかなー。来ればやはり10年ぶりだったか。1999年のSweet Basil以来かな(これ見逃しているけど)。

2008年07月13日

劇団S.W.A.T!第37回公演「Last Sceneはさりげなく」

紀伊国屋ホールにて、千秋楽を見物。作・演出:四大海。

↓劇団S.W.A.T!
http://www.swat-net.com/

私もちょっと音楽を手伝っている「イタチョコ浄瑠璃」の看板役者、瀧下涼が所属する劇団の創立25周年記念公演ということで、本拠地での芝居はどんなものか、拝見しに伺った。

話の筋を上記ホームページからそのまま引用すると—

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ある地方都市の市民劇団。
東京で不祥事を起こし追放された新進の演出家が、
その市民劇団の演出をすることに。
戦々恐々とする劇団員たち、同じく小心翼々としている演出家。
互いに理解し合えず時間だけが過ぎていく、
そして、いよいよ演劇フェスティバル当日が・・・。
再起を賭けた演出家と飛躍を願う劇団員たちの思惑は・・・。
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で、細かい筋立ての紹介は割愛するが(試しに書いたらえらく長くなってしまったので。あとで追記するかもしれないが)、

1.話の組み立て方および演出の緻密さ
2.笑いの応酬
3.1と2を形にしていく役者のスキル

に大いに感心し、かつ楽しんだ。

1.に関して言えば、上記のような大きな筋立てを中心として、いくつものエピソードが配置されて行く芝居作りの中で、その配置の塩梅や密度が、ストーリーの速度や起伏に応じて調整されるところが鮮やかと思った。たとえば終盤、演劇フェスティバルのシーンの、シェイクスピアの主要作品をごちゃ混ぜにした劇中劇が繰り広げられるところなど、主人公(新進の演出家)の敵役の陰謀あり、劇中劇内でのトラブルあり、劇中劇の舞台裏(文章にするとややこしいな)での人間模様ありと様々なエピソードが、いかにもクライマックスに向かう密度で渦を巻く。

あとから思い返すと、芝居の本筋としては主人公とその先輩演出家の師弟関係の中や、種々の恋愛関係、親子関係、友人関係などの中の「人が人を想う気持ち」のようなものを描いていたのだと思う。が、それを笑いと様々なエピソードの渦のオブラートで幾重にも包んで提供するような塩梅なので、観ている最中は可笑しく楽しく、観終わったあとで心の琴線を少しずつ動かされる仕組みになっているのかなと感じた。

2.に関して言えば、着いて行けないほど速かったりハイブロウ過ぎたりということもなく、わかりやすい伏線や反復ネタが多いから力を抜いていても楽しめるし、細かいネタも混ぜられているから集中力を高めて舞台を眺めても楽しい。よく噛みしめたり、噛まずに飲み込んだり、しゃぶったり舐めたり反芻したり、人それぞれいろいろな味わい方楽しみ方できるように工夫しているのがこの劇団の特徴か。

もっとも他の公演は観ていないので、上記の見当が当たっているかどうかはわからないが、もうひとつ、笑いのテンションがほぼずっと一定に保たれており、普通は泣かせるような場面でもふと笑いの波が洗いに来ることが多いのも、この劇団の特徴と思った。その、いつ笑いが来るかわからないスリルというかスピード感は、結構気持ちよかった。

3.に関して言えば、それぞれの見せ場を作り組み立てて行く演出の緻密さ(また話が1.に戻ってしまうが)もあると思う。あるいは、アテ書きというほどではないが、役者個々人の特徴、個性をよく考慮した台本が準備されたという点もあるのだろうが、もちろん各役者個々人のスキルの高さが、それらを形にしていることはいうまでもない。

個人的には、これだけの人数が出る芝居だから、多少は「役者としての力量を見せない役所」があったほうが楽に観ることができるような気もしたが、いやまあこれはなんとも言えない。

まあでも、客演のふたり(鹿島良太と出合正幸)も含め、皆若い役者ばかりだから(座長だって45歳である)、今後この集団がどう展開していくのか、非常に楽しみではある。

という期待もあり、この感じとレベルの公演を今後も続けてくれる期待もあるので、次の公演もぜひ拝見したいと思う。

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さて瀧下涼だが、贔屓目で言うのではないが、30人近い出演者のうち20人を超える大人数が舞台にいるような状態の中で、彼一人で笑いを生む際の起爆力がすごかった。たとえば、劇中劇の配役を発表するシーンで、元々彼の担当だった役が他の人間に割り当てられた瞬間以後に、役が発表される度に舞台の端でのけぞったり倒れ伏したりする動きが生む可笑しさには驚いた。

この面白さを、役者3人という少人数のイタチョコ浄瑠璃の中で今後—次の公演は8/28〜31に決定している—どう活かしてくれるのかな、という点に、大いに期待したい。

と、プレッシャーをさりげなくかけてみたが、ほんとに期待しているよー。

#あ、ところで、作・演出の四大海が、主人公の先輩演出家の生前の姿としてときどき姿を見せるのだが、そのとき必ず、その場面場面での設定年齢の数字を大きくプリントしたTシャツに着替えていて、カーテンコールではわざわざ実年齢(45)のTシャツに着替えて登場していた。ティアドロップのサングラスといい、「マカロニほうれん荘」の膝方歳三をキャラクター作りのモチーフの一端にしたものではないかと推測するが、だとすると多分、創立25周年、というところから思い付いたネタだと思う(膝方歳三の年齢設定は、いうまでもなく25歳で、少年チャンピオンコミック版第5巻の「バミューダトライアングル!!」の中で「Age 25」と書いたTシャツを着ている場面がある)。ま、推測に過ぎないのだが(Tシャツの文字デザインは異なるし、確信は持っていない)、本作の中で最も注目されない?ネタのような気がするので、敢えて紹介しておきたい。

初物情報

昨夜、経堂の天ぷら屋(重助)で、天ぷらに挑む前につまんだ秋刀魚の刺身が、脂が乗っていて大層美味かった。たっぷりの大根おろしと生姜おろしと一緒に口に放り込むと、いい塩梅にさっぱりといける。

尋けば、今週辺りから北海道で水揚げが始まり(補足:7/11くらいより、釧路から築地への入荷が始まった模様)、今年は初物でも例年に比べて安値であるとの由。

イカ刺しや鮎の塩焼きと共に酒肴として、老父と二人でつついて十分堪能できるくらいの量で、確か6~700円くらい。これなら満足である。

魚好きの皆さんに向けて、初物情報をお届けいたしました。魚ばんざい。初物の秋刀魚にどこかで遭遇されんことを!

#あ、これも走りのメゴチの天ぷらも美味かった。

2008年07月10日

The 30th Anniversary of NYLON100%

代官山UNITにて。NYLON100%については割愛。

▼7月9日
一番手は上野耕路 & His Orchestra。これは捏造と贋作の発展形ということになるのかな? 上野耕路と久保田慎吾(共に8 1/2のメンバー)がいるという以外、NYLON100%と関係はないのだが、今日観た中では最も「今後も聴きたい」と感じた。

ホーンセクション(バリトンサックス、テナーサックス、アルトサックス、クラリネット、フルート、トランペット+金管×2)とマリンバ、パーカッション、ドラム、ベースに女性ボーカル、そして上野耕路と久保田慎吾という15人編成の大所帯だが、緻密なアレンジで綴られる多様な音楽性という点と、フランス近現代~シャンソン~フレンチポップスやエキゾチック風、初期バカラック風など(作者の意図と合っているかはわからないが)音楽的モチーフの組み合わせが個人的にツボ。

もう少し感情を揺さぶる要素があってもよいと思ったが(ちょっと理知的な部分が勝ち過ぎか)、その点を久保田慎吾の存在が補っているのだろうとは思う。だが、この音楽の方向であれば、キャラクターが立っている歌い手より技術的に歌の上手い歌い手の方が必要かなとは思った。

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続いてポータブル・ロック。野宮真貴がいるから、というのは大きいが、当時の楽曲が今聴いても普通に楽しめるという点でも、このバンドも今後定期的に聴きたいと思わせられた(今後も続けるのかは不明)。野宮真貴のデビュー作「ピンクの心」所収の「うさぎと私」で鈴木慶一が登場しデュエット、というサプライズあり。あとは「グリーンブックス」や「シネミックラブ」など。

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次はKERA。この人には何故だか昔からまったく興味がなく、今日も特に感想なし。個人的な趣味の問題なので、仕方がない。すみません。

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そして中西俊夫 ex.プラスチックス。なんかずっと、立花ハジメの呪いが、と言い続けていたなー。「Top Secret Man」「Copy」「Delicious」「Robot」とプラスチックスの曲を演ったのは懐かしいが、冒頭の「Quiet Village」のような、ウォーターメロン方面の仕事が最もこの人に適していると思ったが、どうだろう(中西俊夫のバードコールは結構いけると思うのだが)。なお佐藤チカ役は、野宮真貴が補っていた(というか、中西俊夫と野宮真貴のふたりでPlastic Sexってのをやってたな。補足)。これはこれで、大層カッコよい。あと全編入っていたフルートも妙にマッチしていた。

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で、トリは8 1/2なのだが、その前になんとリザードのモモヨが登場。びっくり。「New Kids in the City」を弾き語ってから8 1/2を紹介する。

8 1/2は、今聴くとストレートなロックンロールと思うし、今の私に必要な音楽ではないが、そうはいっても独特のカッコよさのあるバンドではある。楽しかった。今日はベースが沖山優司でした。

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▼7月10日
本日の一番手はサエキけんぞうで、Boogie the マッハモータースという若いバンドをバックにハルメンズの曲中心のライブ。サエキけんぞうは単純に見てて面白いのだが、この見てて面白い/そうでもない、という違いはなんだろうか、とよく考える。サエキけんぞうの場合も、別になにか笑わせようというようなことをしているわけでもないのだが、見ると目が離せなくなる。

Boogie the マッハモータースは、80年代ニューウェーブを今の時代に昇華させた?ようなバンドだったが、切れがよかったりサービス精神もあったりで、なかなかいいな。ドラムの人の、スティックで眼鏡を飛ばすパフォーマンスが可笑しい。

http://btmm.jp/

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続いてスペースポンチ。これはNYLON100%時代はコンスタンス・タワーズという名前で活動し、90年代に入ってからテクノ色を強くしてこの名前になったとのこと。いずれにせよ、初めて聴くバンドで、まあ基本歌なし(ボコーダーはちょっと入る)テクノなので、ぼーっと聴いてて気持ちがいい、という感じだった。

ゲストにかとうけんそう。このとき演った歌ものが結構よかったのだが、一晩経ったら記憶がないな。また聴いてみたい。

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そしてヒカシュー。巻上公一は歌はもちろん、語り(曲の途中でいきなり講談調でNYLON100%物語みたいなのを語り出すのが可笑しい)、マウスハープ、テルミン、ホーミー、トランペット、妙な動きと表情などなど。面白い。やることは変わって来ているが、芯は変わってないんだなあというところが嬉しい。海琳正道(三田超人と改名したらしい)が見られたのも嬉しかった。

こういうイベントらしく、「20世紀の終わりに」「パイク」「入念」「プヨプヨ」など懐かしい曲も演っていた。

ところでヒカシューは、着うたフルの配信を始めたとの由(笑)。

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さらに東京ブラボー 。ゲストに近田春夫は聞いていたが、いとうせいこうも登場。曲は「ダイヤルMを回せ」などサイケ/GS時代の感じで、これは単純に懐かしい(この頃の曲は、なぜかギターでコピーしたりしたので)。

なおこの日は、高木完、ブラボー小松、坂本ミツワはもちろん、ベースに岡野ハジメ、ドラムに泉水敏郎の黄金メンバー。

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トリは戸川純。最初にかとうけんそうが登場し、戸川純の手紙を朗読。なんでも病気療養のため、太ってしまったので、登場する前に周知しておきたかったらしい。

確かにまあふっくらしてはいたが、あの歌の妙なる迫力は相変わらずで、「ラジオのように」でステージは始まり、「玉姫様」や「電車でGO」、「バーバラ・セクサロイド」、「諦念プシガンガ」など有名曲のほか、日本的な旋律の最近の?曲中心(この辺聴いていないので私が知らないだけだが、日本的な感じがいい塩梅なので、ちゃんと音源を聴いてみたいと思った)。

あ、野坂昭如のカバー「バージンブルース」も本日演っていた。これは名演。

体調の都合で、椅子に座っての声も抑え気味の歌唱だったが(福岡ユタカがバックボーカルで参加し、いいサポートをしていた)、アンコールで「蛹化の女」を演ったのち、再度アンコールで「パンク蛹化の女」を、ステージを走り回りながら全力で歌う。ちょっとじんときたが、身体は大丈夫だろうか。

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あとは、えー、大貫憲章がちょっと登場してなにか喋ったかな。よく覚えていない。

昨日は8 1/2のパフォーマンスに触れて「今聴くとストレートなロックンロールと思うし、今の私に必要な音楽ではないが」と書いてしまったが、二日続けてこういう音楽の実演に触れると、音がでかくて勢いがある音楽も、まだ自分に無縁になってしまったわけではないのだな、という気にはなってきた。若干反省。

あと身近に思ってたのに聞き逃している音楽もたくさんある、という点も、反省しておきたい。

2008年07月08日

立川生志真打昇進記念 立川談志一門会

よみうりホールにて。

真打昇進に伴い、笑志→生志に改名。昇進披露なので、当然仲入り後に口上があって、司会の談生はじめ、文都、立川流顧問の吉川潮、生志本人、談志、野末陳平が舞台に並ぶ。文都が「生志は笑いを捨てて生きることを選んだんです」と言っていたのがおかしい。

口上に物言いを付けるのもあれだが、吉川潮の、「立川流の真打は、落語協会や芸術協会の真打とはレベルが違うんです」と真打昇進のシステムの違いも説明しながらのくだりは、立川流創設時ならともかく、双方の敵対意識?なども含めて今さら言われなくても周知の話だし、作家なんだからもうちょっと気の利いたこと言えねえのかと思った。

あと野末陳平は、口上の席であぐらをかくな。年寄りなら何やっても許されると思ったら大間違いだ。面白かったけど。あと足が悪いのかもしれないけどね。

さて目出たく真打となった生志は「船徳」。上手かったし面白かったが、この人ならでの、という感じはなかったな。穿った見方をすると、吉川潮の口上は褒め殺しというか、敢えてのプレッシャーをかけたものかもしれない。マクラでの腹黒さはなかなかのものなのだが、本編はすーっと行ってしまう。その腹黒さを噺にも活かすとか、噺をもっと上手く演るとか、なんかあとひとつ欲しい。

談笑の「堀の内」が、言葉で説明せず間の取り方によってその場面の何が可笑しいのかを伝える、という方法を適度に織り交ぜたり、古典の中に(談笑という現代人の顔を覗かせるような)現代風の描写や語り口をふと入れることで談笑ならではの「堀の内」に仕立てていたのと比較してみて、そんな風に思った。

談志は声の調子がものすごく悪く(先日の歌舞伎座でもそうだったらしい)、口上の席で「当分休業する」というようなことを言っていた。最近の高座では必ずそう言っているらしいから、ネタなのだろうが、でも本当に休業してしまう可能性も高いな、と思う。いや何を措いても休業すべきだろう。

そんなコンディションの中で、「田能久」をたっぷり演って、でも本人は満足しなかったのだろう、サービスで「落語チャンチャカチャン」でも演ろうか、と火焔太鼓→道具屋→大工調べ→らくだ→長屋の花見→船徳→あくび指南→笠碁・・・とだーっと語ったのには涙が出る。

以下、この日の演目。

立川志の吉・・・・・・牛ほめ
立川談笑・・・・・・・堀の内
立川文都・・・・・・・青菜
(仲入り)
真打昇進披露口上
立川生志・・・・・・・船徳
立川談志・・・・・・・田能久

2008年07月04日

松井冬子/舞妓/野宮真貴

九段成山画廊にて松井冬子個展見物。

画集発売記念の回顧展のようなもの。

で、予約しといた松井冬子画集特装版を受け取る。学生時代の習作や本画の下図などもふんだんに収録され、また印刷・造本面でもなかなかの力作。特装版は重版しないとの由。買っといてよかった。

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それから神田須田町までぶらぶら歩き、まつやで一杯やってから、さらに丸の内まで歩いて、丸ビルの一階のカフェスペース(カフェイーズ)で野宮真貴見物。

このイベント、友人からのお誘いには「野宮真貴が、キモノと舞妓でダンス」とあったのでなんだかよくわからずに出かけてみたが、行ってみると「七夕まつり 丸ビルで、舞妓あそび。」というイベントで、祇園の舞妓の踊りと、DJイベントと、野宮真貴のアコースティックライブという催しであった。

と、まとめてみてもやはりなんだかよくわからないが、切り髪の着物姿でDJをしていたマドモアゼル・ユリアという人(http://www.myspace.com/yulia_tokyo)がよい。紹介文によれば「東京のエレクトロシーンから登場した(中略)新世代のカリスマDJ」とのことだが(まだカリスマっていうんだなー)、フロアの客の心をさりげなく揺さぶる音の重ね方などのテクニックはなかなか。二十歳だというが、着物の趣味も渋い。

この人がDJを始めたくらいから、それまで大人しかった客もなんとなく盛り上がって来て、そのうちに巨大なグラアグ・クイーン客がふたり忽然と現れ、フロアがみなバカみたいになる。クラブみたいな空間は久し振りだったし、大変楽しい。

で、さんざんじらして野宮真貴登場。ポータブル・ロックのギタリストとふたりで、ピチカートファイブの曲2曲(「東京は夜の七時」ともう一曲。有名な曲だが曲名失念)、ポータブル・ロックの曲1曲、あと渚ゆう子/ベンチャーズの名曲「京都慕情」の4曲を歌う。野宮真貴の、大小の手鞠を乗っけたような髪型がカッコよい。あとこの人歌上手いなあと、改めて感心した。まあ無料なのであれだが、もう何曲か聴きたかったなー。

#そういえばMCで、来週なつかしのNYLON100%のイベントがあると言っていた。これか↓

http://8150.teacup.com/inundow/bbs

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イベントがはねたあとは、誘ってくれた同行の友人ら妙齢の(!)女性たちと、新丸ビルの上のほうの階で食事をご一緒する。フロア全体がなんだかやたら都会的な感じにがんばっているのが微笑ましくも可笑しい空間であった。お上りさん気分も味わえる。面白いなー、丸の内。誘ってくれた友人に感謝。

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