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2012年07月30日

新宿末廣亭7月下席夜

(初出:Facebook「落語総見」グループ https://www.facebook.com/groups/rakugo99/)

昨日午後、新宿にて某師匠を取材。どなたを何の仕事で取材したかは、いずれこちらでも宣伝させていただくかもしれませんが、その師匠が取材後末廣亭に上がるというので、こっそり覗いて参りました。

で、さて、お客は50人ほど。ああいう寂しい感じの寄席は、私は久々だったが、夜の部はあんな感じも多いのかしら。まあ、その寂しい感じが却って涼やかでのんびりとしていて、夏の夜の寄席という趣も感じられた。夏休みで親に連れられてきたのだろう子供の姿が少し目立ったのも、そんな趣を醸し出していたのかもしれない。

演目も、どちらかというと声を張るものよりひそひとと話されるものがほとんど。落語で賑やかだったのは、漫談が主体の蝠丸「仙台高尾」くらいで、金遊「開帳の雪隠」やトリの小柳枝「景清」などは、聴いているととろとろとしてくるような語り口に、不思議と涼しさを感じた。それにしても、「景清」はとても久々に聴いたが、すごい題、すごい噺だ、と改めて思った。

圓「蛇含草」は、ご存知「そば清」の元となった上方噺だが、もちろん江戸弁で。これまたとろとろといい気持になるような芸で、下げは聴き逃した。蛇含草舐めて餅が甚平着て…… てとこまではやらなかったように思う。

小遊三「夏泥」は、長屋の住人の大工の、まったく怯えずうろたえない、悪びれず喰えない感じの可笑し味が心地よく、これまた大変結構だった。高座での小遊三は、「笑点」でのキャラクターと少し異なる、この大工を演じるときのような独特の“カッコよさ”が魅力であると思う。

俗曲は春風亭美由紀が檜山うめ吉の代演。うめ吉ファンの私としては一瞬「ええ、残念」と思ったが、「新土佐節」「東京音頭」の唄や「かっぽれ」の踊りが小気味よくて満足。二曲めの「さのさ節」の途中で糸が切れ、糸を替えるところが見られたのも、珍しかった。

珍しいといえば、太神楽ではお馴染みの鞠や鉄輪、枡の回し分け、五階茶碗、輪の組取りに加え、久し振りに卵落としを見ることができたのも嬉しかった。卵落としは、見事大成功であった。

***

新宿末廣亭下席は本日まで、ちなみに夜の部の膝替わりの前(正式な呼び方はあったかな?)は日替わりで、本日7/31は春風亭昇太が予定されているようです。

あと、ご存知かもしれませんが、今現在夜席割引実施中にて、18時より入場が2,200円、19時〜19時45分に入場が1,400円と、おトクになっております。

北見マキ・・・・・・奇術
三遊亭金遊・・・・・開帳の雪隠
橘ノ圓・・・・・・・蛇含草
中入り
春風亭美由紀・・・・俗曲
柳家蝠丸・・・・・・仙台高尾
三遊亭小遊三・・・・夏泥
翁家喜楽喜乃・・・・太神楽
春風亭小柳枝・・・・景清

2012年07月18日

新宿末廣亭7月中席昼

(初出:Facebook「落語総見」グループ https://www.facebook.com/groups/rakugo99/)

こちらでは大変ご無沙汰しております。

特別な興行を鑑賞したわけではありませんが、昨日昼間、暇つぶしにふらっと入った末廣亭がなかなか面白かったので、夏のご挨拶代わりに紹介させていただきます(ただし、涼みがてらぼーっと聴いていたので、レポートもぬるめの由、ご容赦ください)。

木戸をくぐったのは、林家ペーのギター漫談の最中、ちょうど石原裕次郎の唄(なんだったか失念)をごく普通にギターで弾き語りしていたときで、その後も普通だったり替え歌だったりなにか歌いながら、曲の合間にハスキーな早口でなにかつぶやくようにギャグを入れるというスタイル。小声早口で、最初は何を言っているのかわからないのに、ちょっと耳を傾けると独特の渦に巻き込まれるようで、自然に笑い続けていた。カラオケで「ペーパー夫婦節」唱っておしまい。お召しの衣装、もちろんピンク色の、光沢と畝があって少しラメ?が入った生地のズボンが素敵だった。

続く馬楽は酔っ払いをネタした漫談と寄席の踊り(深川節の猪牙と駕篭)でさらっと。圓鏡の代書屋は、生命保険のアリコの「50から80まで入れます」が下げ(これはいつから演ってるんだろう?)。意表を突かれて笑う。

声帯模写の丸山おさむは柳家小菊の代演。息子を学習院に入れようとした、という話から、面接で平成天皇の物まねをしたという話になり、あの口調で面接官に息子をアピール。場内ほとんどお年寄りだったが、これが大受け。勢いに乗って菅原都々子と桑田圭祐の歌唱の比較や、田中角栄の声色での演説ネタなども爆笑を誘う(実際かなり可笑しい)。最後のひとりチークダンス(マイクスタンドに着せた女ものの着物に片手を入れ、尾崎豊「アイ・ラブ・ユー」に乗せてひとりでチークダンスを披露する)では苦しくなるほどだった。

中入り前の歌之介の漫談も、畳み掛けるような調子で客席巻き込みつつ、ときどきエア・ポケットのようなボケが入るという塩梅。ここまででかなり笑い疲れる。

中入り後は、圓丈の「強情灸」が途中で焼き海苔を持ってこさせて「灸の軍艦巻」というギャグを入れるなど、他と比べるとややぎゃちゃがちゃした演出だったものの(それはそれで、もちろん圓丈の持ち味だし、もちろん面白かった)、中入り前と比べると、勢いを押さえた静かな落ち着いた笑いが届けられたという印象。小里ん「竈幽霊」もトリの一朝「蛙茶番」も、安心して心地よく耳と心を預けて、力を抜いて自然に笑うことができた。

不勉強故、「竈幽霊」以外特に夏向けの噺が多かったのかは知らないが、なんとなく夏のにおいを感じさせてくれたひとときだったように思う(「強情灸」の灸の熱さとか、「蛙茶番」の下半身剥き出しなども、その要因かもしれない)。場内冷房は効かせ過ぎだったのはまああれとして、暑い盛りに飛び込んだ甲斐はあった。

林家ペー・・・・・・ギター漫談
蝶花楼馬楽・・・・・漫談
月の家圓鏡・・・・・代書屋
丸山おさむ・・・・・声帯模写
三遊亭歌之介・・・・漫談
(中入り)
春風亭一之輔・・・・浮世床
笑組・・・・・・・・漫才
三遊亭圓丈・・・・・強情灸
柳家小里ん・・・・・竈幽霊
翁家和楽車中・・・・大神楽
春風亭一朝・・・・・蛙茶番

***

ところで、「竈幽霊」は、元は上方落語「かまど幽霊」だったものが大正初期に東京に持ち込まれたと記憶していますが、一方根岸鎮衛「耳嚢」(天明〜文化期に江戸で書かれた)に、サゲ前までとほぼ同様の話(かまど幽霊)が載っているようなのです。「耳嚢」はまたあとで繙いていますが(あーでも今手許に本がない)、この辺の関係についてご存知の方がいらしたら、ご教示いただければ幸いです。

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