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2009年02月28日

吉野弘志 nbaba trio

新宿PITT-INNにて。メンバーは吉野弘志(B)、田中信正(P)、藤井信雄(Ds)。

割と耳馴染みのあるジャズのフォーマットの上での演奏だが、そこから突き抜けるようなプレイは数限りなくあって、しかし破綻はない、という印象。ピアノとドラムはかなり暴れたり、見たことのない奏法を試みたりするが、それが吉野弘志のベースがほっくりとまとめていくという感じに思った。

一見、個性も経歴もルックスも共通項がなさそうに見え、出す音も三人それぞれが別のことを喋っているようにも見えるので(あくまでもそういう印象ということだが)、各曲の演奏が始まって間もなく、トリオの音がぐわっとまとまって迫ってくる様が、なんだか不思議で面白かった。

個々のプレイヤーに焦点を当ててみると、藤井信雄のドラムが、全曲でなんだか妙に美しかった(打音ひとつひとつの説得力がとても高いと感じた)。09で、手許に置いた酒?のグラスの中の氷がグラスに触れる音を楽音として使うなどの遊びをふんだんに盛り込んでいたところも面白かったな。

05、田中信正がピアノの高音部で奏でる音が、ピアノの音でないような不思議な響きだった。田中のピアノは、三日連続で聴いたが、88の音という楽器の持つ制限事項を、88鍵の内外で解き放って行く、という印象をこの日も強くした。また別の組み合わせやアプローチでも、ちょっと追いかけて聴いてみたい。

以下備忘。01は田中信正、05と06は吉野弘志の曲で(09も?)、06は不動のベースの上でピアノとドラムが好き放題に暴れ、田中がしまいには前衛舞踊のような動きでピアノを鳴らし続けるのが印象に残る。04と07はリー・コニッツの曲で、共にスタンダードのコード進行を利用した“替え歌”(前者の元ネタは失念。後者は「All the Things You Are」)。08は武満徹作曲の、映画「他人の顔」(安部公房原作)のテーマ曲。10はDon Pullen作の、5/4のファンキーなブルース。

01 Footsteps Of Japanese Shorttales
02 Fire Waltz
03 Black Narcissus
04 Dream Stepper
05 ミュータン
(休憩)
06 nbaba
07 Singin'
08 他人の顔のテーマ
09 竹
10 Saturday Night in The Cosmos
enc
11 曲名不明

2009年02月27日

TANAKANDA

関内Jazz Isにて。田中信正(p)と神田佳子(per)。

田中は自らのリーダートリオKARTELLのほか森山威男カルテットや(この前日に観た)酒井俊ユニットで活躍する気鋭のジャズピアニスト。神田は一柳彗や高橋悠治などの作品の初演などでも知られる現代音楽畑の打楽器奏者で、作曲家としても国内外で知られる存在との由。

で、音楽的幼馴染みであり、聞くところによると、共に4歳から習い始めたエレクトーンの先生が同じ人で、それ以来の縁だという(これは会場での立ち話が耳に入った情報で、直接聞いたわけではない)。

パーカッションの楽器編成は、01/05/07/09/11がコンガ、ボンゴ、ジャンベ中心、02が大小の木魚を使用、06がバスタムの上に置いたスリットドラム(中空の木箱にスリットが入ってちょっと音の高低が出せる打楽器)、そして03/04/10がマリンバ。ほかに、大小の金属製の壷を逆さに吊るしたような楽器(楽器名不明)や、足に巻き付ける鈴などの様々な小物も使用。(多分)8"、10"、14"、20"チャイナのシンバル群がとても美しい音色だったのだが、あとで伺ったところによると「いや、普通のジルジャン」とのことだった。なんだろう、マレットの選択がよかったのか、それとも鳴らし方になにか秘密があるのか。

そうしたパーカッション群とピアノのアンサンブル、と、一言で言えばそういう次第だが、聴き馴染みのある曲もオリジナルも、まず第一印象はめまぐるしい変拍子と超絶技巧で、ヴィルトゥオーゾ、という言葉が結構ぴったり来るが、徒に技巧のみに向かい走っているという疑念は感じない。2ndアルバムにも入っている02、05、07、09(そしてアンコールの11)といった馴染みやすい楽曲が多いことも示す通り、いい気分で身体が動いてくるような音楽的な「なにか」を出来る限り残した上で、演奏家としての腕前を思う存分発揮しているという感じだろうか。

ちょっと自信のない見解だが、田中が広げたいだけ風呂敷を広げる一方で、神田が一緒に暴れながらしかし折り目をきちんと付けて行くような、飛躍と着地のバランスがとてもスリリングで興奮させられる。あるいは一見無秩序なポリリズムから、ピアノとマリンバが地の底からユニゾンで這い上がって来るようなアンサンブル(たとえばハチャトリアンを彷彿とさせる10)にも、強い快感を感じさせられた。

ポリリズムといえば、04の曲名は「音がずれる」ということだそうだが、複雑に絡み合うポリリズムの中、ときどきピアノとマリンバが同じ音程で触れ合うところなども、計算され尽くした結果かどうかは知らないが、とても印象に残っている。

09、11など、まずファンキーなリズムを基調としてその上で技巧や展開・構成の妙が発揮されるアプローチも、ライブ全体の色彩の豊かさにつながっていたと思う。

そのほうが却ってわかりやすいかもしれないので、心なくうまくまとめると、卓越した技巧による音楽的ジェットコースターの快感と、ジャズやクラシックが培った音楽的豊穣の両方を存分に味わえる、というような言い方になるか。その上で、音楽が本当に好きな人たち(実はプロの中にも少ないのではないかと、思うこともないではない)がそんなことを実に若々しい魅力を振りまきながらやっている、と思ってもらうと、この二人の演奏を聴く楽しさが伝わるかもしれない(かな?)。

仕事もそこそこに、関内まで出掛けてよかった。

4月には、荻窪でタンゴのヴァイオリニストを加えたライブがあるとの由。これも今のところ、聴きにいく予定↓
http://yozakura.shop-pro.jp/?pid=11859057


#TANAKANDA
http://www.bon-kan.com/bkmw0101.htm
http://www.bon-kan.com/bkmw0103.htm

01 VAMP
02 ライムライト
03 PとMのボレロ
04 おとずれ
05 アイ・ガット・リズム
(休憩)
06 Woody Voice
07 スカボロ・フェア
08 ひつじのおどり
09 サニー
10 クロちゃん?
enc
11 Take the "A" Train

2009年02月26日

酒井俊(今月二回目)

渋谷・公園通りクラシックスにて。メンバーは田中信正(p)、水谷浩章(b)、芳垣安洋(ds)、そして酒井俊が歌。

なんだか神懸かったような田中信正のピアノ。それに組んず解れつする水谷浩章と芳垣安洋は、ベースとドラムだからといって“リズム隊”というような演奏ではなく(そういう場面ももちろんあるが)、ピアノと同じように唄っていて、この三人の演奏はなんだか次元のひとつ違う凄まじい遊戯のようだった。

そのピアノトリオの遊戯に、酒井俊の歌が乗る。それはいわゆる“歌と伴奏”ではなくて、楽器も歌も渾然一体となって、歌という音楽ジャンルの可能性を探し求めているように思った。

曲目は前回観たMANDA-LA2でのライブとかなり同じながら、編成が違う(前回はドラム/サックス等、ギター/バンジョー、チューバ、バイオリン)という以上に異なるアプローチで、同じ楽曲をばらして再構築している(それも徹底的に)ようなところにも、そういう姿勢を感じる。

それにしても、私などの耳の分解能?では一体なにを演っているのかわからない場面も多いのに、じっと眺めて聴いていると泣きそうになってくるのは(特に03、06、07、11、曲名はわからぬがカリプソ風の13、および15がそうだった)、やはりその演奏が“歌”だからだろうか。間違った理解かもしれないが、今日のところはそう考えて納得しておきたい。

こういう音楽/歌が、身近なところで演奏されているというのは、実に幸福だと思う。

以下セットリスト。

01 Shenandoah
02 My Wild Irish Rose
03 Yes! We Have No Bananas
04 四丁目の犬
05 ヨイトマケの唄
06 黒の舟唄
07 Alabama Song
08 I Shall Be Released
(休憩)
09 Just Like a Woman
10 I Am You
11 Kaukurenbo-No Sora
12 My Coloring Book
13 Takes Two to Tango
14 At Last, I'm Free
15 Amazing Grace
16 Hallelujah
enc
17 満月の夕べ

2009年02月25日

Giulietta Machine

中目黒・楽屋にて。メンバーは、江藤直子(p、key、voほか)、大津真(gほか)、西村雄介(b)、藤井信雄(ds)。

うっかりしているうちに、ライブに伺うのは約一年振りだった。曲目的には、お馴染みの曲に、カバーでジョアン・ドナートの「A RÃ」。あと、ライブでは初演だという、1stアルバムからの「Fah」。二曲とも、嬉しい演奏(「A RÃ」は、月曜の小川美潮の際に続き、せっかくなので大津真のコーラスも聴きたかった)。

で、一年振りに拝聴した印象としては、なんというか、ライブ・バンドとしての一体感や膨らみが、ずいぶんと増していたように感じた。

元々、バンドと聴き手、個々の演奏者と聴き手、演奏者同士それぞれに、他のバンドなどにはない独特の距離感があるように思っていたのだが、その距離感が明確になってきたのかもしれない。あるいは、私(聴き手)の問題として、今回はその距離感を自分なりにつかめたというのもあるかもしれない。

しかし、やはり、たとえばベースソロやドラムソロ、あるいはフリージャズのような個々がぶつかり合うような、個々が暴れるような場面から、一気にぐっとまとまって引き締まるような流れの心地よさは、以前よりかなり強くなっていたと思う(特に第一部の11曲めと、第二部の3曲めと7曲め)。

とにかく、難しいことを抜きにして、単純に「バンドだ!」という心地よさを強く感じた次第だが、その上で今後は5月に新譜リリース、その流れで歌のゲストを迎えたライブを立て続けにやるという試みがあるとの由、とても期待すべき展開であるように思う。

あー、なんかちゃんと感想書こうと思ったら、偉そうで中途半端な批評みたくなってしまったすみません。お詫びついでに、新譜とライブ展開の宣伝の意味で、バンドのホームページURLを掲載↓

http://www.o2-m.com/g-machine/

あ、あと、江藤直子が演奏とアレンジで参加(音楽監督?は大友良英)したNHKのドラマスペシャル「白州次郎」が今週末放送との由。これも楽しみだ。

http://www.nhk.or.jp/drama/shirasujirou/index.html

2009年02月23日

小川美潮Birth Day Special

関内Stormy Mondayにて。メンバーは、小川美潮(Vo)、橋本一子(P)、橋本眞由己(Vo)、江藤直子(Key)、加藤道明(G)、大津真(G)、大川俊司(B)、藤本敦夫(Dr)、Ma*To(Dr、司会)。

小川美潮??歳のお誕生記念ライブ。なんというか、英語でintimateな感じ、というとぴったりな感じだったように思う。かなりドキドキさせられるラフな展開もあったが、そういったところもなんだかスタジオでのリハーサルに招かれたようで、暖かくて楽しい。

第一部は、メンバー各々によるお誕生日プレゼントの曲の数々。初っ端の橋本眞由己「告白」の、美しく安定していて深い歌声でちょっと意地の悪い歌詞を唄うところに、いきなりドキっとさせられる。ラスト二曲は小川美潮が唄う「Bridges」(ミルトン・ナシメントの「Travessia」)と「はじめて」。この「はじめて」が、素晴らしく泣かされる唄だった。

第二部は、小川美潮と橋本眞由己のオリジナルのほかはボサノバのスタンダードで構成、小川美潮が自らの訳詞(だと伺った)で歌う日本語のボサノバ歌唱が、定番や名演も含む他の様々なボサノバ歌唱にはない独自性と魅力があって、とても印象的。

とりわけ「三月の水」と「ワン・ノート・サンバ」。その「三月の水」や、あるいは「Triste」のアレンジやアプローチは、ほぼ「Elis & Tom」の通りだったような気もするが、それでも小川美潮ならではの独自性と魅力は際立っていた。

橋本一子、橋本眞由己、江藤直子が唄、コーラス、ソロなどを回すのも、華やかで楽しい。あと、「イパネマの娘」での橋本一子が「Boy from Ipanema~」と唄うのが、なんだかセクシーでドキドキさせられる。

その辺まとめて考えると、今日の親密でラフな感じもいいが、今日のメンバーでかつボサノバ路線でかっちりまとめた小川美潮のショウも観てみたいと思った(調べてみると、渋谷毅とのセッションで「三月の水」などを演っているようだ)。

なお、第二部のボサノバ路線以外では、「星の雫」での小川美潮の、リヴァーブを効果的に使った異様に美しいコーラスが印象に残る。これも機会があったら、また聴いてみたい。

お誕生日、おめでとうございました。

以下、セットリスト(括弧内は作者、メイン・パフォーマーなど)。

第一部
01 告白(橋本眞由己)
02 The River(ボサノヴァ風弾き語り。加藤道明)
03 すこしときどき(橋本一子)
04 TokiDoki(江藤直子、大津真)
05 この日のための美潮への讃歌(ブラジル風弾き語り。藤本敦夫)
06 ブルース弾き語り(大川俊司)
07 曲名失念(スティービー・ワンダーのなんかだったか)(MA*TO)
08 Bridges(小川美潮)
09 はじめて(小川美潮)

第二部
10 三月の水
11 未来へ(橋本眞由己)
12 星の雫(橋本眞由己)
13 Triste
14 おいしい水
15 イパネマの娘
16 ワン・ノート・サンバ
17 勇気を出して(橋本眞由己)
18 私は宝(小川美潮)
enc
19 The Frog

2009年02月22日

「ピカソとクレーの生きた時代」展

渋谷・文化村、ザ・ミュージアムにて。

ドイツ、ノルトライン・ヴェストファーレン州立美術館の、20世紀初頭の絵画コレクションを展観。表現主義、キュビズム、シュールレアリスム、そしてカンディンスキーとクレーという展示構成(カンジンスキーの3点のみ、ミュンヘン市立レンバッハハウス美術館所蔵作品)。

全64点のこじんまりとした展観で、うち27点が、様々な手法とモチーフのクレー。ピカソはキュビズム期?の作品6点だが、うちコラージュが2点。他の作家は1~3点ずつという感じだったので、観終わってみるとクレー展のような印象であった。

ではあったものの、クレーでもピカソでもなく恐縮だが、ミロの「リズミカルな人々」が、少し暗めな色調だが(作品名も含め)いい具合に脱力的で間抜けな味わいで、個別の作品では一番印象に残ったかな。193×171cmとでかい絵だし、これだけぼーっと眺めてても楽しそうである(確か、この絵の前にベンチが設えてあったように思う)。あとはピカソ「鏡の前の女」、ドラン「コリウールの舟」、マグリット「出会い」、シャガール「祝祭日」。マン・レイの「詩人、ダヴィデ王」が観られたのもよかった。

土曜日に観たがそんなに混んでなかったし、展示作品数も多くないので、構えずに絵を観に行くのにちょうどいい感じの展覧会であった。金土は夜9時までやっているみたいだし、仕事帰りとか渋谷に寄ったついでなどにいいかもしれない。

http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/shosai_09_k20.html

ところで、上述の「リズミカルな人々」や、クレーの諸作品(「ベルリンのまぬけ」や「踊りの場面」など)が面白かったので、家に帰ってから図録を眺めて模写して遊んでみた。むろん、人様にお見せできるレベルではないが、頭の普段使っていない部分を使うような作業なので、面白い。

で、調子に乗って、今日は暁斎「達磨図」を模写してみたが、玉砕。わはは、疲れた。

ディジュリドゥ・マジック35thスペシャル3Daysの三日目

2/12高円寺次郎吉にて。

今月は次郎吉35周年記念月間だそうで、スペシャルなライブが目白押しの中、創設者である荒井ABO誠率いるディジュリドゥ・マジックもスペシャル・メンバーで3Days。で、その最終日。

メンバーは日替わりだが、この日は渋谷毅pf、峰厚介sax、Dr.kyOn pf、バカボン鈴木b、鶴谷智生dr、仙波清彦perc、石渡明廣g。すごい。

なんだかメンバーを再確認しただけで、十分満足してしまった。正直、聴いてない人に文章で伝えるのはたぶん無理なので、メンバーの名前だけ見て興奮してほしい(興奮できる人は)。

休憩挟んで都合2時間半くらいの演奏時間で、たぶん10曲のセッション。たぶんというのは、曲の切れ目がわからないのがあったからだが、前半は割と早目のテンポ(サンバっぽいのや5/4)だったりごりごりめのファンクだったりして、かなりテンションが上がるものの、主役のディジュリドゥはちょっと存在感薄め。というか、聴こえないように感じた。

が、後半の少し抑え気味のアフロ系6/8みたいなのやラテンっぽいやつ、あるいはマイルスの「Star People」を想起させるような曲で、こういうセッションにディジュリドゥが加わることで生まれるグルーヴ感がなんとなくわかってきた。と、前半のセッションについても、なるほどなと納得する。

あとは、仙波清彦のプレイは観て楽しく聴いて体が動いてしまうだけでなくスティックの持ち方や振り方からして勉強になるなあとか、実はこの日お目当てだった鶴谷智生がプレイがいいのはもちろんなんだかすごい男前でびっくりしたとか、鶴谷智生とバカボン鈴木(ベースギターとスティック)とのコンビネーションはいわゆるドラム+ベース=リズム・セクションという感じでは全然ないんだがそれがまたカッコいいなあとか、Dr. KyOnがRD-700Xに仕込んだスキャットしているみたいな音でのソロが面白かったりとか。それと渋谷毅のオルガンの傍若無人な感じが意外だったりとか。あるいは仙波清彦と鶴谷智生がときどき子供のような打楽器遊びにこっそり興じているとか。そうした感想は、まあ未整理未消化のまま、ひとりで思い出してはにやにやしたいと思う。

あ、そうだ、渋谷毅とKyOnのデュオで始まるブルース(後半の一曲目)もカッコよかったなあ。

アンコールは荒井誠のソロで、一曲は手作り?のリード楽器で本田竹広に捧ぐという「With My Soul」という曲。もう一曲は拍子木付きのディジュリドゥのソロで、循環呼吸の鬼のようなプレイであった。

演奏とは関係ないが、35周年というお祭りだからか、常連っぽい女の人が多く、それぞれ酔い潰れて眠りこけてたり、ずっとしゃべり続けてたり、椅子に座ろうとして転げ落ちてカウンターで買ってきたばかりの飲み物とポテトチップスを床にぶちまけたりしてた人がいたのが、この手のセッションの客席としては珍しい感じだったのも、なんだか面白かった。

2009年02月16日

KAO'S! じゃけん

新宿PIT-INNにて。高橋香織(Vn)のリーダーセッション。

ドラムが仙波清彦と知り、そういえば来月久し振りに二曲だが人前で演奏する予定だから、勉強になるかと思って見物に出掛けた。勉強にはなった。演っていることが難し過ぎて、身に付きはしないけど。じゃあ勉強にはなってないじゃないか。

その他のメンバーは、坂田明(Sax、Cl)、天田透(B&Cb.fl)、吉森信(Pf)、吉野弘志(B)。

で、いきなり仙波清彦の、激しいけど妙に柔らかいドラム・ソロからステージは始まり、私などには超絶的としか聴こえないセッションが繰り広げられたわけだが、それでも充分楽しく、心地よく、いい感じで気分が高揚させられたのは、演奏や楽曲の中にある笑いの質が、自分に馴染めるものだったからのような気がする。

たとえば、天田透のドイツでの大変な引っ越しに想を得て吉森信が書いた07のテーマが、どう聴いても「引っ越し、引っ越し」と聴こえるところとか、09のピアノソロの際の、吉森信と仙波清彦の対話的な演奏のやり取りとか。

あるいは天田透が「どんぐりころころ」の新解釈?を試みた03とか、04のエンディングの「サカタアキラ、サカタアキラ」というコーラスや、08のやはりエンディングの「ヤクタタズ、ヤミクモリモリ、ヤミクモリ、アトハハレダ~」(という感じだったか)という変拍子ながらなんだか可愛いらしさもあるコーラスなど。

といったような笑いが含まれ、もちろんときに旋律や音色の美しさもある。音楽的には(多分)演奏者たちが演りたい高度な試みも試みられて、でも常に緊張感から苦しくなる一歩手前で引き返すような軽さも持ち合わせている、いいステージだった。

あ、難しい面ばかり強調してしまったかもしれないが、09や懐かしい10(多分80年頃に出た、45回転盤のA面)など、親しみやすくカッコよい曲もあり。

なお高橋香織のリーダー・セッションは、メンバーが半分くらい変わり、2/19(木)にもあるとの由(公園通りクラシックスにて。高橋香織・鈴木広志・鬼怒無月・渡辺等・仙波清彦・天田透)。この日は予定があって行けないので、誰か行って様子を教えてくれないかなー。

以下、本日のセットリスト(括弧内は作曲者)。耳で聞いた曲名なので、字は違っているかもしれない。

01 NBABA(吉野弘志)
02 青に浮かぶ赤(吉森信)
03 どんぐりころころ(天田透)
04 サカタのタネ(高橋香織)
05 ウェディングマーチ(坂田明)
(休憩)
06 舟の丘(吉野弘志)
07 引っ越しのブルース(吉森信)
08 A Good for Nothing(坂田明)
09 梅肉エキス(高橋香織)
enc
10 TRA(坂田明)

2009年02月11日

第一回持ち寄りレコードコンサート(仮)

人に聴かせたいレコードを持ち寄ってひたすらかけ続ける、というだけの実に平和で無邪気な催しなのだが、これが意外に面白かった。

2/11に開催。参加者は、私の大学時代の友人Woo(この日の席主)と、その仕事上の同僚のkさん夫妻、そして私青木の4名。

さて、まず最初のお点前は、20年前にニューヨークで入手されて以来一度も再生されなかったというバブス・ゴンザレスとエディ・ジェファーソンのデュオ「Rockin' & Rollin' the Blues」(SP)。この日の席主秘蔵の一枚だが、ちょっと下世話なところがカッコいいアレンジとか、歌詞の中に「Saxophone」や「Trombone」が出てくるとそれぞれの楽器がいい間で鳴るとか(サックスは不明だが、トロンボーンは恐らくベニー・グリーン)、なかなかの名音源であった。ちなみにSP再生環境(78回転対応のポータブル・プレイヤー)は、不詳私めが提供させていただいた。

あとはおおむね、次のような出品。

-Capitolizing, Professor Bop/Three Blips and a Bop featuring Babs Gonzales (w) (SP)
※ソニー・ロリンズ18歳の初録音として知られる音源

-ゲイシャ・ルンバ/神楽坂はん子 (a) (SP)

-歌舞伎劇 繪本太巧記 十段目(一)(二)/松本幸四郎ほか (a) (SP)

-ベートーベン交響曲第6番「田園」/トスカニーニ指揮、NBC交響楽団 (k) (SP)
※本催し開催のきっかけとなった、掘り出し物の一セット(4枚組)

-Cook Note/渋谷毅 (k) (LP)

-Cook Note/渋谷毅 (w) (CD)

-Helen Merrill-John Lewis (a) (LP)
※高田馬場のジャズ喫茶マイルストーンの店主が「渋谷毅も絶賛」と書いたポストイットが貼られた一枚

-アニバル・トロイロ名演集 (k夫人) (LP)
※タンゴ界のアイドル?、トロイロの名演集。ピアソラがアレンジで参加した曲も収録

-Lost in the Stars, The Music of Kurt Weil (a) (LP)

-Soul On Top/James Brown (a) (LP)
※「Lost in the Stars」でのルー・リードと、本盤のJBの、二大変態?「September Song」を聴き比べ

-1982-1984/Robert Wyatt (a) (LP)

-What's New Pussycat?/A Movie Soundtrack (a) (LP)

-ちあきなおみ 演歌ブルースを歌う「愛の旅路を」 (k夫人) (LP)

-タオルミーナのサン・ドメニコ・バルベルス マンドリンの幻想(k) (10インチ)

-ベートーベン チェロソナタ第3番/パブロ・カザルス、ルドルフ・ゼルキン (k) (10インチ)

-Bennie Blows His Horn/Bennie Green (w) (10インチ)

-at newport 63/Lambert, Hendricks and Bavan (w) (LP)

-Sing Along With Basie(Cloudburstを聴いた)/Lambert, Hendricks and Loss (w) (LP)

-Cloudburst(Shiny Stockingsを聴いた)/John Hendricks (w) (LP)

-Les Fleurs Du Mal/Léo Ferré (a) (LP)

-Quatuor De Saxophones De La Musique De La Garde Republicaine De Paris (a) (LP)
※フランスのサキソフォン四重奏曲集

以上、脈絡があるようでないようで、また貴重盤、珍盤ばかりでなく個人的な思い入れでの出品もあり、というところが却って楽しい。ほんとにただレコードかけているだけなのに、みんな静かに興奮してくるところなども可笑しかった。また、自分の盤が褒められるのもなんだか妙にうれしい(ただ選んで買っただけなんだが)。

今後も、場所を変えたり遠出をしたりしながら続ける予定。

2009年02月10日

P渋谷毅 Gt潮先郁男 Gt中牟礼貞則  Voさがゆき

新宿「Jazzあ・うん」にて。

18を渋谷毅とのデュオで唄い終えたとき、自分たちの作り出した音楽のあまりの美しさに思わず目頭を熱くしたかに見えたさがゆきが、とつぜん「渋谷毅なんか大っきらい」と呟いたのが印象的なライブだった。

アルバム「We'll Meet Again」のメンバー+中牟礼貞則というライブで、中牟礼貞則のギターも素晴らしかったが、潮先郁男は人間国宝にすべきではとすら思った。このお歳ならではの枯れ具合と、枯れていつつやはりこのお歳だからこそ出せるドライブ感という点で、演奏スタイルこそ違え、ジョアン・ジルベルトを思い起こさせる(お歳が近い所為もあるだろうけど)。個人的には、15の、特に間奏部分の美しさにしびれた。

渋谷+潮先+中牟礼で200歳超というベテラン揃いなのと、結構みなさん酒を進めながらの演奏だったので、曲が進むにつれてみんな休みたがるのが、なんだか微笑ましくも可笑しい(なので、終盤はデュオ曲が多かった)。

そのベテランたちをうまく乗せつつ、その上にさらに自分の歌唱を花開かせていくさがゆきのステージングも素晴らしいと思った。この4人が揃うチャンスはもちろん、どんな組み合わせでも、できるだけ体験したいと希望する。

というこんな貴重な演奏を、聴衆20人でこぼこのアットホームな場で堪能することができた。最近、なんか贅沢しているなー。帰り際に唄い手からチョコレート、店からリンゴまでいただいたし。ありがとうございました。

#あまりに楽しかった所為か、素面なのにうっかりチャージ等払い忘れて店を出る。気付いて慌てて取って返したら、ちょうど同行の友人が支払いを済ませてくれたところだった。

以下、今日のセットリスト(註のない曲は、すべて4人での演奏)。

01 Dream a Little Dream of Me
02 In the Wee Small Hours of the Morning
03 Guilty
04 Just You Just Me
05 A Ghost of a Chance
06 Boy Next Door
07 Indian Summer
08 Somewhere Along the Way
09 Can't Help Loving that Man
(休憩)
10 Stuffy
11 Street of Dreams
12 I Love You
13 Nevertheless
14 For All We Know
15 Mona Liza(潮先+さが)
16 This Love of Mine(潮先+さが)
17 Let Me Call You Sweet Heart(渋谷+さが)
18 Stardust(渋谷+さが)
19 My Romance(中牟礼+さが)
20 Crazy She Calls Me
enc
21 Alice Blue Gown(潮先+中牟礼+さが)

2009年02月08日

渋谷毅ソロ

西荻窪アケタの店にて。深夜0:30頃から、途中休憩挟んで、2:30頃までの演奏。

渋谷毅フリークである、栃木で漬物屋を営む友人の誘いで見物に出掛けたが、渋谷毅の家のリビングで、渋谷毅も聴き手もくつろいで音楽を楽しむ、といった趣きのライブだった。

渋谷毅は、少し呑みつつ、また煙草もくゆらせつつ、端正でかつ暖かいピアノを奏でる。最初、一音一音の粒が明確なピアノだなと思って聴いていると、後半になるにつれ、その音の粒が輝きを帯びてき出すような感じが面白かった。

大変気持ちよかったので、途中から曲数を数えるのを止めてしまったが、全部で18曲くらいだったか。これでチャージ1,000円(ドリンク付き)はお得だ。

うちからクルマで西荻窪は、夜中なら往復30分かからないくらいだから、またちょくちょくお邪魔したいと思う(この夜中のライブは、毎月やっているとの由)。誘ってくれた友人に感謝したい。

2009年02月05日

酒井俊

吉祥寺MANDA-LA2にて。メンバーは太田惠資(バイオリン)、桜井芳樹(ギター、バンジョー)、 関島岳郎(チューバ、リコーダー)、 中尾勘二(ドラムス、テナーサックス、クラリネット、トロンボーン)、そして酒井俊が歌。

路線とかコンセプトとかを、うまく言葉でいい表せる音楽ではないが、素晴らしい。演劇っぽい要素も感じるが(特にAlabama Songの中盤の台詞語りの部分など。あるいは歌唱に伴って展開される身体や表情の動きなど)、そう言ってしまうと多分全然違う印象を与えてしまうようにも思う。言葉にし難い。しかし素晴らしい。

相当なキャリアや技術、表現力を持っていてなお、歌いたいような歌唱、演奏したいような音楽を模索している様子が窺える(楽器編成だって変といえば変だが、しかし今日のこの歌と演奏になくてはならない編成であった)。そういう意味では立川談志のようだ。ほんとか。

私は昨年は、土岐麻子・うめ吉・長見順イヤーだったが(どんなイヤーだ)、今年は酒井俊イヤーになりそうだ。2月はあと一回(26日渋谷・公園通りクラシックス)は行くだろうし、3月は下手すると四回だなあ(6日入谷・なってるハウス、13/14日渋谷公園通りクラシックス、22日新宿PIT-INN)。何故なら、ほとんど全部、編成や演奏内容が異なるようなので。

以下セットリスト。

01 曲目不明
02 曲目不明
03 Yes! We Have No Bananas
04 四丁目の犬
05 ヨイトマケの唄
06 黒の舟唄
07 I Shall Be Released
08 橇に残された約束
(休憩)
09 アラビヤの唄
10 Hong Kong blues
11 Kaukurenbo-No Sora
12 見上げてごらん夜の星を
13 Kaimono Boogie
14 Alabama Song
15 At Last, I'm Free
16 曲名不明
enc
17 ゴンドラの唄
18 満月の夕べ

2009年02月02日

パンチの効いたブルース

西荻窪Terraにて。

今日のテーマは、チェ・ゲバラと革命だった。

といっても、たまたまメンバー三人ともベレーのような形の帽子を被っていたからか、メンバー紹介でチェ・マダム(長見順のことね)とかパ・グレイス(ドラムのGRACEのこと)といったり、曲中のコーラス部分でチェ、チェ、と掛け声かけるなどふざけているだけで、まるでバカみたいだけど、首尾一貫しているので妙に可笑しい。演奏の面白さも相俟って、仕事帰りに楽しく大笑いさせてもらった。

02がGRACEの新曲(多分)で、04がかわいしのぶの新曲(多分)。04はグレイスがラップ・スチールを弾いて、テンポがあるようなないようなソロを展開し、続いて長見順がさらにテンポをぐだぐだに崩して行く。その上で、かわいしのぶが「お腹に虫が湧いたから、いくら食べても太らない」というような歌を歌う。なんだかもうわからないが、名演。これはまた聴きたい。

あとはいつも通りという感じだったが、アンコールがなんだか美しかったな。

ちなみにこのライブハウスは、「プロとアマチュアをブッキング」というコンセプトがあるそうだが、共演の、京都から上京(京都からだと上京は変か)して来たという男子三人組は、なんだか可哀想だったなあ(比較すると、音楽的パワーが弱々しく感じられてしまうという点で)。せっかく東京に拠点を移したのだから、これをいい刺激に、精進できるとよいと思う。

以下、セットリスト。

01 あっしにはかかわりのねえことでござんす
02 真っ赤な夜のブルース
03 SM東京
04 共生のブルース
05 秘め事
06 殴られる人生
07 夏から生まれた夏子さん
08 加藤さんのテーマ
09 舟歌
enc
10 暴走族のボレロ

2009年02月01日

買物ブギ

いや、今年に入ってから、買い物らしい買い物はしていないのだが(電気ストーブを買ったくらいか)、酒井俊の「買物ブギ」(1996年)が大変カッコよかったので。

酒井俊は、この週末でほかに、「shun」「My Imagination」「Fly Me to the Moon」「夢の名前」「Beyond Time」「四丁目の犬」「満月の夕べ」(順不同)がCDショップから届いたので聴いたが(「shun」は廃盤みたいだったので、Yahoo! オークションで入手)、どれもちょっとずつ語りたいことがあってよい。これらを通して聴くと、坂本龍一、高橋ユキヒロ、吾妻光良、片山広明、渋谷毅、鮎川誠、鈴木茂、小原礼、浜口茂外也、川端民生、芳垣安洋、ペッカー(順不同)などなど結構すごい顔ぶれがサポートしているし、この面々の酒井俊のサポート仕事の素晴らしさを語るだけでもいくらでも話ができそうだが、うーん、今日はもう眠いので割愛。

あとこの週末は、長見順のデビュー作「大きい花」を手に入れた。ちょっと高かったが、たまたま機会があって作者本人に尋いたときも「もう手許にもない」とのことだったので、嬉しい。

長見順は、このデビュー作(1998年)がリリースされたときに酒井俊に送ったそうだが(昨年、このふたりが共演したライブで、10年の時を経てその代金が支払われていた)、こうして続けて聴いてみると、長見順に酒井俊の影響がほんのり感じられて面白かったな。

そんな週末であったが、こうして書いてみると、結局なんとなく、買物の話になっているなー。

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