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2009年06月28日

酒井俊/青木タイセイ・デュオ in 渋谷dress

6/28、渋谷dressにて。酒井俊(vo)、青木タイセイ(key, tb, b, 鍵盤ハーモニカ, fl)

01 Shenandoah(key, tb)
02 かくれんぼの空(b)
03 浜千鳥(tb)
04 黒の舟歌(key)
05 星影の小径(鍵盤ハーモニカ)
06 Alabama Song(key, 鍵盤ハーモニカ)
07 Those Were the Days(鍵盤ハーモニカ)
08 I Shall be Released(key)
(休憩)
09 見上げてごらん夜の星を(key)
10 四丁目の犬(key, fl)
11 Yes, We Have No Bananas!(tb)
12 Massa's In de Cold Cold Ground(fl)
13 Lean On Me(b)
14 The Very Thought of You(tb)
15 Crazy Love(key)
16 Hallelujah(tb)
enc
17 Crazy Love(key)
18 初恋(fl)
19 満月の夕(tb)

※( )内は青木タイセイの主な使用楽器

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いやー、多数のご来場ありがとうございました。

ライブが始まってしまえば、私も観客のひとりなのだが、まあ一応企画した立場としては、なんだか反省や心配ばかりが先に立って感想が書きにくい。

それは例えば、初めての会場で演る出演者への、あるいはPAの方へのケアについてだとか、私からご案内してご来場いただいた方々への対応についてだとか。

その辺は、私個人の問題なのでうだうだ書かないが、それはそれとして、今回は間の気持ちよさが特に際立ったライブだったと思った。dressという空間にも、あの心地よい間の感じがとても合っていたと思う。

キーボードやベースでループを作ってソロを展開するなど多楽器使用で演奏された01、06、10や、主にキーボード(エレピやオルガンなどの音色)で伴奏が付けられた04、08、09、15(17)も、もちろん独特の心地よい間を味わえたが(あと、05〜07の鍵盤ハーモニカは、曲、歌にとてもマッチしていた)、個人的には取り分け、トロンボーンやフルート一本と歌のデュオという、歌がほとんど丸裸になる瞬間のある演奏が面白かったな。

というわけで、今回ご来場の方々もご来場いただけなかった方々も、次の機会にもぜひ(共演者未定ながら、年内には企画できるかも)。

2009年06月26日

新宿末廣亭六月下席昼夜(途中まで)

あーなんだか久々の寄席模様。

同じことを以前も書いたような気もするが、この日も下手側の桟敷に10代?と思しき、喩えは古いが昔のSPEEDみたいな感じもする可愛らしい演芸愛好ギャルご一行様がいて、ちょっと面白い雰囲気。

で、その演芸ギャルは、彦いちの「みんな知っている」からロケット団の漫才、そして小ゑんの「樽の中」で爆笑していて、しかし「樽の中」のくすぐりの「最近の若い女の子は、料理のときに包丁を使わず、みんなハサミで切ってしまう。林家正楽のようだ」という件りにも笑っていたのは林家正楽とか知ってるのかなー、と思った。

#あ、すごい細かいところでは、「樽の中」に出て来る嫁が、姑に命じられてぬかみそをかき混ぜながら、「あたしはこれでも慶応の仏文を出ているのよ」と呟くところが妙に可笑しかったが、そこはあまり受けていなかった。

やはり林家正楽で笑ったのは勢いで、それほど落語や寄席演芸に親しんでいなかったのか、その後文楽が出てからは代わる代わる熟睡のご様子(まあ、バカな噺のはずなのに、なんだか弾け切れてなかったし)。

昼の部主任の川柳は、客席に若い女の子がいると必ずそこに集中して噺を進めるスケベ爺だから川柳の噺は届いたようで受けていたが、あとは彼女たちが贔屓らしい?にゃん子・金魚のとき以外は、退屈そうな感じではあった。

今日も末廣亭は、昼から二階席までほぼ満員という盛況振りとはいえ、落語ブームが10代にまで浸透するのはまだ時間がかかるのかな、というのが、久々の寄席で得た感想のひとつ。

それはまああれとして、先の彦いち、小ゑんの新作が大層よくて、特に彦いちは力をがーっと入れるところも前に聴いたときよりもどんどんいい塩梅になってた気がしてすごい面白くて、その上で「たがや」「鰻屋」や幽霊の小咄など、ちょっと早いがまあ季節のネタがたくさん聴けた(しかもどれもすごいいい塩梅だった)のが嬉しい。

それと、「気の長短」や「碁泥」や「夏泥」、「大安売り」や「親子酒」や「小言念仏」の呑気さ加減が、ちょうど今日みたいな鬱陶しい梅雨空の一日を心地よく過ごさせてくれたのもよかった。

お目当ての川柳は、いつもより長めの「ガーコン」(軍歌ネタからちょっと脱線もあった)で客席を沸かせたのち、帰ろうとした客に「まだ切り札があるから帰るなよ」と言い残して一旦姿を消したのち、ソンブレロとサラッペ姿でギターを持って登場し、かの「マラゲーニャ」をひとくさり。ギターの腕も歌も、まあそんなに聴いてきたわけではないが、衰えてないなーという印象。素晴らしい。恐るべし79歳。日本のジョアン・ジルベルト(ウソ)。

そしてもうひとりのお目当て、小円歌姐さんは、相変わらず小股が切れ上がってて、志ん朝、志ん生、先代三平、円歌の出囃子や都々逸をさらっと演ってから、やはり季節柄の大層粋な「両国風景」。茶尽くしの早口には、もう痺れてしまう。カッコいい。下席はまだ4日ほどあるし、夜の部だったら小円歌姐さん目当てで出掛けるのもお薦め。二千なにがしでなかなかこんな芸者の芸は楽しめないよ、といういつもの口上に偽りなしである。

#早口ついでにいえば、宝井琴調の講談も、途中噛むところは多々あったが、水野十郎左衛門の家来の名前をだーっと言うところは鮮やかだったな。

もちろん、入れ替えなしなので、時間があれば二千なにがしで丸一日(計8〜9時間)楽しめるので、梅雨が鬱陶しくて仕事したくなくなった向きには現実逃避にぜひ。聴いちゃらんないのも、ちょっとあったけど。柳亭市江はこの席が二つ目昇進披露だが、これからに期待。

以下、この日の演目。

-昼席
柳家小太郎・・・・・・粗忽の釘
林家彦いち・・・・・・みんな知っている
ロケット団・・・・・・漫才
柳家小ゑん・・・・・・樽の中
桂文楽・・・・・・・・六尺棒
マギー隆司・・・・・・奇術
古今亭志ん輔・・・・・たがや
柳家小満ん・・・・・・夏泥
柳家小菊・・・・・・・俗曲
柳亭小燕枝・・・・・・気の長短
(仲入り)
三遊亭吉窓・・・・・・大安売り
昭和のいる・こいる・・漫才
柳家さん八・・・・・・親子酒
三遊亭歌司・・・・・・小言念仏
鏡味仙三郎社中・・・・太神楽
川柳川柳・・・・・・・ガーコン
-夜席
林家扇・・・・・・・・寿限無
柳亭こみち・・・・・・鰻屋
花島世津子・・・・・・奇術
柳亭市江・・・・・・・牛ほめ
金原亭世之介・・・・・幽霊小咄
涼風にゃん子・金魚・・漫才
宝井琴調・・・・・・・芝居の喧嘩
柳家小里ん・・・・・・碁泥
三遊亭小円歌・・・・・三味線漫談
(その後用事があったのでここまで見物)

2009年06月24日

Giulietta Machine

6/24、渋谷公園通りクラシックスにて。江藤直子(p、key、voほか)、大津真(gほか)、西村雄介(b)、藤井信雄(ds) 。ゲストに斎藤ネコ(vn)と小川美潮(vo)。

この日、ライブに伺う前に旧友と再会を果たし、軽くビールだけ呑んでたつもりが気が付けば割とへべれけ。

で、珍しく?、頭の中からっぽのまま演奏を楽しんだ。素晴らしかった。酔いの所為もあり、会場の音響の所為もあり、はたまたゲストの所為もあるだろうけど、いつもよりなんだかきらきらしていたなー。

後半に演った「Duet Song for Neko & Mishio」は、題名のとおりこの日のこのゲストのために書かれた曲だが、ニーノ・ロータとマーティン・デニーを足して2で割ってGiulietta Machineの魔法をかけたような曲調とサウンドが素晴らしかったので、これはまたこの組み合わせ、はたまた他のデュエットに趣向を変えてでも聴きたい。

あと、アンコールの「ワン・ノート・サンバ」での、無理矢理なテンポチェンジがなかなかスリリングで、面白かったでした。

その他詳細とセットリストは、友人のblogをご参照。

2009年06月20日

Lonesome Strings/ハーモニカ・ライナーズ

6/20、黄金町 試聴室その2にて。

ハーモニカ・ライナーズ:
田邊峯光(コード・ハーモニカ)、町田明夫(クロマチック・ハーモニカ)、鶴田亘弘(バス・ハーモニカ)

http://www.crownrecord.co.jp/artist/harmonicaliners/whats.html

Lonesome Strings:
桜井芳樹(g)、田村玄一(weissenborn, pedal steel steel guitar)、松永孝義(contrabass)、原さとし(5-string banjo)

http://www.linkclub.or.jp/~skri/lonesome.html

早めに出て桜木町下車。野毛経由で福田フライ(辛いソースに痺れる)→ダウンビート(大音量の渡辺貞夫「Mbali Africa」に痺れる)→長者町から黄金町散策。黄金町は、往年のちょんの間が若い人経営のカフェやバーに様変わりしつつあったが、まだ辻辻に警官(機動隊)がいたり、ちょっと裏に入ると住民が隣同士で喧嘩してたり、多分もう普通のスナックなのだろうが照明がどピンクの店が戸を開け放っていたりなどなど、未だちょっとヤバそうな雰囲気は若干味わえた。

で、試聴室2は、そんな黄金町のど真ん中、京浜急行のガード下にあるアートスペースの一角にある、広いようで狭いようで、開放的な感じだが周囲の町並みが見えるのが却って閉塞的な感じもある、不思議な感じのライブスペースだった。

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さて、ハーモニカライナーズは、昭和38年結成だが5年の活動の後に一旦解散。一昨年再結成を果たしたという、オリジナルメンバーの平均年齢72歳!のハーモニカトリオ(クロマチック、コード、バス)。ただし昨年11月発売のセカンドアルバムからコード・ハーモニカが1954年生まれの田邊峯光(日本ハーモニカ芸術協会常務理事、事務局長、師範。全日本ハーモニカ連盟常任理事)に代わり、本日もその顔ぶれ。

揃いのデザインのラメ入りジャケットを着て、往年のモダンボーイが往年のヒットメロディを、ハーモニカ三本でドライブ感溢れる演奏で楽しませてくれる。MCも洒脱で、面白いなー。いい感じの寄席演芸のにおいもちょっとした。

これも往年のヒットメロディには違いない「スモーク・オン・ザ・ウォーター」は、歌メロも間奏のギターソロも、クロマチック・ハーモニカでほぼ完全コピー(ほぼ、というのは、終盤で独自のソロを吹いたからで、それを勘定に入れなければ完全コピーであった)なのにもビックリ。笑う(褒め言葉)。で、また、その完全コピーしたフレーズを、他の曲と同様、枯れたいい間で吹くのがとても面白い。

また積極的にライブを聴きに行くか、といえば、そのときの状況次第だが、今日のような面白い(意外性のある)組み合わせのイベントがあれば、聴きに行きたいと思う。

01 ハーモニカ・ライナーズのテーマ(コメディアンズ・ギャロップ)
02 トワイライト・タイム
03 キャラバン
04 背中に赤い陽
05 ペグ・オー・マイ・ハート
06 トワイライト・ターキー
07 黒い花びら
08 スモーク・オン・ザ・ウォーター
09 オール・オブ・ミー
enc
10 セントルイス・ブルース

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ニコニコと愛想のいいハーモニカ・ライナーズから打って変わって、Lonesome Stringsは自分たちの音楽をクールに淡々と演奏。先発のハーモニカ・ライナーズのお客も多く残っている中、客層に合わせようというお愛想を見せたり曲目解説に多くを語ることもなく、一曲平均10分前後という長さの、曲想が曲内で次々に移り変わっていく各曲の美しさを、じわーっと堪能させてくれた。カッコいい。

だから、イベントとしては、聴いている最中このブッキングはかなり不思議な感じもしたのだが、Lonesome Stringsの演奏が始まると、多分こういう音楽を集中して聴くのに馴れていない方も多いだろう年配のお客(ご老人といって差し支えない方も少なくなかった)も、徐々にステージに引き込まれていった様子が窺えた。決して派手な、すぐに耳目を引く要素がわかりやすい音楽ではないが、美しいものの持つ力はすごいなあ、という感慨を強く持った。

Lonesome Stringsは、7月にはThe Last Showと共演するという(7/6、表参道FAB)。今回は1時間弱のステージだったし、やはりイベントとして落ち着かない感じはちょっとあったので、そちらも聴きに行きたいと思う。

01 Snow Queen〜Déjà Vu
02 南の噂
03 ケルンコンサート
04 Candela
enc
05 Some Happy Day

2009年06月17日

酒井俊

6/17、渋谷公園通りクラシックスにて。酒井俊(vo)、中尾勘ニ(ts, tb, cl)、桜井芳樹(g)、関島岳郎(tu, recorder)、岡部洋一(per)。

01 The Red Valley
02 Home On the Range
03 Yes, We Have No Bananas!
04 四丁目の犬
05 ヨイトマケの唄
06 黒の舟歌
07 Oh My Darling, Clementine
08 I Shall Be Released
(休憩)
09 見上げてごらん夜の星を
10 十九の春
11 買物ブギ
12 Wild Irish Rose
13 Shenandoah
14 かくれんぼの空
15 At Last, I'm Free
16 Hallelujah
enc
17 満月の夕

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01が、岡部洋一の軽快なカウントでBPM90くらいの8ビートで演奏されたのに意表を突かれる(ハイハットとカホーンのみを基軸に、素晴らしい8ビートを形成していた)。関島岳郎のチューバによるベースライン、桜井芳樹のいい塩梅にロックンロールなギター(ギターソロを3コーラス分も披露)、中尾勘ニのテナーサックスがまた絶妙。聴きながら知らずに笑みがこぼれる。そこに酒井俊の、いつになく軽やかな歌が乗り、この夜の空気が一気に作られた。

13(これまたいつもとは違う、軽快な2ビートでの演奏)を歌い終えたあと、酒井俊がぽつりとジョン・フォードへの愛着を口にしたが、今更ながら、20世紀アメリカ発の大衆文化/大衆音楽の持つ魅力を深く、また多角的に考え抜いた結果の音楽であり、それが毎回心動かされる理由のひとつなのかもしれない、と、この日の演奏曲を聴きながら漠然と考えていた。例によって思いつきで、ちゃんと考察したわけではないが、この日は、アメリカのストリング・バンドやフォーク音楽を知り尽くした桜井芳樹がギターだったことが、そうした思いつきに拍車をかけてくれたと思う(昨日の松島啓之のトランペットにも、同じような効果を与えられたかもしれない)。

軽快、というキーワードで言えば、ユーモアすら湛えた05の軽快さには、6/12のなってるハウスで聴いたときよりも心動かされ、涙が出そうになった。ユーモアの部分は主に桜井芳樹のギターが醸し出し、他の3人(中尾勘ニはトロンボーンを演奏)がなんというか、大地を叩いたりアスファルト臭い土埃を上げたり、といった印象を醸し出す。その印象と歌詞の内容からの単純な発想だが、きつい肉体労働の中で生まれる笑いや軽口の持つ深い味わいみたいなものを想起したのが、涙が出そうになった理由のように思うが、そんな個人的な感慨はともかく名演。

あと、久々に聴いた09の歌の美しさに感動したのと(冒頭のチューバと歌のデュオの部分で引き込まれたが、その後歌の背後で展開されるチューバとトロンボーンのアンサンブルがまた美しい)、このメンバーできっちりと演歌が演奏された10が面白かったことを忘れずに書いておく(岡部洋一は導入部ビリンバウを使用。関島岳郎がやはり導入部でリコーダーで、中尾勘ニがクラリネット)。ちなみに10は、イントロからして素晴らしく、酒井俊自身がイントロに聴き入ってしまい、歌い出すのを忘れてしまったほどだったのが可笑しい。あと4番か5番くらいで「恋に焦がれて鳴く蝉よりも〜」という都々逸の一節が挿入されたのが、田端義夫などのバージョンと違っていたかなと思ったが、どうだったろう?

いやしかし、今回は歌はもちろん、細かく書けばきりがないほど、すべてが素晴らしかった(15のみ、編成的にあとひとつアタックが強くて音量がでかい低音があるといいのかなーと思ったくらいか)。毎回いろいろな演奏者の組み合わせでその歌を聴かせてもらい、いろいろな感銘を受けているのでこう書くのは気が引けはするのだが、もし今後ユニットを数組に集約していくようなことがある場合は、今日の組み合わせはひとつの主軸にしてほしい、とも思ったほどだった。

2009年06月16日

酒井俊

6/16、中目黒楽屋にて。酒井俊(vo)、林栄一(as)、田中信正(p)、松島啓之(tp)、外山明(ds)。

01 Shenandoah
02 Just You, Just Me
03 Home on the Range
04 Yes, We Have No Bananas!
05 The Days of Wine and Roses
06 Those Were the Days
07 The Red River Valley
08 Crazy Love
(休憩)
09 Massa's In de Cold Cold Ground
10 四丁目の犬
11 黒の舟歌
12 かくれんぼの空
13 Little Girl Blue
14 Just Like a Woman
15 At Last, I'm Free
16 Hallelujah
enc
17 満月の夕

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今回は、松島啓之のトランペットが割とオーソドックスなアプローチを貫いていて、そのため特に01、02、03、07、16などのトラディショナルが、トラディショナルジャズ本来の味わいというか、曲によってはデキシーランドの楽しさまでを強く味わえたという点がまず印象的。そして、そこに林栄一のアルトサックスが絡むと、また不思議な世界が現出するのも面白い。

あとサウンド的には、PAの所為かピアノがよく聞こえない場面が多く、そのため普段は爆発係?の田中信正の爆発具合が明確でなく(よく注意していればわかるのだが)、その分外山明が楽曲を底の部分からがーっと持ち上げていく様子が印象に残った。

最近少しずつ、アメリカ民謡やスタンダードを新しく(または改めて)採り上げているようだが、今日初めて聴いた(私は、だが)05は、途中間奏などで膨らませることなく淡々と歌われたのに、なんだかものすごくぞくぞくさせられた。この編成(メンバー)だから、今日のステージはサウンド的な興味が先に立って聴いていた部分もあったのだが、この曲に関しては極端に言えばほかの楽器が聞こえず歌だけで心震えた、という感触が、今思い出すと残っている。むろん、かつてよく歌った歌なのだろうが(録音はされていない模様)、今後どんな風に展開していくのかが楽しみ。

あとこれも生では初めて聴く13も、ぐっときた。そういえば02とこれは、デビューアルバムで歌われている曲だ。

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明日は渋谷公園通りクラシックスにて、中尾勘ニ/桜井芳樹/関島岳郎/岡部洋一で酒井俊。こちらも聴きにいく予定。酒井俊にはまるきっかけになった今年2月のライブ時とほぼ同じメンバー(そのときと比較すると、太田恵資はいなくて、岡部洋一が参加、となる)なのも楽しみだなー。

2009年06月12日

酒井俊(vo)、 船戸博史(b)、 外山明(ds)

6/12、入谷なってるハウスにて。

01 My Wild Irish Rose
02 Home on the Range
03 Yes, We Have No Bananas!
04
05 かくれんぼの空
06 黒の舟歌
07 Takes Two to Tango
08 黄金の花
(休憩)
09 Those Were the Days
10 四丁目の犬
11 ヨイトマケの歌
12 Just Like a Woman
13 My Coloring Book
14 Alabama Song
15 Hallelujah
16 Good Night
enc
17 満月の夜

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ベースとドラムで歌、という、まあ大雑把にいえば地味な編成で、ドラムもいわゆる3点セット(しかもシンバルは一枚のみ)でベースはウッドベース一本。楽器も歌もなにかエフェクトを使うわけでもない。

が、曲ごとに、実に多彩で、しかもこちらの想像力だったりなにかの感覚を刺激する演奏、歌だったのに驚いた(もちろんそういう風に予想していたけど)。ベースと歌のデュオ、というのも、すごい珍しいというわけではないが(特にジャズでは)、馴染みのあるアプローチもあり、まったく未体験の世界もあり。

ベースとのデュオで歌われた01、02、09(あと08の前半)のなんだか心地よく安心できる感じとか、03や07の楽しげな遊戯感とか、出だしが軽快な感じだったのが却って(本来重々しく歌われることの多い)この歌の深みを増したと思った11とか、見所聴き所は多数あったが、個人的には、06の緊張感溢れるアンサンブルや、酒井俊では初めて聴くビートルズの16(ホワイトアルバムの二枚目最後の曲)の静寂さに溢れた感じが、この組み合わせで最も印象に残った。

そうしたいろいろな味わいを感じさせてくれた中で、全体としてはなんだか今まで聴いてきたステージに比べて柔らかく優しい感触を得たのは、この編成ならではだったか(何故だか常ににこやかな船戸博史のベースの持つ味わいが、実は大きく影響していたような気もする)。刺激的だったり興奮させられたという気分より、安らいだ気分を多く抱え、帰途に着いた。

外山明のドラムは、自由奔放に聴こえて実はかなり様式的なのではと、最近(外山明初心者としては)思っていたのだが、この日は今までに聴いたことがないアプローチや自由な感じもいくつかあり、まだまだ奥の深いところをちょっと覗けたようなのが、初心者ファンとしては嬉しいので附記しておく。10の途中で火のはぜるような音(左手てカウベルを叩く際に使う指輪だけをカチャカチャ言わせていた)、11の「今じゃ機械の世の中で〜」という歌詞に呼応するかのごとく規則的な機械音のようにスネアを叩くといった描写的なアプローチは、外山明の演奏としては初めて耳にしたかもしれない。あと、ミュートしていないベースドラムの響きを意識的に利用して曲ごとに微妙かつ絶妙なドラマチックさを演出していたように聴こえたところも面白かった(ただしこれは単に、少人数編成だからベースドラムの響きが印象に残った、ということかもしれない)。

2009年06月10日

蜂谷真紀(vo)、中尾勘二(as, tb, cl)、藤川義明(as、カーブドss(多分))、スガ・ダイロー(p)、井野信義(b)、外山明(ds)

6/10、西荻窪アケタの店にて。

蜂谷真紀は初めて聴くのだが、アケタの店35周年記念の特別セッションということで普段から好きな豪華メンバーが揃っているし、初めて聴くにはちょうどいいかなと思い見物。

いきなり余談だが、アケタの店からコイン駐車場を挟んですぐのところに「スイッチ」(http://www.nishiogi-switch.com/index.html)という立ち飲みワインバーがあって(今年4月頃開店)、気さくで手頃な感じが、ちょっと早めに着いてアケタの開店を待つのにちょうどよい(というわけで、アケタやterraを訪れる際はぜひ)。

で、今日も勝手にウェイティングバー風に利用させてもらい、赤葡萄酒の底を入れた次第だが、西荻まで自転車を漕いだ疲れもあって、8:00からの第一部は途中と終盤、5〜10分ずつくらい舟を漕いでしまった。すみません。反省。

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さて、この日の演奏だが、蜂谷真紀、中尾勘二、外山明以外は譜面を見て演奏する場面も多々あったので、途中途中で決め事のあるインプロヴィゼーションということだったと思う。違ってたらごめんなさい。でも音だけを聴いててそうと思わせられるような、準備が感じられる部分は確かに多かった。

前半45分は、前述のとおりちょっと寝てしまったこともあって聴き手としての集中力を欠いていた次第で、残念ながらポイントを掴み損ねた。とはいえ、個々の演奏者の演奏ではっとするところはいくつかあって、中でも藤川義明の、サックスを吹きながら声の即興を行うところとかとつぜんのダンス等は、とても面白かった。

ちょっと長め(40分くらい)の休憩挟んだ第二部約一時間は、ばっちり目も覚め、ときどきふとちりばめられる笑いどころも含め、今日のセッションの面白さを存分に掴み取れ、そして堪能できた。

途中途中で決め事が用意されている(ように聴こえた)ということもあろうが、即興がどこまで行ってしまうんだろうという不安感はあまりなく、場面場面でデュオ形式を取って楽器と声、楽器同士が素晴らしい感応を見せたり、ふと気が付くとものすごく色っぽくて艶かしいジャズが演奏されていたり、思わず身体が動くようなビートが刻まれたりなど、曲間なしの丸一時間の演奏だったのに、またとりわけ集中しようと意識したわけではないのに、少しも気持ちが間断するところがなかった(と思うと、返す返すも第一部は残念だ)。

蜂谷真紀の声の即興は、口の先での囀りから喉を大きく開けた発声まで、また言語ではない発音から言語的な発音まで、いろいろな味わいに富んでいて、聴いていてなんとなく、さりげない塩っぱさから濃厚な味わいまでを堪能させてくれるフルコースを饗されたような印象を得た。ライブ予定を見ると、ほぼ毎日のようにいろいろなアプローチのライブを行っているようなので、また他のアプローチも聴いてみたいと思う。

あと全体の印象としては、今日の演奏(恐らく二度とこの組み合わせはないかもしれない)を丸ごと録音したのに、具象から抽象までいろいろな映像をだーっと付けたら面白いかな、と思った。個人的には、古くはビデオドラッグとか、あるいはVJの人が音楽に付ける映像にはあまり興味を感じないのだが、今日の演奏ならそういう、演奏と映像のセッションのような試みも面白いかもしれない。

以下、曲目はないので、セットリストの代わりに時間軸に沿って印象に残ったポイントをいくつか(時間は青木の古時計を見て記録したものなので、正確ではありません)。

20:00 演奏開始。客席後方から蜂谷の声。
20:03 井野スガ参加ののち、外山参加し、dr横のビールケースまで叩く
20:05 藤川(as)、中尾(cl)参加
(この辺で何度かうとうと)
20:37 中尾tbに持ち替え
20:40 それまでの拍子感を捉えにくい演奏から、一転「ズンタッタ」に。藤川as吹きながら声の即興。「Musica」と聴こえる部分で蜂谷が感応ののち、蜂谷韓国語?みたいに聴こえる即興。藤川ダンス
20:45 中尾asに持ち替え。外山立つ。一瞬うとうとしたところ、スネアの一撃で目を覚ましたら第一部終了
(休憩)
21:25 演奏開始(外山から)
21:27 拍子感が希薄に感じられる演奏ながら、ときどき「ここが小節頭か」と納得させられるようなタイミングで外山がシンバルなどのアクセントを加えるのが不思議
21:30 藤川「Billie's Bounce」を少し引用
21:35 蜂谷ダンス。pとdrがしばし感応
21:37 dr手数増え、全体にテンションが高まる
21:38 テンションが高まったところで、蜂谷の素晴らしい即興
21:44 pの内部奏法を背景に、蜂谷の声とbが感応。ときおり、どちらが声でどちらがベースの高音域か判別できなくなる瞬間があり、鳥肌が立つ
21:45 とつぜん中尾がtbで参加(それまでの20分間は、ずっと座っていた)
21:47 10分ほど、色っぽく艶かしい演奏になる。ぐっとくる。低音で震えつづけるtbが見事
21:58 中尾asに持ち替え。とつぜん8ビート風の展開で、身体が動く
22:06 10時の時報か? スガがpでチャイム風の音階。笑いを誘う。それに反応して、蜂谷がステージの照明をオンオフする。あとで思い返すとその関連は不明だが、可笑しい
22:09 笑いの展開からか、蜂谷と藤川がオペレッタ風の掛け合いに入る。その後のas二本のアンサンブル(5分ほど)が素晴らしい
22:15 ここまでdrがタムのロールを多用したりして、テンションがぐっと高まったところで、蜂谷がとつぜん「ニャーニャーニャー」「ニューニューニュー」という間抜けな音を発してまた笑いを誘う
22:17 このあたりから終盤に向けて、またテンションが一気に高まる。藤川踊り出し、蜂谷とダンスのデュオ。中尾tbのカッコいいソロ。藤川がカーブドss(多分)で声の即興入りソロ
22:25 直前にちょっと笑いが入り、一瞬の間があったところで、スガが「I—V—I」のような「おしまいの響き」を弾いて、わっと笑いが起きて終演。アンコールの拍手もあったが(20人でこぼこの客数としては、かなり大きな拍手だった)、演奏者同士が握手をし始めて、終了

上の流れの中にうまく書き込めなかったが、自由自在に遊んでいるかのようなのにずっと安定して底を支えている井野信義のベース、饒舌だが声高ではなく、でもどんな場面でもすべての音がきちんと聴こえて主に輝きや艶を醸し出していたスガ・ダイローのピアノは、全編通じて素晴らしかった。

あと、出現箇所をメモしてなかったが、藤川義明のサックス二本使いも、かなりローランド・カークっぽかったけど、いい感じの響きだったな。

というわけで、なにも予想や下調べせず(といっても、ほとんどしようがないわけだが)出掛けたが、大変楽しい一夜でした。この組み合わせ、またやらないかなー。

2009年06月03日

440(four forty)presents〜のる歌(か) そる歌(か) vol.8

6/3、下北沢440にて。マドモアゼル玲とシノブプレ、宙也+幸也、SAICO[ゴンダタケシ(g/GRiP)]、うつみようこ+奥野真哉+佐藤研二+藤掛正隆。

今日はどうしようかな、と思ったが、下北沢の編プロでの仕事の資料の受け取りついでに440の前の行列を覗いてみたら、友人の姿が(笑)。こういう偶然みたいなのって、学生のときのようだなあ、と、面白いので、今日も見物することにした(ありがとう、絵ログ)。

▼マドモアゼル玲とシノブプレ
今日は最年少(17歳?)ということで、オープニングアクトで30分、5曲のみ。しかし、めちゃくちゃ濃くて起伏に富みまくった30分であった。

例の「客席ひと回り、カリカリ、ピーン」のオープニング(背後から聴こえてくると結構怖い)から01への流れは前回(3/3)拝見したとおりだが、初見の客の戸惑いや「どう反応していいかわからないよー」という声が面白い。可笑しかったら笑ってもいいんだよ、と思うが、ほんとにどうしたらよいのかわからないのだろう。

もっともそんな反応も、02、03と進むにつれ、素直に笑いが生まれるように変わっていった。03で、「ラブホテルって行ったことある?」という女子高生?の会話から歌に入って「ホテルおぎくぼ〜〜」というリフレインが最初に歌われるところまでは、結構くすくす笑いが続く。が、歌が佳境に入るにつれ、この歌の凄みや美しさ、哀しさが伝わっていくのか、客席が水を打ったような様子に変わっていくのも面白かった。

02、03も、何度か聴いた歌だが、02のピアノ入り、03のベース入りは初めてで、それぞれ感銘を新たにした。02の間奏で、高音部から降りて来るピアノには(お腹の中の虫の歌なのに)美しくて感動し、また03のメロディアスだがぐっとタイトなベースは、03の持つ情念を却って際立たせてたと思う。今日気付いたが、03は場所に憑いた怨念の歌とも取れるなあ。

そして04は、ランバダのリズムで軽快に、ツイていないカバの一週間が歌われるのだが(「開けポンキッキ」でのこいのこが歌った歌との由。歌詞の内容は、多分Eric Morrisが歌うスカの名曲「Solomon Gundie」と似ている)、木曜日が終わったところでかわいしのぶの足下で「カチ」という音がしたと思ったらものすごい勢いでベースのファズがかかり、大爆発。もうほんとに狂ってしまったかと思うほどのベースソロ、そして絶叫だったが、そんな中でマイクスタンドで弦をこする動きの間抜けな感じで笑いを誘ったりするところがさすがだ。で、そのあとすぐにベースアンプにベースを叩き付けて、また狂気にはらはらさせておいてから、すっと歌に戻り金曜日〜日曜日と進む(ついていないカバは死んでしまい、埋められてしまった。「Solomon Gundie」と同じだ)。面白かった。歌い出す前に、ぼそっと「カバの歌のカバーをやります」といったのも、ちゃんと聞き逃しませんでしたよ。

05はもう何度聴いてもどきどきしちゃうなー。

曲間の「玲ちゃん」「なに、ブプレちゃん」の会話は、聞けばアドリブだというが、飛躍のさせ方が見事で、前回に引き続きとても笑わせていただいた。できればもっと長いショウが観たいが、8/10には「筆おろし vs マドモアゼル玲とシノブプレ vs パンチの効いたブルース」(今日と同じく440)という恐ろしい企画があるそうなので、これに期待。いっそのこと、武道館ワンマンとかやらないかな(笑)。

01 昭和枯れすすき
02 共存のブルース
03 ホテルおぎくぼ
04 ヒポポタマスの歌
05 さげまんのタンゴ

▼宙也+幸也

LOOPUS、De-LAXなどのヴォーカリストと、ARBなどのギタリストのデュオ。私はあまり馴染みがないので詳しいことは書けないが(あとのふたつのバンドも同様です)、ゴリゴリ、ガツンとくる男っぽいロックギターと、男の色気を漂わせた歌のデュオという感じだった。何故か童謡2曲、特に「花嫁人形」にぐっときたなあ。「しゃぼん玉」のギターの、ゴリゴリとコードを弾きながらサイケっぽいベースラインを絶妙に動かすところなどもぐっときた。

01 曲名失念(頭脳警察のカバー)
02 曲名失念(荒木一郎のカバー)
03 長い髪の少女(ゴールデンカップス)
04 しゃぼん玉
05 花嫁人形
06 帰れない二人(井上陽水。忌野清志郎との共作)
07 くたびれて(村八分)
08 ラストダンスは私に

▼SAICO[ゴンダタケシ(g/GRiP)]

自分の感じた痛みをダイレクトに歌にして表現する、というタイプかなと思ったが、もしかしたら一曲めの冒頭で家族崩壊の様子を歌ったように、全体的にもっと直裁的な言葉で歌った方が聴き手に伝わるかなと思った。間違えてたらすみませんが、俗にいう「自分をさらけ出す」という方法を強く意識したほうが、生きてくる歌い手なのではないかと思った次第。

#あとで調べたら、実際そういう作風での活動で聴き手に支持されているアーティストとの由。上のような感想を得たのは、私の感受性では彼女の歌を受け取ることができなかったか、あるいはたまたま集中力に欠けていたのかもしれない(6/4)。ただ、聴いて感じたとおりに書いたものなので、上の感想自体はそのまま残しておきます。

ギターのゴンダタケシは、アコースティックギターのみの演奏で、歌伴のツボを悉く心得ているかのような心憎さ。上手いなこの人。

▼うつみようこ+奥野真哉+佐藤研二+藤掛正隆

01でいきなりびっくり。目をつぶるとアレサ・フランクリンが目の前にいるような感じだった。

「人が演らないようなカバー曲をやる」というコンセプトとのことだが、まあそんなこともないような気がしたものの、確かに「I Am The Walrus」の生演奏を聴いたのは初めてだ。ストリングスアレンジも含めて完全コピーに近くてびっくり(エンディングの「クッパ、クッパ、エブリバディ、クッパ」も生で聴きたかったが)。

演奏は、全体的にラウドな感じで行くことにしているのだと思うが、キーボードがピアノの音色のときはBen Folds 5のような味わいがあったかな。あと08の間奏(変拍子になるところ)のドラムが、なんだかクリームの「ホワイト・ルーム」みたいになってたところが、大変面白く、カッコよかった。

うつみようこは、メスカリン・ドライブやソウル・フラワー・ユニオンなどにいた人だが、01でびっくりしたように、声のパワーはちょっと日本人離れしていた(今時「日本人離れ」という表現もなんですが)。個人的には、曲によって感心したりしなかったりだったのだが(後者は03、04だったかな)、機会があったらまた聴いてみたい。選曲は、もうちょっとマニアックなほうが、個人的には嬉しいかな。

01 Respect(Aretha Franklin)
02 I Feel The Earth Move(Carol King)
03 What A Fool Believes(The Doobie Brothers)
04 New York State of Mind(Billy Joel)
05 Stardust
06 I Am The Walrus(The Beatles)
07 I Wish(Stevie Wonder)
08 Living for the City(Stevie Wonder)
09 Desperado(Eagles)
enc
10 Hey Bulldog(The Beatles)

2009年06月02日

440(four forty)presents〜Music and... vol.6

6/2、下北沢440にて。ギター弾き語りの寺村竹史、イタリアのロックバンドZEPHIRO、そしてイーヨが出演。イーヨの今日のメンツは、ナスノミツル(b)、Jin Destroy![didgerido/aka.原田仁(ROVO)]、外山明(ds)。

私は他の出演者のことは全く知らず、専らイーヨを観に行ったわけだが、ZEPHIROはなんか面白かった。80年代以降のロックバンドが好きなんだなあという印象が強いが、その中にたとえばフアネスのようなラテン風味が感じられる点とか、マンマのパスタを食べてすくすく育ったんだなあと思わせるボーカルの体型とか。そのふっくらした体型でくねくねと、でも多分自分ではカッコいいと思ってやっているアクションがまた可笑しくてよい。

ただ、出番の終わったZEPHIROとそのファン(多分在日のイタリア人と、イタリア好き日本人女子)は、おしゃべりがちょっとやかましい。その辺(自分や目当ての出番が終わったら、あとは関係なし。専ら自分たちが楽しむことに精を出す)もイタリア風の感覚なのか? イーヨ演奏時のステージと客席前方の雰囲気は、ちょっとピリピリしていたかも。そういうの、小屋がもう少しケアしてもよいと思う。もちろん「喋るな」とも言えないだろうから、難しいところだろうけど(そういえば、先日訪れた吉祥寺サムタイムでは、喋り過ぎで叱られている客がいたが)。

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さてイーヨだが、技術的なバックグラウンドを感じさせる歌い手ではないけれども、最初期から外山明と活動しているとはいえ、ドラムがどんなにリズムを崩していっても揺らがないところや、コード楽器がない編成、ましてやディジリドゥとのデュオ(04の一部)で歌ってもイーヨ的歌世界を十分に描き出すところなど、大したものだと思う。

演奏は、ナスノミツルのベースが、ギターがいない分の音域もカバーしつつ、カッコいいロックベースで底を支えるのを基軸に、バラバラと自由勝手に歌うような(しかし実際は楽曲の形成にものすごく寄与している)外山明のドラムが曲やステージの進行に伴ってガッとうねり出すとこのふたりがとても気持ちのよいグルーヴを生む。

Jin Destroy!のディジリドゥ(電飾付きなのがカッコいい)も、リズム楽器の一種としてグルーヴに勢いを増していた。三人の演奏が渦になり、そこにイーヨのふわふわした歌が乗っかる瞬間は、大変に心地よい。また、05ではベースとのコンビネーションが実にうねっていた。素晴らしい。

Jin Destroy!は、ROVOではベースを弾いている人だが、この日はディジリドゥのほか、02はカリンバを演奏(02は発売されている音源では、イーヨ自身がカリンバを演奏している)し、サビでのパーカッシブな用い方も含め、これがまた曲にはまっていてよかった。また電気/電子ノイズも少し扱っていた。

演奏中の客席後方のわさわさした感じに少し自分の集中力が負け、また演奏者もそんな雰囲気を感じ取ったのか最後の曲が終わるとさっさと帰ってしまいアンコールもなかったのが残念だった。イーヨは、レギュラーチームのArmy、Navy、Air Forceを生で聴いていないので、また次の機会に期待しよう。

以下、この日のセットリスト。

01 ラーク
02 ルウ
03 Chapou
04 シシリイボウ
05 Roga
06 Scarborough Fair
07 ディオ
08 アウビイ

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