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2010年04月27日

イディオットエイプリル・スフィア・ミシオリオン

吉祥寺Manda-La2にて。

イーヨ・イディオット イーヨ(vo) 内橋和久(g) 中原信雄(b) 外山明(dr)

ミシオリオン 小川美潮(vo) 近藤達郎(key) 大川俊司(b) 湊 雅史(dr)

イーヨは、レギュラー・チーム(e.i NAVY)での演奏で、主に中原信雄のベースが底を支えつつ、内橋和久と外山明がいろいろな色彩を加えて行く上で、イーヨがいつも通り揺らぎのない歌を歌う、という印象。

イーヨの歌については、毎度うっとり聴いてしまうのだが、どういう風にいい、というのが未だによくわからない。歌詞もイーヨ語だから、意味がわかるわけでもないのに、どんな共演者で聴いても、また聴きたいなと思う。むろん、無理に言葉でわかった風な説明をする必要もないのだが、説明できそうなとっかかりすらつかめないのに魅せられているというのも、落ち着かないといえば落ち着かない。

バンド全体の演奏としては、新曲が多い中、06で最初軽めのレゲエ調だったのが、間奏でイーヨが「えーと、もっと重い感じにできますかー」(演奏中にこういうこと言うのを好意的に捉えてしまうのも、この歌い手の面白いところ)と言ったら内橋和久のギターがごつごつした感じのロックっぽい展開になったところとか、08で外山明がまるでボンゾが乗り移ったような演奏をしたのが、とりわけ印象に残った。いや最近、個人的に、ギタートリオ・ロックを、なんとなく新鮮に感じているのかもしれない。

06に関しては、歌の旋律が昭和歌謡をちょっと思い起こさせるものだったので、レゲエ調のときも面白かったのだが。

なお、09ではゲストとして手代木克仁がギターで参加。

あと、終演後にお手洗いの順番を待っていたとき、その近くにいたメンバー間の会話の中で外山明が「湊雅史のドラムセットをそのまま使った。いつもと違ってセットの向きがメンバーのほうを向いていなかったので、やりにくかったし、アプローチもいつもと違ったと思う」というようなことを喋っていたのが、聞くでもなく耳に入ってきた。08で「ボンゾが乗り移ったような」といった感想を抱いたのも、そういう事情が影響していたのかもしれない。

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ミシオリオンは、この日の企画のための編成で、といっても盟友を揃えた編成だが、よくグルーヴするピアノ・ロックで小川美潮が歌う、と、簡単に言えばそういう感じになる。近藤達郎のピアノの激しさ具合がすごくカッコよかった。

小川美潮の歌に接する機会も少なくはないが、こうして思いっきり歌う感じのライブは久し振りだ。その所為もあってか、いたずらっぽいのに大きく包み込んでくるような小川美潮の歌を大いに堪能した。残念ながら曲名不詳なのだが、07のソウルフルな歌唱はとても印象に残っている。ウズマキマズウ、スプラゥトゥラプスなど、レギュラーバンドのライブももう少し聴きに行くようにしたいと思う。

このセットでも、手代木克仁がギターで参加(08とアンコール)。08は、曲名を聴きはぐったが、手代木克仁が参加しているゾクゾクカゾクの曲との由(「Anyday」と聴こえたが、ゾクゾクカゾクには「O.N.D」という曲があるので、こちらかもしれない)。

ちなみに、この日は「近藤達郎の曲多めで」とのことだったが、05は板倉文の曲(チャクラ「さてこそ」所収)。

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アンコールは、最初ミシオリン+内橋和久で演奏開始。途中で手代木克仁が加わり、外山明がバスタムとライドシンバルだけに参加し、イーヨが歌い、ベースが大川俊司に交代、という感じで、久々にロックバンドのアンコール・ジャムの面白さも味わえた。

以下、この日のセットリスト。

イーヨ・イディオット
01 ラーク
02 ラッカ
03 アデル
04 スピ
05 ルウ
06 ガスパール
07 カーム
08 ディオ
09 アウビィ
10 クロードラパン

ミシオリオン
01 南の花嫁さん
02 LINK
03 Four To Three
04 ほほえむ
05 ちょっと痛いけどステキ
06 デンキ
07
08 
アンコール
01 やっとだね

2010年04月24日

トミ藤山・浅草春宵一刻価千金コンサート

浅草公会堂にて。

Tomi The Band:トミ藤山(vo)、佐山雅弘(P、Key)、梅津和時(As, Cl)、青木タイセイ(Tb)、渡辺隆雄(Tp)、鬼怒無月(G)、大川俊司(B)、松本照夫(Dr)、小川美潮(Cho)、竹内宏美(Cho)、仙波清彦(Per)
ゲスト:華乃家ケイ・多田葉子・須藤昭人(以上チンドン。前説のみ)、小竹の子合唱団・伊原福富(指揮)・三上まき(ピアノ)(10〜12のみ参加。編曲:渋谷毅)

トミ藤山の、古希を記念したコンサート。

映画「Standing in the Shadows of Motown」またはファンク・ブラザーズの来日公演を観たあとと同じような感慨を覚えた。もちろんまったく同じではないが、バンドが登場してのイントロダクションの「Tennesee Waltz」に、左記の映画の「Ain't No Mountain High Enough」を想起させられたからかもしれない。

70を迎えられたとは思えない、コブシとシャウトの効いた歌唱と、ギター演奏への探究心に脱帽。07では鬼怒無月とギター・バトルを繰り広げていたし、日本の古い歌を、三味線の味わいをギターで再現しながら弾き語るといった挑戦(13〜16)には驚くばかり。

ステージの流れや感想の詳細については、のちほど補遺する予定。とりあえず備忘メモとしては、全体をバンマスの佐山雅弘がアレンジしているが、06が渡辺隆雄、07が鬼怒無月、08が青木タイセイ、09が梅津和時のアレンジで、各々の個性を発揮。

10〜12は合唱団とのジョイント、13〜16は上述のギター弾き語りと、バラエティに富んだステージだった。

前説での華乃家ケイの口上が素晴らしく、イントロダクションの「Tennesee Waltz」、そしてアンコールの「Tennesee Waltz」と共に目頭が熱くなった。

「古希を迎えて」というところが話題のポイントになるのは、まあ仕方ないと思うが、それを抜きにしても、楽しいコンサートでした。

共演の演奏陣が、それぞれ第一級の演奏家/音楽家であることはいうまでもないが、ただ「お仕事」として「上手い」演奏をしただけでなくトミ藤山への愛情に溢れていたのも、このライブに感動させられた所以ではないかと思う。

以上、取り留めない文になったが、眠いのでとりあえずメモとして。のちほど加筆します。

以下、この日のセットリスト。


イントロダクション:Tennesee Waltz
01 Jambalaya
02 Help Me Make It Though The night
03 Your Cheatin' Heart
04 Georgia On My Mind
05 Silver Wings
06 Johnny Guitar
07 Country Polka
08 Crazy
09 Bei Mir Bist Du Shön
(休憩)
10 Home On The Range
11 Country Road
12 おしえて
13 湯の町エレジー
14 もずが枯木で
15 星の流れに
16 明治一代女の唄
17 Yodel Lady Blues
18 Lonely Together
19 I Just Love To Sing
20 I Can't Stop Loving You
21 Proud Mary
22 Cansas City
enc
23 Tennesee Waltz

2010年04月23日

石橋英子 ワンマンライブ

渋谷7th Floorにて。

現在制作中という新作に収録予定の曲も交えたライブ。休憩後の第二部での6曲が新曲だったと思う。

石橋英子は1stしか聴いていないので、全体の曲名等は詳述できないが、その1stで感じた「様々な音の渦から美しいピアノとメロディ、声が立ち上って来る」感じは、このライブだと若干薄かったように思った。

これは、主に聴き手たる私の問題だが、山本達久のドラム、勝井祐二の電気バイオリン、そしてとつぜんゲストに決まった中原昌也のノイズ、それぞれ面白い演奏だったが、石橋英子初心者にとっては、核となる石橋英子の歌とピアノを味わうにはちょっと辛かったというのが正直な感想であった(耳が慣れていなかった、というべきか)。

そんな感じで、今ひとつこのライブの魅力をつかみきれずにいた中で、後半の最後に演った「夜鷹の星」と、アンコールで(七尾旅人のリクエストによるという)「可愛いベイビー」の歌にはっとする。この二曲は、全体の中で群を抜いて美しく感じた。

ライブでは、まずは素の(歌とピアノだけの)石橋英子を聴くところから始めてみたいが、その機会はあるかな。ちょっと注意しておこう。

2010年04月21日

渋谷 毅 Essential Ellington

新宿PIT-INNにて。

渋谷 毅(P)、峰 厚介(Ts)、松風紘一(As,Bs,Fl,Cl)、関島岳郎(Tuba)、外山 明(Ds)。ゲスト:清水秀子(Vo)。

大まかな感想は、昨年のCD発売記念ライブのときとほぼ同じ(管のアレンジも、印象としてはほとんど同じだったように思う)。

その際に書いた事実的な誤りを若干修正しておくが、

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外山明のセット(スルドがバスドラ代わりで、大きく開いたハイハットのトップとクラッシュが接触している)と演奏(左手に持ったカウベルを指で弾きながらドラムスを演奏したり、とつぜん立ち上がって叩いたり、各打点は拍子に全然かっちりはまってないのに音楽的にはぴったりはまってたり)
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の「大きく開いたハイハットのトップとクラッシュが接触」は、「大きく開いたハイハットのボトムとクラッシュが接触するかのような配置」であった(少なくとも今回は)。またカウベルは、前回は確かに使っていたが、今回は一度も使われなかった。

で、さて、選曲も曲順もCD発売記念のときとほぼ同じで(その際の第二部の「Don't You Know I Care」と「Love You Madly」は割愛されてた)、しかしステージの幕開けは記録してないし記憶もないが、この夜は、外山明のベースドラム四つ打ちから曲が開始された。この四つ打ちが全然ジャストでない、一拍ごとにかなりのずれのニュアンスがある演奏で、これがかなり、その後のステージ全体の印象を決定づけているような気がした。

というか、渋谷毅のピアノーホーンというアンサンブルがかなりきっちり練られたアレンジの通り進行していく上で、外山明のドラムが曲内のムードの変化を大きく演出していく構造、と、今回は感じた。実際どういう考えで構成されているのか、尋ねたわけでもないし私の想像に過ぎないのだが、録音されたものやCD発売記念のときの演奏と比べると、かなり聴き手の感情に作用する演奏だったように思い、その辺と、外山明のクレジットが「ゲスト」ではなくなっていたことから、そんなことを考えた次第。

ただまあ、一番前で聴いたので、PAスピーカーより前でピアノ、テューバ、ヴォーカルが若干聴こえづらく、フロントの管二本とドラムの音がステージから直接耳に響いていた、というのも、そう感じた所以のひとつかもしれない、とも思う。思い返せば、峰厚介や松風紘一のソロと、それを煽るような外山明の演奏が繰り広げられる部分に、今回一番心動かされた気もする。

今回も「ゲスト」と位置づけられていた清水秀子の歌唱は、「歌のため」ではなく「歌も含めたエリントン・ナンバーの再構築」というこのバンドの発想(これも私がそう思っているだけだが)に相応しい、渋谷毅的エリントン世界の中での立ち位置を保つような歌唱と受け取った。歌だけで圧倒するようななにかを多く発するわけではないが、演奏全体の中の役割としての「歌」として、とても心地よく聴いた(ちなみに、清水登壇の間は、渋谷毅に代わって曲の紹介も清水が行っていた)。

歌については、前回は「この演奏でエラ・フィッジェラルドが歌うのを聴けたら」というようなことも思ったが、今回はあまりそういうことは思わなかったのは、このバンドの発想への理解が、私なりに進んだということかもしれない。まあ、Essential Ellingtonの「枠外」で、そのようなライブも聴いてみたいとは思うが、それはまた別の話。

以下、この日のセットリスト。*が清水秀子の歌唱。他はインスト。括弧内に、松風紘一の使用楽器を記す。

01 East St.Louis Toodle-O(As)
02 Black Beauty(As)
03 Just A Sittin' And a-Rockin'(As)
04 I Let A Song Go Out Of My Heart*(As)
05 Prelude To A Kiss*(Fl)
06 I'm Beginning To See The Light*(Bs)
07 Do Nothin' Till You Hear From Me*
08 It Don't Mean A Thing*(Bs)
(休憩)
09 Mighty Like The Blues(Bs)
10 Passion Flower(Fl)
11 Mood Indigo(Fl)
12 Everything But You*(As)
13 Caravan*(Fl)
14 Jump For Joy*(As)
15 Sophisticated Lady*(Bs)
16 Take the "A" Train*(Cl)
17 Come Sunday*(Fl)

2010年04月18日

しぶやさんといっしょ

アケタの店にて。

渋谷毅(vo, p)、かわいしのぶ(vo, b)、藤ノ木みか(vo, per)、外山明(vo, ds)。ゲストに平田王子(vo、g)、柴草玲(vo)、小川美潮(vo)、大川俊司 (b)、上村勝正(b)。

この催しに通い始めた当初は、童謡(渋谷毅作)を中心にした構成にどう楽しんでよいのか戸惑いも覚えたが、3〜4回めともなると、童謡などといったジャンル分けは関係なく、聴き手の心のどこかの部分を動かす歌の世界を素直に楽しむ、ということをさすがに覚えた。子供向け、として作られた歌が中心ではあるが、それに動かされる心をまだ持っている、ということが確認できるような演奏に触れられるのは、とても有り難い機会だと思う。

そしてこの日の白眉は、柴草玲が歌う「生きがい」と「青いシャツ」だった。前者は由紀さおりに、後者は伊東きよ子に渋谷毅が書いた歌で、どちらも別れた男のことを思い出している女の歌だが、柴草玲が無表情で淡々と歌うと、却ってそういうような状況や風景がすごく現実的に浮かび上がって来て、その薄ら怖さに、我が身を叩けば出る埃を重ね合わせると、悔恨の念も沸き上がり思わず目頭が熱くなるのであった(西荻窪という土地の持つ呪いも、個人的にあるわけだが)。

あと、渋谷毅が外山明にとつぜん、「鹿児島民謡歌ってよ」とリクエストして演奏された「ちゃわんむし」が、最初グダグダだったのがだんだんレゲエ調にまとまっていって、最終的にはすごいいい演奏になった。外山明の歌がまたよい。もうちょっとしたら、外山明の歌のライブがあっても不思議ではないかもしれない(と思えるほど)。

小川美潮「はじめて」とか、平田王子「初恋の丘」「音楽の理由」も、もちろん染みた。一夜明けて落ち着いて考えると、すごい贅沢なライブだったなあ。毎回そう思うけど、もう少し普通に人(大人と子供)が来れる場所、日時に催されてもよい企画と思うが、それをアケタやなってるでやるところがまたいいのかもしれない。

以下、この日のセットリスト。括弧内は、主な歌唱担当(ゲストは名字、レギュラーはk=かわいしのぶ、f=藤ノ木、si=渋谷、so=外山。不正確な部分もあり)

01 あしたのあしたのまたあした(si)
02 こんなこいるかな(k、f)
03 くじらのとけい(k、so)
04 雨だれピチカート(f、si)
05 カニのおじさん(f、k、si)
06 夏だよ海だよ音頭だよ(k、f)
07 リンゴ村だより(f、si)
08 雪はこどもに降ってくる(f、k、si)
09 ハローおさるさん(k、f)
10 あっちこっちたまご(f、k、so)
11 ちゃわんむし(鹿児島民謡)+アルプス一万尺(so、f)
12 ぼくのミックスジュース(k、so、f)
13 月のうさぎルーニー(平田、si)
14 星のうた(平田、si)
15 初恋の丘(平田、si)
16 音楽の理由(平田)
(休憩)
17 夢の中(so、k)
18 さるが木からおっこちた(全員)
19 生きがい(柴草)
20 青いシャツ(柴草)
21 ふしぎなあのはすてきなあのこ(小川、柴草)
22 はじめて(小川。大川ベース)
23 キリンのかあさん(小川)
24 おどれ!どんぶり(小川、k、f、so。上村ベース)
25 ちょっとまってふゆ!(小川。上村ベース)
26 ふゆっていいな(小川、so。上村ベース)
27 おおきいてちいさいて(小川、平田、柴草、全員。上村ベース)
28 ちょんまげマーチ(小川、平田、柴草、全員。上村ベース)
29 春のさよなら(k、f)
30 ふたりでひとつ(k、si)

2010年04月17日

潮先郁男・芸暦60周年記念ライブ

新宿Pit Innにて。

潮先郁男(G)加藤崇之(G)さがゆき(Vo)。ほかに潮先郁男が育てた、下記のギタリスト陣がひとりまたはトリオで一曲ずつ披露:横田明紀男、志賀由美子、原とも也、宮崎信義、栗沢博幸、並木健司、北垣雅孝、酒井洋、竹中俊二(順不同)。

第一部は潮先/加藤/さがのトリオで、これは一番前の席で、どこまで柔らかく蕩けるようでいてしっかりとスイングする潮先郁男のギターを堪能した。このトリオでの演奏を聴くのは三回目で、また潮先郁男が病に倒れ復活してからは初めて聴く次第だが、それ以前に聴いた演奏よりも格段に艶が増した印象だったのには驚いた。潮先は演奏開始前に開口一番、「60年もやってるのに、ちっともうまくなりません!」と語ったが、いやいやどうして、このお歳でしかも大病のあとで、衰えるどころか艶が増しているというのは恐れ入るしかない。一体どんな練習をし、どんな風に日々音楽を聴いているのか、これは私のような一聴き手ではなく、多くのプロの演奏家/音楽家にぜひ探求してもらいたい課題だと思う。

曲は(記憶によれば)すべて、潮先がリードする形で始まり、そのにさがゆきの歌と加藤崇之のギターが乗る形で進むが、この(言うまでもなく独立して素晴らしい歌い手/演奏家である)ふたりが安心して潮先のスイングしドライブするギターに乗って行く様は、聴き手にとっては安心して寛ぎながら同時に心躍り痺れて蕩けていられるという、希有な体験である。生演奏を体験するに如くはないが、録音は済んだというCDのリリースもとても楽しみだ。

トリオの演奏ももちろん素晴らしいが、この夜さがと潮先のデュオで演奏された「Monaliza」と第二部のアンコールの「Sturdust」は、宝箱に入れて持ち帰りたいくらいの素晴らしさだった。

以下、この日のセットリスト。

▼第一部(潮先、加藤、さが)
01 Guilty
02 My Romance
03 I Wish You Love
04 Stuffy
05 Mona Lisa
06 Moonlight Comes You
07 After You've Gone
08 Go Away Little Boy
09 In the Wee Small Hours

▼第二部
潮先のお弟子さんによるセッション(4組)ののち、潮先、加藤、さがで
10  Crazy He Calls Me
11 
enc
12 Stardust

2010年04月14日

立川流夜席

御徒町・お江戸上野広小路亭にて。

いわゆる「寄席」と比較すると、番組全体で客を楽しませたり退屈しのぎさせたりするよりも、噺家ひとりひとりの噺の出来を鑑賞してもらう、という主旨だと思うが、それにしては、正直、どの噺も特別な感じがしなかった。

一週間も経ってみると、どの噺もほとんど印象に残っていないのだった。せっかく前日に談志復活があったのに、その話もキウイともうひとりくらいしかせず、それほど可笑し味もなかった。

談笑の「子別れ」は、古典改作の狙いがわかりやすく、昭和中期(高度成長期)に舞台を移したなりの面白さを感じたし、下げのバカバカしさにも却って泣かされた(子供の“亀”のキャラクター作りもよかった。マニアックだが可愛らしい亀の繰り出す小ネタには、いちいち笑わされたし、マニアックな中に可愛らしさがあったからこそ、サゲのバカバカしさの中に程よく涙を誘う要素があったのだと思う)。

そういう意味ではとても楽しませてもらったが、一方で、昭和の高度成長期の町並みだとか小学校の校門前の風景だとかが、絵となって立ち上ってこないなどの恨みも残る。

この日の「子別れ」のレベルの重みをどの噺にも感じて、で、「子別れ」ではさらにその上を行くような噺への引きずり込み方を味わわせてくれたら、多分、この会を聴きに行こうと思った私の動機は十分に満たされたのだが。

もっとも、木戸銭安いし、そこまで言ったら酷だろうか。そもそも、「この会を聴きに行こうと思った私の動機」(あるいは私が勝手に解釈していたこの会の「主旨」)が間違っていたら謝りますけれども。

以下、この日の演目。

立川談大・・・・・・・家見舞い
立川キウイ・・・・・・看板のピン
立川談幸・・・・・・・元犬
立川ぜん馬・・・・・・豆屋
(仲入り)
立川志の八・・・・・・はじめての弔い
土橋亭里う馬・・・・・浮世根問
立川談笑・・・・・・・子別れ

2010年04月12日

酒井 俊(Vo)今堀恒雄(G)ナスノミツル(B)外山 明(Ds)

新宿Pit Innにて。かなり衝撃的だった(その衝撃を反芻するために、文章にまとめ始めるまで時間を置いてみた)。

私はまず、“初めて聴いていきなりカッコいいと痺れたロックバンドとの邂逅”という印象を得た。もちろんいろんな感想があると思うし、私も単純に左記の感想だけではないのだが。

それぞれの共演歴はあるものの、この組み合わせで“酒井俊”を演るのは初めてと思うが、これが二回、三回と続くとどうなるのか、楽しみでもり、予想できなくもある。

曲によって、

1. 今堀恒雄の魔性のギター(と私が勝手に呼んでるが、歌に寄り添った単純そうに見える/聴こえるコード・プレイの積み重ねで、いつの間にか聴き手をどこかに連れて行ってしまうようなプレイ)と歌を中心にしたもの(07、08、15など)

2. 今堀恒雄とナスノミツルのボリューム奏法やエフェクト使いでなんとも言えない空気や風景を歌世界の中に作り出すもの(01、04、11、16など)

3. 60〜70年代のいろんなロックの記憶を引きずり出されながら歌の世界に引き込まれるもの(02、05、09、14など)

といったアプローチを中心に、各々の曲の演り方が深まって行くのだろうな、とは、なんとなく思うが、ただしそれが実際に、さらにどんな衝撃を感じさせてくれるのか、とても楽しみに思う。特に3.のアプローチでの酒井俊の歌唱の持つ熱は、すごく軽卒で浅い言い方を許してもらえれば、ロックもいけるじゃないか、と瞬間的に思わせられた。

Pit Innという会場だと、聴きに行く前にいろいろな先入見が入る余地があるようにも思うし(そういう可能性もある、くらいの意味)、いっそのこと下北沢や渋谷のライブハウスで若いロックバンドとタイバンしても面白いかもしれない。いやむしろ、酒井俊の名前も知らない若い客の前で、この編成で一度演ってみてほしいとも思う。私がこの日感じたような(いや多分それ以上の)衝撃が走るところを、目撃してみたい。

細かい点の記憶もランダムにまとめておくと、12〜13は珍しくメドレーで、12では酒井俊が生まれ育った谷中の光景を語る台詞の中に、古今亭志ん生などが出て来て、13はベースとドラムが非楽音を鳴らす一方ギターは歌と寄り添うような仕方ながら、歌の3番で全員がガチっとロック(lock)するところがカッコよかった。

14は、この日酒井俊の出で立ちが着物だった所為もあるかもしれないが(前で結ぶ帯のこなし方がなかなか素敵だった)、後半歌と演奏が渦を巻き始めるところなど、歌舞伎の一幕を観ている印象もあった。

ナスノミツルの演奏では、05のモゴモゴとした(多分)C#とAの繰り返しとか、16の足踏みオルガンのような音色/演奏が特に印象に残っている。以前酒井俊との共演で聴いたときは、唐突な音色/音量をどう捉えてよいか戸惑ったことがあったが、今回はどんなアプローチも(理屈はわからないが)耳で素直に驚き納得できた。

この日カクテルドラムを使用した外山明は、曲中ずっと叩かずとつぜんタムをポンッと鳴らすような場面もあったが、そこに至る「外山明が歌と他の演奏を聴いていた時間」が凝縮されたような一打と思った。それは、リズムを刻むような場面とか、曲中で歌や他の演奏に呼応してかき回すような速いフレーズを叩くところでも、同様のことを感じた。つくづくすごいドラマー(というか音楽家)だと思う。

以下、この日のセットリスト。

01 主人は冷たい土の下に
02 香港ブルース
03 Lean on Me
04 浜千鳥
05 黒の舟歌
06 アラバマソング
07 You are So Beautiful
08 Crazy Love
(休憩)
09 Just Like A Woman
10 かくれんぼの空
11 酒とバラの日々
12 四丁目の犬
13 ヨイトマケの唄
14 I am You
15 Martha
16 I Shall be Released
enc
17 満月の夜

2010年04月08日

酒井俊+桜井芳樹、関島岳郎、中尾勘ニ

吉祥寺マンダラ2にて。

酒井俊(vo)、桜井芳樹(g、バンジョー)、関島岳郎(tu、リコーダー各種)、中尾勘二(ts、tb、kla、dr)。

この編成で酒井俊を聴くのは久し振り。

印象は基本的には、この編成では概ねいつも通りの、関島岳郎のテューバのベースラインを中心とした安定した世界の上で堪能できる酒井俊の歌、であった。個人的には、酒井俊の歌を最もくつろいで堪能できる編成だ。

たとえば02なら関島岳郎が吹く「ミ、ドド|ミ、ドド」(多分)というシンプルなベースラインだけで、もう確固とした世界が出来上がるから、すごく歌に集中して聴ける。他の編成では思いっ切り爆発する05や12、13も、即興や非楽音的な要素で渦を作るような部分はほとんどないので同様だ(しかしもちろん、この編成ならではの興奮を、いつの間にか感じさせられている)。

その一方でこの夜は、中尾勘二の不思議な切り込み方とか(トロンボーンの絶妙なスライド使いが独特な可笑し味を生む01や17、クラリネットでちょっと異様なほどのロングトーンを鳴らしてからとつぜんいろんなフレーズに展開していた02など)、06や13での桜井芳樹の激しくうねるギターなど、新鮮で心震える演奏もあった。

ギターのリフに低いハウリングのような響きでテューバが絡んでくる05や、中尾勘二がベースドラムとハイハットでいいビートを刻みながらトロンボーンを吹く08の演奏も面白かった。10の、シンプルなベースラインを着実に一音一音置いていくようなベースラインといい感じにしょぼくれた味わいのあるトロンボーンの組み合わせも、個人的にはすごくたまらない。

歌にフォーカスしていえば、03にはいきなり泣かされた。なぜだかはよくわからないが、自然と目をつむって上を向き気味で聴きたくなる歌唱。この曲は前に聴いたときもほぼ同じ編成だったが(プラス岡部洋一だった)、そのときは桜井芳樹のイントロ(ギターだったかバンジョーだったかは失念したが、多分バンジョー)があまりに素晴らしくて酒井俊が歌に入れなかったという一幕があった(昨年6/17の公園通りクラシックス)。今回はそういうことはなかったが、やはりバンジョーのイントロにはぐっと来た。そういうところも含めて、繰り返し聴きたい名演だと思う。

ほかにも日本の古い歌が多くて、それぞれ楽しかったのも、このライブで印象的だった点。10、11など、印象の強弱はあるが、03と同様の環境を得た。

それと、先日のなってるハウスでもそうだったが、今後は少しMCを増やすということで、この日も渋谷毅や阿部薫の思い出話も含め、ステージや音楽に親しみがわくようなお喋りがあって、これは新しい聴き手を獲得していくなどにはいいことだと思う。音楽を聴くこと自体に、直接なにか大きな影響があるわけでないと思ったが(昨夜の印象では)、酒井俊のライブに触れた数が少ない聴き手には、無駄な緊張感をほぐして歌と演奏を素直に楽しんでもらえるような作用はあると思った。願わくば、「初めて酒井俊を聴きに来た人」がもっと増えてほしい。

以下、この日のセットリスト。曲ごとの楽器編成も併記しておく(桜井、関島、中尾の順)。

01 主人は冷たい土の下に(g、tu、tb)
02 香港ブルース(g、tu、kl)
03 十九の春(ban、rec、kl)
04 赤い河の谷間(ban、tu、ts)
05 黒の舟歌(g、tu、dr)
06 かくれんぼの空(g、tu、ts)
07 Hallelujah(g、tu、ts)
08 Those were the Days(ban、tu、tb)
(休憩)
09 アラビアの唄(g、tu、ts)
10 上を向いて歩こう(ban、tu、tb)
11 浜千鳥(g、kl、tu)
12 ヨイトマケの唄(ban、tu、dr)
13 買い物ブギ(g、tu、dr)
14 I Shall be Released(g、tu、dr)
15 いとしのクレメンタイン(ban、tu、dr)
16 橇に残された約束(ban、rec、dr)
enc
17 満月の夜(ban、tu、tb)

2010年04月07日

板橋文夫 3DAYS オーケストラ

新宿Pit Innにて。

板橋文夫(P)、林栄一(As)、片山広明(Ts)、吉田隆一(Bs)、 田村夏樹(Tp)、 太田恵資(Vn)、井野信義(B)、 小山彰太(Ds)、外山 明(Per)。

不順な天候が醸し出す緊張感と、不意に現れるすこんと抜けた青空が織りなす、3月から4月にかけての天候の面白さを音楽化したかのような演奏だったと思った。1曲20〜30分はある各曲は、構成はものすごく緻密だが、そこに圧縮されてからの爆発力は、どの演奏者もそれぞれにすごい。

板橋文夫は、全然聴き込んでいないので、言葉にしようとすると嘘が混じりそうだ。なのでこの辺でやめておくが、ただただ圧倒されたのは確かな事実。

アンコールの拍手が小さかったのが残念だが、そうは言っても楽曲の緻密さ、演奏のパワーなどから考えたら、アンコールを求めるのは酷かもしれない。次に聴く機会があったら、本編だけで十分満足するよう、さらに集中して臨みたいと思う。

以下、この日のセットリスト

01 2010春
02 (不明)
03 ピンクドッグ(と聞こえたが?)
(休憩)
04 春分点
05 桜
06 21+40
enc
07 (不明。短いピアノソロ)

2010年04月06日

楽太郎改メ六代目三遊亭圓楽襲名披露興行

浅草演芸ホールにて。中日の翌日の、ちょうど折り返しを見物。

入場したらちょうど魔女軍団4人が舞台上にいたので、その華やかさにちょっと喜ぶ。

で、席を探すが場内は満席で、しかし立ち見はそんなにぎちぎちではないので、下手側通路に腰を下ろして見物。

米丸は、この日がちょうど85歳のお誕生日だそうだが、益々お達者。お歳を召したならではのボケ味が、鮮やかというのも変だが鮮やかだった。

同じ味わいは、米助の「猫金」にも感じた。ほかの演者で何度も聴いている噺なのに、米助独特のバカバカしい感じに、ついつり込まれて、脱力しながら結構笑う。

小遊三は普通に(というのも乱暴な評だが)面白かったし、東京ボーイズやボンボンブラザースの芸の、自分たちの笑いに必要以外のものを削ぎ落としたシャープさも相変わらず(ボンボンブラザースはいつもより長めだったように思う)だった。堪能した。東京ボーイズは、相変わらずチューニングが悪いけど。

という中で聴く圓楽は、残念ながら六代目云々は別にして、いかにも弱い。元々五代目圓楽の芸は嫌いだったし、あの(まあ私にとっては)変な特徴を継がなくてよいとは思うが、名前以前に噺家として、ぐっときたり引っ掛かったりするところがないんだよなあ。TVで見せる腹黒いキャラクターは、高座ではあまり見せないようだが(以前にもそう感じたな)、もちろんそれにこだわる必要はないけれど、なにかこちらを引っ掛ける要素が欲しいと思う。

現在のところ、やはり噺と聴き手の間になにか隔たりがあるように感じる。それを取り払う「何か」があれば、それが「圓楽」という名前のイメージにそぐわなくても、いいのではないかと思う。私個人の好みではあるが、「圓楽」のイメージを追うよりは(まあ現在も追っているようには見えないが)、一噺家として自分なりのその「何か」を見せてくれることに期待したい、と思った。

以下、この日の演目

北見伸&ステファニー・奇術
桂米丸・・・・・・・・空き缶の由来
(仲入り)
(上手から)桂米助、三遊亭小遊三、三笑亭夢之助、六代目三遊亭圓楽、三遊亭圓橘、桂米丸
・・・・・・・・・・・口上
東京ボーイズ・・・・・歌謡漫談
桂米助・・・・・・・・猫と金魚
三遊亭小遊三・・・・・寄合酒
ボンボンブラザース・・曲芸
三遊亭圓楽・・・・・・舟徳

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