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2009年04月29日

TANAKANDA

4/29、荻窪衎芸館にて。TANAKANDA(ピアノ=田中信正、パーカッション=神田佳子)に、ゲストとしてヴァイオリンの会田桃子。

おおまかな印象は、前回と同様だが、ヴァイオリンが入ることによって、田中正信と神田佳子の超絶技巧振りを余裕を持って楽しむことができたように思う。たとえば04で、フラメンコ風?→ファンク風と展開したのち、神田のソロがあってプログレ的なユニゾンのアンサンブルを経て元に戻るという展開は、ヴァイオリンの参加があってこその効果かなと思った。

なお、ヴァイオリン参加は02〜05と、08、09、10。それ以外のTANAKANDAのみの曲が息が詰まるかというと、まあかなり着いて行くのに努力は要するが、ツボを見つけるとかなり楽しい。というか、笑いがこみ上げてくる。特に10とか。アクロバティックな曲の作りや演奏も、ただ技巧に舌を巻くというのではなく、聴く方の「楽しい」と感じるポイントを巧みに突くように腐心されている点(多分)、このユニットの面白さなのだなあと、改めて感じた。

ちなみに会田桃子は、曲のいろんな場面での絶妙な音色のコントロールにとりわけ感銘を受けた。03のソロでは肌が粟立った。タンゴ畑の人だが、本業?のほうも聴いてみたいなあ(この日の曲の中では、09が会田のオリジナル)。

以下、この日のセットリスト。

01 My Favorite Things
02 Woody Voice
03 Bolero With MVP
04 Grassy
05 All Blues
(休憩)
06 おとずれ
07 I Got Rhythm
08 A Sheep's Dance From "The Sheep's Hair Whorl"
09 CANDOMBE 400
enc
10 Chro-Chan?
11 Requiem

渋谷毅オーケストラ

4/29、新宿PIT-INNにて。渋谷毅(P, Or)、峰厚介(Ts)、松風鉱一(Sax, Fl) 、林栄一(As)、津上研太(Sax)、松本治(Tb) 、石渡明廣(G)、上村勝正(B)、古沢良治郎(Ds)。ゲストに外山明だったが、ドラムは外山明が専ら担当し、古沢良治朗はカクテルドラムほか、パーカッション担当に回っていた。あと、休憩後の08から秋山一将が突如ギターで参加。

で、うーん、これはカッコいい。70過ぎのご老人(といったら失礼だが、まあ、世間的にはという意味で)がリーダーとは思えないとんがり方とパワー。いやもちろん、とんがっているばかりではなくて、きっちりとしたアレンジの美しさもあってこそなのだが、私個人としては、ものすごい新鮮さを感じた。

石渡明廣や上村勝正、今回は外山明という比較的若い、かつ先鋭的?なメンバーがいるからというのも大きいが、もちろんそれだけでなくて、他の大ベテランが皆、自分たちの培って来たものの上にあぐらをかいていないからというのが大きいだろう。

こういうのこそ、10代〜20代の若い人たちも聴きに来たらよいと思う。

あとあれだ、このメンバーの名前とPIT-INNという場所柄から、やはり立ち上がって身体を動かすのは憚られるが、できればそういうの気にせずに楽しみたい。特に12など、上村勝正のベースの推進力がものすごくて(特に中盤の林栄一のソロ辺りから)、踊るなという方が無理である。

えー、あと、曲ごとでは、01で外山明のドラムソロからテーマへの戻り方になんだか爆笑、06は石渡明廣率いるMullhouseの曲(渋谷毅とのデュオ「月の鳥」にも収録)で林栄一のソロがとりわけ印象に残り、曲名のない07はやはりMullhouseの新曲だそうだが割と普通の4ビートで演ってもカッコいいだろうところを外山明のドラムでさらにカッコよく、09では石渡明廣のギターがサックスソロの後ろでなんだか面白いことをやっていて、12ではエンディングに向けて何度もカウントを出す松本治のカウントの出し方が素敵であった。

あとはやり、ピアノ演奏時とは違う、渋谷毅の傍若無人なオルガンは好きだなあ。

以下、この日のセットリスト。

01 Side Slip
02 Ballad
03 Three Views Of A Secret
04 Chelsea Bridge
05 Brother
(休憩)
06 Obscure Steps
07 タイトルなし
08 もはやちがう町
09 Sonnet For Sister Kate
10 Such Sweet Thunder
11 Soon I Will Be Done With The Troubles Of This World
12 Aita's Country Life

2009年04月26日

マダムギター長見順ソロライブ in 渋谷dress

お陰様で、大盛況。ご来場のみなさん、ありがとうございました。

カウンターの中で歌っていただく、というのは、マダムのキャラクターならではで、成功だったなあ。打ち合わせ時の誰かの思いつきだったと思うが、正解でした。マダムも演奏しながら、曲の間に呑んだり、酒を薦めたり注文を取ったりして可笑しい。

あと、天井から吊ってある鍋叩いてリズム取ったり。かっこいい。

アンコールで「クーチークー」が聴けたのもよかった(o2さんリクエストありがとう!)

また演っていただけそうなので、今回来られなかった方は、次回はぜひ。

以下、この日のセットリスト。

01 Moon Shine
02 Mama Goes Shopping to Thailand
03 半袖着たり長袖着たり
04 わかってるのかなぁ
05 ワラビの季節
(休憩)
06 ハナウタ
07 夏に生まれた夏子さん
08 あーは ステキな溜息さ
09 723
10 加藤さんのテーマ
11 舟歌
enc
12 ツキのない夜
13 クーチークー

2009年04月24日

森山威男(ds)グループ

4/24、西荻窪アケタの店にて。音川英二(ts)、渡辺ファイアー(as)、佐藤芳明(acc)、田中信正(p)、望月英明(b)。

森山威男のライブは初めて観るが、なんというか森山威男、ジャズドラム界の北島三郎といった趣であった。音楽的にも人柄的にも、すごい信頼感と安心感を醸し出していて、面倒見がよさそうである。

この日の興味は、なんといってもこういうコンボで田中信正がどんなプレイをするかだったのだが、いつもどおり、気の狂ったような渦巻くピアノで、両の手のひらで鍵盤をひっぱたきつつ、どこまで行ってしまうんだー、という乱上昇乱降下的フレーズの嵐。気持ちよかった。

もう一曲目からすご過ぎて大爆笑。メンバーも田中のソロのときに嬉しそうに笑っていることが多かった。

フロントの3人が、印象としては森山威男一家の若頭で、親分の反応を窺いながらソロを取っていた様子だった(あくまでも私個人の印象)のに比べ、田中は傍若無人な客分といった感じで、確か前半二曲目(曲名失念)だったか、田中が森山を煽ってそれに森山ががっと乗ってくるという場面もあり。

#ちなみにベースの望月英明は、ソロを取ったのは一曲のみ(確かアンコールの「ハッシャバイ」)で、全体に表に出ない感じだったが、それがまた、森山一家の大番頭、という佇まいだった。

また後半二曲目「ダニーボーイ」では、田中が弾くテーマから曲が始まるが、その後田中+森山のフリーセッションに突入し、その格闘が続く中でフロント3人が再びテーマを奏でるという構成で、これはこの日の中で、バンドとして一番カッコよかったように思った。ああ、バンドとしてカッコよかったのは、あと板橋文夫作の有名な「サンライズ」(第二部ラスト)もだ。

ステージは、一曲あたり20分という感じで、曲間には森山威男の、山下洋輔トリオやタモリに関する思い出話?や草薙全裸事件についてなどの楽しいお話もあり、大変満足の一夜。森山威男は、アケタは5年に一回くらいの出演とのことだから、いろんな意味でラッキーだったかもしれない。

ラッキーといえば余談だが、休憩時に毎回恒例なのか、森山威男とのジャンケン大会が行われ、私は見事勝ってしまった。賞品は、森山威男はじめメンバー全員のサインが入った森山威男使用済みドラムヘッド(REMOのウェザーキング・コーテッド・アンバサダー)。この日は森山威男目当てということでなかったので、他のお客には申し訳ないと思ったが、一応アマチュア・ドラマーのはしくれとして有難く受け取った。

2009年04月20日

スリー・スプリング・スクイージズ

4/20、下北沢ベースメントバーにて。出演は、マダムギター長見順、sakana(pocopen、西脇一弘)、イーヨ with 窪田晴男/tatsu/外山明、の三組。

以下、この日はいろいろあったので日記風にちょっと話が長くなるが—

この日夕方、マダムを開店前の渋谷dressにお連れして、26日のライブについて打ち合わせ。酒場(バー)ライブならではの、ちょっと面白いことになるかもしれない。まだ当日のリハーサル次第ではあるけれど。

#ちなみにこのdress、一周年記念ということで、今週金曜日はお一人様3000円ぽっきりで夕方から翌朝まで呑み放題食べ放題との由。

で、マダムはこの日ベースメントバーにご出演だというので、観に伺うことにする。

時間が余ったので、百軒店をひと回りしたら、多分酒ではないなにかに潰れた男が麗郷(老舗台湾料理屋)の前でぐったりとしていたり、浮浪外人がラブホテルの前で職務質問されていたり、道頓堀劇場が営業停止になっていたりした。道頓堀劇場のショーは好きだったんだがなー。

それでも時間が余ったので、Lonsome Stringsを聴きながら下北沢まで歩いてみる。Lonsome Stringsを聴きながらの散歩は、目に入る風景が皆愛おしく映像化されるような感じで楽しくて、これは癖になりそうだ。

前置きが長くなったが、ちょうどいい時間にベースメントバー着。トップバッターがマダム。この日は、どちらかというとsakanaやイーヨのファンが多かったようで、ちょっとアウェイ感漂う会場だったが、そんなことは気にしないような(多分、本当はものすごく気にしているんだろうけど)マダムトークと歌とギターが炸裂して、会場はかなり暖まった。01と03と04がはじめて聴く曲(04は新曲と言っていた)。03の曲紹介で、「温泉もいいけど」と言ったきりかなり長い間があったのち、「山菜採りもいいということで」と言って、「猿を見た〜」と歌い出す流れは最高だったなあ。

マダムのソロを観るのは一年振りくらいだが、相当面白いことになっているので、26日のライブも大いに期待できると思う。

マダム終演後、ふと横を見ると、今年1月に急逝した友人Nを送る会で見かけた顔がいたので、声をかけてみたら、今日ご出演のtatsu氏であった(ご存知とは思うが、レピッシュのベースの人)。Nの会では、お礼というのかなんというのか、まあ香典返しだ、それでめちゃくちゃカッコいいキーホルダーがNを送った近しい面々に贈られたのだが、ゆくりなくも、tatsu氏はそれを今日おろしたところだという。これで私もそのキーホルダーを使っていたら、すごくいい話になったのだが、残念ながら私はまだしまったままだ。でもそれでも、Nを思い出してなんだかしみじみとした。私もそろそろおろすとするか。

さて、続いてはsakana。トリのイーヨもそうだが、sakanaのことはあまり詳しく知らなかったが、すごく落ち着くpocopenの声と、ガットギターのデュオ演奏(pocopenは足でなにやらパーカッションも操作)、曲、そして風貌。ファンになる。フォークといえばフォークだが、sakanaとしか言いようのない世界だった。

sakanaの3曲目の、それも演奏の途中から、とつぜん外山明がのっそりと参加して、ドラムを叩き始めたのが可笑しい。外山明自由だなあ。よく見るとうしろ頭に寝癖ついているし。そのまま外山明参加で、全8曲。

最後にイーヨ with 窪田晴男/tatsu/外山明。イーヨがまた、歌といいキャラクターといい、蕩けてしまいそうによかった。このよさは、迂闊に書くと人格を疑われそうなので書かないが、イーヨが外山明をいじめる*ところなど、なんかもう、という感じで可笑しくてよい。

*外山明はドラマーなのにカウントを出すのが苦手だそうで、それなのに、じゃあ次は外山君のカウントからね、と、いやがる外山にカウントを強要し続けるとか。

窪田晴男/tatsu/外山明、この組み合わせは、この日が初めてで、譜面も今日渡されたそうだが、淡々とすごく気持ちよくグルーヴするtatsuのベースを中心に、窪田晴男のカッコいいロックギターに外山明がなんとなく抗いつつ呼応していくという感じか。外山明も最後、もちろん外山流だが8ビートのロックっぽいプレイになっていて(いや、イーヨでは多分、いつもそうなのだろうと推測するが)、その移り変わりがまた痺れる。この組み合わせがまたいつ実現するのかわからないし、偶然だが観といてよかった。全7曲。

アンコール代わりに、今日の出演者全員参加で、ビートルズの「Dear Prudence」とT-Rexの「Jeepster」を演ったが、「Jeepster」のマダムのギターソロでは、窪田晴男がびっくりしたような嬉しそうな顔で大爆笑していたのが印象に残る(それくらい衝撃的にカッコいいソロだった)。あとpocopenが静かなsakana本編とは違って踊りまくりなのも面白くてよかった。

そんなにお客の数は多くなかったが、それが信じられないくらいにいいイベントだったなあ。なので、久し振りにトラブルピーチで余韻に浸り、といっても撃沈はせず、ちゃんと電車で帰宅。

sakanaとイーヨは曲名知らないので、以下長見順のみセットリスト。

01 Mama Goes Shopping to Thailand
02 温泉に行こう
03 ワラビの季節
04 ハナウタ
05 夏から生まれた夏子さん

2009年04月16日

加藤崇之(G)+潮先郁男(G)+さがゆき(Vo)

4/16、四ツ谷・ギターBAR・ポコタンにて。

いやあ、よかった。どうよかったかは、教えてあげない。というか、簡単には書きたくない。

ということで、またおいおい。とりあえずセットリストだけ書いておこう。

あ、そういえば、このメンバーでの演奏は、当初「一夜限りの夢」というつもりとのことだったが、計画として決定したかはともかく、このメンバーでレコーディングする意思は、リハーサルの時点でがっちり固まったそうだ。そう、ライブもまた行ってほしいが(強く希望)、音源も残してほしい。なにができるわけでもないが、なんらかの形で力になれたらいいなあ。

以下、この日のセットリスト。

01 Guilty
02 Dream a Little Dreams of You
03 Go Away Little Boy
04 Gee Baby I Ain't Got
05 In the Wee Small Hours
06 Just You Just Me
07 Can't Help Loving That Man
08 Crazy He Calls Me
(休憩)
09 Nevertheless
10 The Boy Next Door
11 Monaliza(さが+潮先デュオ)
12 This Love of Mine(さが+加藤デュオ)
13 Alone Together(潮先+加藤デュオ)
14 Too Late Now
15 My Romance
enc
16 Alice Blue Gown

2009年04月12日

渋谷毅ソロ

4/11深夜、西荻窪アケタの店にて。

一曲目の「Memories of You」にいきなり痺れる。以前、10年振りくらいで海水浴をしたときに海水の滋養が身体にじんわり染み込むような気がしたが、それと同じような感じを得た。いいのかこんな感想で。

あと後半のやはり一曲目で演った「Round About Midnight」が、最初聴き慣れた感じだったのがちょうど中盤、テーマに戻る前辺りになんだかとても不思議な弾き方をしてたのが印象に残る(言葉には全然できないんだが)。そう思うと、最初のテーマ部分ですでに、モンクとは違う不協和音の用い方が面白かったようにも思う。毎月通っている人にはお馴染みなのかもしれないが(どう?>絵ログ)、このアプローチは、またぜひ聴いてみたい(制作中だと聞くソロアルバムには収められないだろうか)。

モンクの曲は、あと「Misterioso」(前半二曲目)と、あともう一曲だったかな。

ご本人は、休憩のときに「今日は調子が悪いなあ」とぼそっとつぶやき、また後半の終盤で「Danny Boy」(ソロピアノのアルバムより、森山威男とのデュオを思い出した)を弾き終えたあとに小首を傾げ、あれっと思うような不思議な音を「ピロピロピロポン」と弾いてからもう一曲演って、「今日はこれで終わりにします」と、アンコールを求める間もなく、終えてしまった(まあ、だいたいいつも、アンコールという手続きは面倒なんで、といって勝手にアンコール曲を始めるんだけど)。

演奏を堪能している限り、「調子が悪い」というのは全くわからなかったのだが(言われてみれば少し突慳貪な演奏だった気もするが、まあそれを無理に探すこともなかろう)、こういう「今日はなんかのらないな」という様子を目にするのも、特に悪い気はしない。

むしろ、頭の中で勝手なドキュメンタリーが構築されるようで、面白くもあった。そしてこうやって、毎月通うようになるんだろうなあ。

演奏曲は、あと「Lotus Blossom」、「Jeanie with the light brown hair 〜 Day Dream 〜 Snowfall」のメドレー、「Love You Madly」など。メモ取ってないので自信なし。前半で演ったブルースは、「Blues No.21」だったかな、違う?

以下、本日のセットリスト(友人のメモを写し一部加筆)。

01 Memories of You
02 Misterioso
03 Body and Soul
04 Blues No.21(?)
05 Soldier in the Rain(?)
06 Love You Madly
07 Polka Dots and Moonbeams
(休憩)
08 'Round About Midnight
09 (ブルース)
10 Monk's Mood
11 Medley (Jeanie with the Light Brown Hair ~ Day Dream ~ Snowfall)
12 Black Beauty(?)
13 Lotus Blossom
14 Danny Boy
15 (?)

2009年04月09日

ZEKオーケストラ

4/9、西荻窪アケタの店にて。清水くるみ(p)、渡辺隆雄(tp)、林栄一(as)、片山広明(ts)、松本健一(bs)、早川岳晴(b)、本田珠也(ds)。

このメンツで、レッド・ツェッペリンの曲だけを演るという集団。今日のMCで知ったが、アケタの店30周年のときに清水くるみが明田川荘之に「なにかオーケストラをやって」と依頼されたのがきっかけだという。ただし、それがなぜツェッペリンの曲を演ることにつながったのかはわからない。

わからないが、演奏を聴いているとなんとなくわかるというか、わかったような気にはなる。ジャズメンがツェッペリンを演るといって、たとえば「天国への階段」を4ビートで美しく演るとかそういうのではなく、ツェッペリンの4人が醸し出したのと同種のエネルギーの渦のようなものを、ジャズの演奏家たちの方法によって蘇らせるようなアプローチだ。

で、林栄一、片山広明を筆頭に、それぞれがなにか衒うわけでもなく、実にのびのびと、勝手にカッコいい演奏をする。それがちょうどツェッペリンぽかったり、どんどんツェッペリンから離れていったり、というのが実に楽しく、興奮する。破綻したり、見失ったりもあるが、それも含めてカッコいい(林栄一と片山広明が、一曲の他のプレイヤーのソロの最中、ふたりで譜面を見ながら「今どこ?」「ここ。次あんただよ」などとこそこそやっているのも楽しいのは、まあファンだからだろうけど)。

個々の曲のことを言えば、各々割と原曲に近いアプローチだったと思うが(書きながら原曲をきちんと確認しているわけではない)、01と02は聴き終えてみるとかなりフリーの印象。03では林のソロが光り、04では林→片山→清水というソロがめちゃくちゃカッコよく、清水のソロのときに本田珠也(全編通じてときどきボンゾが降りて来たり、違うなにかが降りて来たり)がブラシに持ち替えたところも痺れたし、そのあと片山がふとハンドクラップをはじめたところなど、いきなりゴスペルの感じだった(余談だけど、私は一時期、ツェッペリンを黒人音楽の亜種として捉えて聴いていたことがある)。

05は、もう曲が始まるというときに早川岳晴が「4弦を1音下げてこう弾いたらカッコいいでしょ?」とチューニングを変え、07はブルースだからか全員が最も映える中林のソロの途中で片山がとつぜん歌い出したのがますますカッコよく、08はフリーな展開からテーマへの戻りにゾクゾクした。

男衆はなんだかみんなカッコよく下世話な中、ひとりダンディな渡辺隆雄は全曲通して安定してて、バリトンサックスの松本健一は、子だくさんだそうで片山広明に「あんたは避妊の仕方を知らないの?」とからかわれていたが、早川岳晴のベースといい塩梅で低音部を支えていただけでなく、05、08のソロが心に残る。

で、早川岳晴は、ギターがいない分ジミー・ペイジ役も見事にこなしていて(01や09でのベース弾きまくり具合など)すごい。

そして主役の清水くるみは、正直ホーンがやかましくてピアノがほとんど聴こえなかったんだが、02、07、08で「みんなうるさいわよ」と周囲を黙らせる(という構成にしてただろうわけだが)ピアノソロが、水際だって美しかった。

ホームグラウンドたるアケタの店での、このメンバーでの演奏に文句をつけるつもりはないが、でき得れば、もうちょっとよいピアノとドラムセット、そしてよいPAと音響でも聴いてみたいかな。それと、せっかく「ジャズ」という方法でツェッペリンを採り上げるのだから、この発想を保ちつついろんな演奏者で試しても面白いかと思った。いやもうやってると思うけど。

以下、この日のセットリスト。括弧内は、なんとなく、原曲収録アルバム名。

01 Nobody's Fault But Mine(Presence)
02 Friends(Led Zeppelin III)
03 When The Levee Breaks(Led Zeppelin IV)
04 The Lemon Song(Led Zeppelin II)
(休憩)
05 Kashmir(Physical Graffiti)
06 Misty Mountain Hop(Led Zeppelin IV)
07 I'm Gonna Crawl(In Through The Out Door)
08 Immigrant Song(Led Zeppelin III)
enc
09 Heartbreaker(Led Zeppelin II)

2009年04月08日

酒井 俊(vo)、桜井芳樹(g)、今堀恒雄(g)

4/8、吉祥寺MANDA-LA2にて。桜井芳樹はセミアコとバンジョーを曲によって持ち替え。今堀恒雄はストラト(風のオリジナル)とガットギターを持ち替え。

桜井芳樹は、先日来ファンになって、だから酒井俊とのデュオでも聴きに行っただろうわけだが、そこにティポグラフィカでの活動で知られる今堀恒雄が参加だから、これは見逃したくはない。

と言いつつ、実はティポグラフィカの作品を聴いたことがなく、聴きたい聴きたいとは思っていたので、そこも含めての期待であった。

聞けば、酒井俊も今堀恒雄と演るのは初めてだという。桜井芳樹はどうだろうか? いずれにせよ、ステージは、ふたりのギタリストがお互いの出方を探っているような印象がなくもない。あるいは、酒井俊のいつも通り揺らがない歌を軸にして、お互いに自分のしゃべり方でそれぞれ、少し遠慮がちにしゃべっているというか。

もちろん、その「それぞれのおしゃべり」はそれぞれに興味が尽きず、それが一曲の中の組み合わせで展開される感じはとても面白かったが、今堀恒雄については、自分なりに「つかんだ!」というところには至らなかった(これはむろん、その演奏に初めて触れたからというのが大きいわけだが)。

なので、どんなギターでどう感銘を受けたか、いい加減なことを書きたくない次第。もう少しいろいろ聴いてみたいし、今後もこの組み合わせを続けてくれることで、もう少しなにか化学変化的なもの(さらにはなんらかの爆発)を起こして行くものとも思うので、この組み合わせの発展形を楽しみに、また足を運びたい。

曲によっては、たとえば02で(多分)打ち合わせてのユニゾンを展開させたりだとかはギターデュオならではの気持ちよさを感じたし、また01や12などは、上に書いた感想などどうでもよくなるような、ちょっとすごい神々しさを感じる演奏だった。

以下、本日のセットリスト。

A:桜井セミアコ、今堀ストラト
B:桜井バンジョー、今堀ガット
C:桜井セミアコ、今堀ガット
D:桜井バンジョー、今堀ストラト

01 Shenandoah(A)
02 Hong Kong Blues(A)
03 Scarborough Fair(B)
04 Yes, We Have No Bananas!(D)
05 四丁目の犬(B)
06 黒の舟歌(A)
07 Take Two to Tango(A)
08 I Shall Be Released(A)
(休憩)
09 Just Like Woman(A)
10 すかんぽの咲く頃〜かんぴょう(B)
11 かくれんぼの空(B)
12 I'll Been Seen You(A)
13 Alabama Song(A)
14 At Last I'm Free(C)
15 Hallelujah(A)
16 Wonderful Tonight(C)
enc
17 Shenandoah(D)
18 満月の夕(D)

2009年04月05日

ゲタチュウ

ゲタチュウ・メクリヤ。エチオピアのサックス吹きで、エチオピアの伝統音楽の旋律を採取したサックス演奏スタイルを50年代には確立していたという。

そのスタイルでの演奏は、フランスで出ているethiopiquesというCDシリーズの一枚で72年の録音が聴けるが(日本ではオルターポップという発売元から「エチオピアン・サックスの帝王」というタイトルでリリースされている)、その「The Negus of Ethiopian Sax」を聴いて感銘を受けたオランダのミュージシャンたち(The Exというバンドのメンバー)が、2004年にエチオピアの首都アディスアベバに飛び、ほぼ引退状態だったゲタチュウをオランダに招聘。ゲタチュウは、生まれて初めてのエチオピア国外旅行だったそうだがこの招聘に応じ、The Instant Composers Poolというフリージャズ集団と、アムステルダムでのフェスティバルやベルギー・ブリュッセルでライブを行った。

その後、The Exとフランス数ヶ所(場所不明)でもライブを行い、ゲタチュウはThe Exとのレコーディングを希望する。

その録音が、オランダのTerp Recordsから出ている「Moa Anbessa」(全12曲中、トラック3、5、6、8、11がフランス・トゥルコアンTourcoingでのライブ・レコーディングで、残りがオランダ・ウォルメルフェーアWormerveerでのスタジオ録音)。全曲、ゲタチュウがエチオピアン・トラディショナルから採取した旋律をThe Exとともにアレンジしたもので、一部の曲には英語詞が付けられ、The Exのボーカリストによって歌われている。

なおThe Exは、ギター二人にドラムとボーカル、という編成だが、「Moa Anbessa」ではベースとオルガンのほか、トロンボーン、アルトサックス、クラリネットがゲスト参加。

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さっきクルマ運転しながら、「The Negus of Ethiopian Sax」と「Moa Anbessa」を聴いてて、エチオピアのサックス吹きだということは知ってたが録音データその他を全然知らなかったのでライナーちゃんと読んだりネットで調べたりして、その結果をつらつらとまとめたので、せっかくなので公開。いやちょっと中途半端だし、間違いがあるかもしれないけど。

日本人の琴線に触れるようでやはりどこか違う旋律や和声が楽しいのだが、しかしゲタチュウ、こうして推薦して、誰か聴いてくれるのだろうか? なんか書いててとつぜん懐疑的な気分に襲われたが、「Moa Anbessa」で組んだThe Exおよびゲストと一緒に来日してくれるといいなあと思うので、やはり少しでも名を広めておきましょう。ゲタチュウ、よろしく(「Ethiopian Hagere」は、先日の梅津和時のもよかったが、やはりその際のアレンジのオリジナルと思われる、この盤の編成での生演奏を聴いてみたい)。

あ、そういえば、ジム・ジャームッシュの「Broken Flowers」のサントラでも、エチオピアのMulatu Astatkeの曲がいくつか使われていて、そのときも興味を持ったのだから、エチオピア音楽事情ちゃんと調べておけばよかったな。

2009年04月04日

しぶやさんといっしょ

入谷なってるハウスにて。渋谷毅(歌, p)、かわいしのぶ(歌, b)、藤ノ木みか(歌, per)、外山明(ds, 歌)。ゲストに上村勝正(b)、小川美潮(歌)、さがゆき(歌)、平田王子(歌, g)。さらに飛び入りゲストで大川俊司(b)。

渋谷毅がNHK「おかあさんといっしょ」「母と子のテレビ絵本」へ提供した歌や、あるいは由紀さおり・安田祥子姉妹に提供した歌を中心としたライブ。それらの歌を、渋谷毅自身がちょっと歌ってみようかな、という発想から、でもひとりではなんだから歌える人を集めた、という企画との由。

で、この企画を初めて体験した次第だが、なんというか、ただただ楽しい。楽しく、そして笑って過ごした全28曲、演奏時間2時間強であった。

これ専門にやっている人たちではないし、むしろそれぞれ普段やっていることの延長線上にあるようなアプローチで臨んでいるようにも思えるのだが、もうこれを演るにはこの人たちしかいない、というところが不思議でもあり、素晴らしい奇跡であるように思う。

なんだろう、やはり不思議だ。今日のところは、この楽しさを受け取るだけで精一杯。

以下、この日のセットリスト。括弧内は主な歌唱担当で、S=渋谷毅、K=かわいしのぶ、F=藤ノ木みか、St=外山明、ゲストはフルネームで記載(間違ってたらごめんなさい)。あと※は備忘。

01 あしたのあしたのまたあした(S)
02 こんなこいるかな(K、F)
※外山明の例の特徴的なドラム演奏スタイルが、このあたりからなんだか子供がおもちゃのドラムセットで遊んでいるような様子に見えてくる(もちろん、楽しげな様子が、という意味合いで)
03 くじらのとけい(K、S、St)
04 雨だれピチカート(F、S)
05 夏だよ海だよ音頭だよ(K、F)
06 カニのおじさん(F、K)
※渋谷毅がボコーダーを使って「あんたわたしに、なんかようかい」という一節を歌うのがなんとも可笑しい。
07 リンゴ村だより(F、S)
08 雪はこどもに降ってくる(F、K、S)
09 春のさよなら(K、F)
10 月のうさぎルーニー(平田王子)
11 ほしのうた(平田王子)
12 初恋の丘(平田王子)
※華乃家ケイと渋谷毅の「たそがれの夢」でも採り上げられている一曲。北山修作詞
13 音楽の理由(平田王子、S)
※平田王子「マイ・ジョアン」所収
(休憩)
14 夢のなか(K、St )
※外山明、この曲では歌いながらあの不規則?なドラムを叩いていた(叩こうとしていた)ように思えた
15 Let Me Call You Sweetheart(さがゆき)
※さがゆき、渋谷毅、潮先郁男「W'll Meet Again」所収
16 青いシャツ(さがゆき)
※渋谷毅が伊東きよ子に提供した曲。山上路夫作詞。原曲は「ソフトロック・ドライヴィン*美しい誤解」というコンピレーション盤で聴ける
17 雨の遊園地(さがゆき)
※中村八大の作品。谷内六郎作詞
18 あっちこっちたまご(F、K、St)
19 おおきいてちいさいて(小川美潮)
20 ちょっとまってふゆ!(小川美潮)
※以下、22まで上村勝正がベース
21 ふゆっていいな(小川美潮、St)
22 あやとり(小川美潮)
※渋谷毅が森山良子に提供した曲。松本隆作詞。金子マリ+渋谷毅「MARI SINGS ALONG WITH SHIBUYA-SAN」でも採り上げられている一曲
23 キリンのかあさん(小川美潮)
※「母と子のテレビ絵本」にて小川美潮歌唱
24 はじめて(小川美潮、S)
※小川美潮「檸檬の月」所収
※以下、25まで大川俊司がベース
25 Dear Mr. Optimist(小川美潮)
※小川美潮「檸檬の月」所収
26 さるが木からおっこちた(F、K、S)
27 ぼくのミックスジュース(F、K、St)
28 ふたりでひとつ(K、S)

2009年04月03日

LONESOME STRINGS

・鈴ん小屋にて。桜井芳樹(guitar,etc)、田村玄一(weissenborn, pedal steel steel guitar, etc)、松永孝義(contrabass)、
原さとし(5-string banjo)。

http://www.linkclub.or.jp/~skri/lonesome.html

LONESOME STRINGSのライブは初体験。1月に出た新譜「BLOSSOM」は、iPodで聴きながら外を歩いていると風景が変わる(あるいは、今現在の実際とは違う映像の中に自分がいる)ような気すらして、私にとってはかなり衝撃的だったのだが(特に一曲目の、この日のライブでは10曲目に演った「REMEMBER」)、一方この日のライブは、その音源の生演奏をこの目で観てこの耳で聴いた、という印象で、なにか特別衝撃的なものはなかった。

むろん、ただそう感じた(ちょっと予想していたのと違った)というだけで、別に残念なわけでもなく、楽しめなかったわけでもない。新譜の中でも特に好きな、03、10、12が生で聴けるのは、それだけで嬉しく、充分楽しかったし、またライブを聴きに行きたいと思う。田村玄一のスライドギターは、ワイゼンボーンもペダルスティールも、アンサンブルの中で立ち上ってくる感じが生で聴くとすごく気持ちがいいし。それと、(多分このバンドの特徴のひとつだろうと個人的に考えている)ひとつの曲内での場面転換の鮮やかさは、ライブで聴いた方が際立っているように感じた(特に13)。

音源だとどうしても、ひとりで対峙する分「lonesomeな感じ」にどっぷり浸れるのだが(そしてそれが衝撃的だったのだが)、ライブは結構アットホームな感じだし、原さとしのバンジョー蘊蓄話を中心にしたステージングもなんだかほのぼのとしていて、「lonesomeな感じ」が音源ほどではない、というくらいのことだろうか。鈴ん小屋が珍しく靴を脱いで入るライブハウスだった、というごくごく些細なことにも、なんだか影響されてしまったような気がしないではない。

さてライブは、新譜の曲中心で、先にも書いた通り結構きっちり音源のアレンジ通りの演奏という印象だったが(実際は違うかもしれないし、新譜以外の曲はまったくそう断じる自信なし)、08で松永孝義 がアルコ弾きでなんだかとんでもない音色を出していたり、10のギターソロでちょっと弾き過ぎたと自分でも思ったのか演奏しながら桜井芳樹がとつぜん笑い出したりというところは、ライブならではで面白かった。音楽的なこととは直接あまり関係ないけれど、桜井芳樹のエフェクターを使った演奏の様子(コンパクトタイプのディレイを手で操作するとか)が間近で見られたのも、大変興味深かった。

あ、バンジョー音楽はほとんど全然聴いたことがないのだが、原さとしの演奏を聴いたのをきっかけに、ちょっとはまるかも。とりあえず、5/9のバンジョー祭りでバンジョー・パスポートを入手するか?

以下、この日のセットリスト。新譜の曲はほぼすべて演っていたから、13は「WALTZ FOR SALI」かとも思われたが、なぜかこれだけ自信がない。

01 BLACKBERRY BLOSSOM
02 Déjà Vu
03 南の噂
04 二十世紀旗手
05 土地の名
06 Bear Creek Song Goes To New Lost City
(休憩)
07 RAJAMATI KUMATI
08 Franklin's Revisitation
09 Mountain Hymn #1
10 REMEMBER
11 INBETWEENIES
12 バーレイコーン挽歌
13 曲名不明
enc
14 Some Happy Day

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