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2014年08月31日

8月まとめ(21〜31日)

8月21日(木) 朝9時半起床→朝食後、先日の柳家さん生独演会と昨日の浅草をまとめ→ビールと歌舞伎揚げ→午睡→夕方起きて慌てて着替えてまずは久々に経堂ripple。ここはそんなに威張ってないのにちゃんと飯がうまくていいな。今日はようやくガンボ食べた。も少し辛くてもいいが、じゅうぶんうまい→豪徳寺まで歩き世田谷線で下高井戸→下高井戸シネマでジャック・タチ。最後の作品となった『パラード』(1974、タチ66歳の監督・出演作)と、ごく初期の(初?)出演作である短編のシャルル・バロワ監督、ジャック・タチ脚本・出演『乱暴者を求む』(1934)。『乱暴者を求む』は、レスリングの試合に間違って駆り出された売れない役者(ジャック・タチ)が主人公のスポーツ喜劇。若いジャック・タチがデヴィッド・バーンとアンガールズの田中を足して二で割ったみたいなキャラクターなのに笑う。変で可笑しい動きはこの頃すでに萌芽があった→『パラード』はジャック・タチの原点であるスポーツネタを最晩年に集大成したような作品。スポーツ形態模写の元ネタなど知らないのに、いつの間にか笑う。テニスのスローモーションの動きなど爆笑。サーカスの団員、楽団員だけでなく観客の演出も細かく行っている様子も好感が持てるし、観客も含めて全員が善良そうで、でもどこかちょっとだけ変というのも楽しい。ジャグリングのシーンではなんだか涙が出た。サーカスと、私にとっては寄席芸や、音楽に身体を張ったネタを交えるところなどクレージーキャッツのにおいもする映画であった。いやあよかった→帰途は徒歩→風呂→なんだかいい気分なので、風呂上がりのビールから白葡萄酒へと移行。4時半まで呑む。
8月22日(金) 朝11時頃起床→朝食後ごろごろ&読書&午睡。請求書出そうと思ってたが忘れたまたは諦めた→夕方風呂→サエズリのうまさについ酒が進み、片山真理が出た『バリバラ』から『匿名探偵』見たところで長椅子で撃沈。
8月23日(土) 朝方長椅子から寝床に移動し、のどの渇きと小用で何度か起きるが、結局朝11時過ぎ起床→『匿名探偵』をもう一度見てから、録画の編集(不要部分のカット)など→風呂→ジャック・ヒル監督、パム・グリア主演『フォクシー・ブラウン』(1974)見る。往年の日活アクションとか『混血児リカ』シリーズを想起させる面白さ→『笑う洋楽展』や『漫才大行進ゲロゲーロ』を見ながら明日の朝食のそうめん(と決めた)用の汁を仕込んだりしてから、夜3時前就寝。汁は野菜くずから葱を出汁に使ってみたが、麺つゆとしては芳しくなかった。
8月24日(日) 朝10時過ぎ起床→昨夜仕込んだ麺つゆは、一晩寝かせたらよくなった。そうめんで朝食→『浅草お茶の間寄席』など録画消化→ダビング作業しつつO形実家から持ってきた『ラシャーヌ』を三巻まで→冷蔵庫の中身、野菜が乏しいが、とりあえず晩の仕度(O形はお友達と外出)。若鶏膝ナンコツと昆布の煮込み、ニンジンのきんぴら、長芋とろろ納豆、〆のカレーうどんの汁を仕込む。あとは鯖を焼けば格好がつくだろう→風呂→TBS落語研究会の小三治『お茶汲み』、花緑『ちりとてちん』、鯉昇『蒟蒻問答』で晩→今日はちゃんと量ってみたが、御酒二合(ぴったり360ml)でよした→夜11時頃就寝。
8月25日(月) 朝10時半起床。夜中に何度か起きた所為で寝坊となった。なぜか夜中に目が覚めて朝の7〜10時が一番眠い、というサイクルが昔からずっと続いている→日中は寝っ転がって『剣客商売』読書→遅い昼に鯖を軽く昆布で〆てから玉葱、ニンジン、ニンニクと炒め、クミンやオールスパイスとピリピリで辛味をつけ、最後にトマトケチャップと和えたスパゲティを絡めたのを作ったら、思いのほかうまかった。これはおぼえておこう→カトラリー入れ(というのかな?)の引き出しを掃除→夕方請求書出しがてら買物。ビーバートザンから千歳局、かばや、ピーコック、薬屋、河内屋、梅田青果、一力と一回り→風呂→『モンティ・パイソン復活ライブ』前編を見ながら晩。何の気になしに見たが、結果爆笑。形だけの“再結成”ではなくてよかった→酒を過ごしいつの間にか寝てた。
8月26日(火) 朝10時頃起床→ステッパー6分とシットアップ15回。運動ちゃんと再開しなきゃ→ジャック・タチの娘(ソフィー・タチシェフ)、45歳の若さで亡くなってたのか。知らなかった→夕方下北沢にて、みなまるこ展『マルノカミ』見物→と思ったら、昨日今日が定休日だった。残念→下北沢は結局駅前マーケットの乾物屋で買物したのみとなった→個展会場から下北沢に戻らず代田橋を目指す。環七に出てから井の頭通りを歩き、踏切渡ったところにあるたこ焼きで呑ませるうちで一杯。悪くはないのだが、たこ焼き六個450円〜は高い→新代田から線路に付かず離れず歩いて明大前、明大前で北側に渡りやはり線路に付かず離れずに歩いて下高井戸。ここまでで小一時間は歩いたかな→下高井戸シネマで当日券買ってからJazzKeirinで晩。久々のかしわ天。豆腐がなかったのが残念。うどんは白緑ぶっかけで野菜を補給→で、ジャック・タチ映画祭。今日はご存知『ぼくの伯父さん』(1958)。併映はタチの実娘ソフィー・タチシェフが監督した短編『家族の味見』(1976。iMDbでは1978とされていた。日本では劇場初公開)→『家族の味見』は、何故か親爺やお爺ちゃんで賑わっている菓子屋の人気の秘密は……という短編で、タネを明かせばお菓子に酔っ払うくらいに各種の酒を使ってる(振りかけてる、あるいは呑めるほどに注いである)という直球を投げて来るところが却って楽しい。親爺たちがただ菓子喰って長居して閉店だからと追い出されて千鳥足気味に帰って行くというだけの映画だが、好きな類いの映画だった。ソフィーの早逝がつくづく悔やまれる→『ぼくの伯父さん』は、前作『僕の伯父さんの休暇』と比べるとなにか“論”めいた理屈を話したくなるような要素が多い。たとえば旧来の街と新興かつ富裕層が住む住宅街とその中間にあるような団地との対比とか、新興住宅街から近代的な化学工場に出勤するためには旧来の街を通るのだが、その道程に取り壊しが進む家や壊れた石塀や野っ原があり、その壊れた石塀や野っ原を境界としてすべての場所を自由に行き来するのは犬と子供(あとユロ氏)だけとか、その他いろいろ。しかしそんなことを論ずるべく考えるより、ただただ脈絡のない話と笑いに興じた。丸い窓を目玉に見立てた場面や、植木を切りそろえようとしてどんどん短くなってしまう場面、庭のある場所に杭を突き立てたら噴水の出が可笑しくなる場面、車庫に自動扉を取り付けたとたんに閉じ込められる場面、どう置いても寝にくいソファをわざわざ倒して寝てる場面、化学工場でのドタバタ、そして口笛を吹いて歩行者の注意を逸らせて街灯の柱などにぶつからせる悪戯などなど。最後に悪戯については、前半で使われたものが伏線となり、結末部の暖かさを演出している。書けばきりがないしまとまらないが、まとまらないままに敢えてしておきたい。総じて言えば、前作からさらにちょうどよく膨らんだ(あるいはちょっと膨らみ過ぎた)という印象を得た。繰り返し見たい映画である→下高井戸から、O形と『ぼくの伯父さん』の印象を語り合いながら、今日は以前から歩き慣れた道筋を歩いて帰る→帰宅即風呂→日記書いて就寝。と思ったが寝酒一杯やりつつ『日本の話芸』の五街道雲助『干物箱』や『モンティ・パイソン復活ライブ』を見たりする。夜4時頃就寝。
8月27日(水) 朝10時過ぎ起床→朝は自作の汁で納豆にゅうめん。汁はうまくできた→朝食後もう死んじゃうんじゃないかというほどの眠気に負けて午睡→昼も自作(ナポリタン)→夕方出かけ、経堂駅前図書館でO形と待ち合わせ、下北沢へ→7月書房でみなまるこ展『マルノカミ』見物。コンピュータできっちりデザインしたようないろいろなキャラクターが、フェルトの暖かさとあんこを入れた膨らみでもって表現されているのが面白い。大阪の民俗博物館にあるアジア諸国の仮面のような味わいもあり→作者から七時過ぎなら在廊との連絡があったので、下北沢を少しうろうろし、結局Motherで軽く晩にして時間潰し(モエツカリーに行くほどお腹はすいてなく、宮鍵がなかなか開かなかったので、無駄にうろうろした)→玉井屋でせんべい購入→7月書房に戻り、作者にご挨拶。やはりAdobe Illstratorのレイヤーを使って型紙を作っているそうだ→8時前においとま。経堂駅前で買物→帰宅後、なんだか疲れて横になってしばし睡眠→0時過ぎ起床→朝方就寝。
8月28日(木) 朝8時半起床→朝食後風呂。『花子とアン』の駆け足は謎→昼から上野鈴本。川柳川柳の芝居。昨日買った下北沢玉井屋のあられでビールをやりながら見物→普段からあまり好んで聴かない文楽が、この日だけかは知らぬが先日の浅草の正蔵で聴いてがっかりした『悋気の火の玉』だったのが、なんかツイてない感じだった。正蔵のが色気や情念を薄めに薄めた『悋気の火の玉』なら、文楽のは粋を忘れた『悋気の火の玉』だな。もっとも『悋気の火の玉』にそんなに色気や情念の表現とか粋さが必要なのかどうかは知らないが、まあとにかく物足りなさを漂わせている(と感じさせられる)のは、私にとっては相性の悪い噺家ということだろう。いや相性が悪いだけで片付けるのもなんだが。あと文楽はくすぐりが、家政婦が見た、だとか、Yahoo!知恵袋や発言小町と言えばすっと来るところをTwitterというのがなんとも大雑把だとか、意外性も鋭さも今ひとつという憾みもある。ただし狆を買うというくだりでドーベルマンを出し、松嶋菜々子に話を持って行ったのは好きな感じではあった→文楽から一之輔、という流れは、その意味で残酷さを感じた。一之輔は自分の子供のことを語るマクラから『初天神』を語り出す流れがぎゅっと締まりがあって見事。本編も無駄がないのにくすぐりに味があって、とても引き込まれた。お父っつぁんと金坊とが実力伯仲というかいい勝負なのも、なんだかおかしな緊張感があって面白い→あとは百栄『寿司屋水滸伝』(柳家喬太郎作)、歌武蔵の相撲ネタの漫談、喜多八『小言念仏』が可笑しかった→川柳は、先日の浅草で聴いて少し元気がないなあと思っていたのだが、『ガーコン』はほぼいつも通りの迫力だったと思う。『マラゲーニャ』は、歌は相変わらずだが、ギターが前に聴いたときより縒れてる感じだったかなあ。聴けるうちに聴いておきたい→ところでトリが始まってから帰る客はなんなのだろう。川柳が嫌いなら高座が替わるときに変えればいいし、知らないならとりあえず最後まで聴いてから判断すればいいのに。いつもそうかは知らないが、途中で帰るのはおばちゃんの二三人連れが多かった気がする→終演後、井泉にてロースカツで御酒→時間がだいぶ余ってしまったので、早めにBar Issheeにお邪魔して開店準備を手伝う。と言っても、前店舗の階段上看板に黒いビニールをかぶせる手伝いをしただけ。あとは早めにビールをもらい歓談→吉田隆一、田中邦和、松本健一のバリトンサックストリオは凄まじかった。特に後半、飛び入りの近藤直治が参加してからの四管での演奏は、とても心地よく頭がおかしくなっていく狂気に満ち溢れていた。終演後の酒宴の感じも含め、新生初日にしてBar Isshee完全復活と思った。あとやはり店は人だな、とも→そういえば、投げ銭の中から出演者が店に祝儀を渡していた。粋だ→電車賃だけ残して呑み上げたが、平和に電車で帰宅。ただし乗車中のことはあまり記憶にないが、粗相や狼藉はなかったと思う→帰宅後即就寝。夜1時過ぎかな。
8月29日(金) 朝9時頃起床→飯炊いて朝ドラ見ながら朝食。『花子とアン』は、もうほんとに嫌だなあ。まあ見なきゃいいのだけれども。実在の人物をモデルにしたフィクションなわけだが、モデルをどうフィクションに仕立てていくかの覚悟がものすごく中途半端な気がする→昨日はじめてお会いした人に連絡、昨日の日記を認めるなど→昼過ぎ慌てて風呂→夕方北千住へ。まずは天七で軽く一杯→の予定が、行ってみたら天七は忌中ということで臨時休業。どうしようかと思ってたところにO野さんCエちゃんいらしたので、もう大はしに並んでしまうことにする→大はし前では30分前で二組め。ちょっと耄碌しかかった?ご老人にいろいろ話しかけられるも、開店と同時になだれ込み、奥の四人がけテーブルに陣取る。二時間くらい呑んだか。人のうわさ話や馬鹿話で大いに楽しんだ→それから遠山に移動。焼き鳥各種と鳥刺しで御酒。ちょっと残してしまった→最後にBlue Cane。ここではもうベロベロで、せっかくのラムも呑めなかったように思う。葉巻は吸った→北千住駅前でおふたりと別れ、千代田線の駅へ。駅の手洗いでちょいと戻す→千代田線から小田急線と平和に帰宅→カップカレーうどん喰って就寝。夜1時くらい。
8月30日(土) 朝10時過ぎ起床。珍しく頭痛タイプの宿酔い。その後腹下り→朝食にO形がたらこスパゲティを作ってくれたが、見事にフライパンごとひっくり返したので笑う→その後また横臥→腹が減ったのでそうめん作り食す→風呂→夕方からぶらり下高井戸。今日の『プレイタイム』で、下高井戸シネマ詣でもひとまず今日でおしまい。映画館の特集番組で全作品見に通ったのなんて、学生のとき以来だ→まずは下高井戸シネマで切符買ったのち、JazzKeirinで一杯。店に入ったとき店主がめちゃくちゃ忙しかったので、自分で冷蔵庫からビール出させてもらう。可笑しい→かしわ天やうどん(今日は白肉うどんにまいたけ天)はいうまでもなく、自家製の豆腐がまたうまい→腹一杯になって下高井戸シネマへ。『プレイタイム』、なんて素晴らしい映画だ、と再確認。三十年ぶり。見に来てよかった。前半の、なにがどう起こるのかまったくわからない、少し退屈も含んだドキドキ感から、徐々にくすくす笑いが生まれ、後半のナイトクラブで笑いが爆発する過程で、なぜか涙もこぼれる(特にナイトクラブが破壊されていく中でのヒロインのピアノ演奏や元歌手だという女性が歌うところ)→下高井戸シネマのジャック・タチ特集、追加上映があるとの由。日程は未定だそうだが、こりゃうれしい。リピーター割引券も引き続き使えるそうだし。『プレイタイム』は必ずもう一度観に行こう→往路は経堂小学校横から西福寺通りの裏を抜ける道程、復路は日大の横を通る道程にしたが、往路が3108歩/3.326km/163kcal、復路が2935歩/3.14km/153.8kcalであった。Googleの地図で近道?とされていた道程のほうがちょっと遠かったようである→帰宅し風呂→ビール一本だけ呑んで就寝。『笑う洋楽展』と『漫才大行進ゲロゲ〜ロ』見る。母心は面白いなあ。一度生で見なければ。夜2時頃。
8月31日(日) 朝10時起床→先日志村商店の親爺に教えてもらった蒸し大豆を作ってみる。圧力鍋の中で昆布と鰹の出汁で蒸す次第だが、どんぶりに入れた大豆を8分蒸したら柔らかめ(ただしどんぶりに出汁が溜まる)、ざるに入れた大豆を6分蒸したら固め。その中間くらいがいいかな? 出汁に醤油とみりんを少し足してから蒸したが、味はほんのり、でもよく噛んで食べてるとそれくらいがいい感じではある→その他朝から考えたのは晩の献立のみ。珍しく手順をメモし、昼過ぎから調理にかかったが、作り始めるとどんどん手順も味付けも変わる→夕方枝豆の冷製スープと姫海老入りポテトサラダを仕込み終わったところで風呂→風呂から上がって大根とソーセージのマサラ炒めと鯖の蒸し焼きトマト乗せを作り、あと〆のラム肉のピリ辛ナポリタン風スパゲティを仕込み、呑み始める→『匿名探偵』二回めと、『バリバラ』(片山真理が出てたが一言くらい喋っただけだった)、あとジャック・ヒル監督、パム・グリア主演の『コフィー』見る。『コフィー』は翌年の『フォクシー・ブラウン』に比べると粗は目立つが好きな映画だ→見終わってすぐ寝てしまう→夜中1時くらいに起きて、皿を洗い来週分の麺つゆを仕込んで、八月終了。モンティ・パイソン復活の後編見て、朝方5時過ぎ就寝。

2014年08月28日

上野鈴本8月下席昼

上野鈴本演芸場八月下席昼

川柳川柳の芝居。先日浅草で『パフィーde甲子園』を聴いたとき、なんとなく元気がないなと少し心配になったのだが、ちょうどすぐの鈴本下席で10日間主任を務めるので、様子を見に行った(お見舞いか)。

前座の三遊亭歌実(歌之介の弟子との由)がちょっと噛み過ぎだったのはまああれとして(『転失気』自体は悪くはなかった)、林家ぼたん『ぞろぞろ』から笑組の漫才まで、寄席の浅い出番の、それぞれになにかものすごいことがあるというわけでもない感じとしては、なんだかとてもよい心持ちで過ごした。

橘家圓十郎『強情灸』は、なにかぐっとつかまれるところはなかったのだが、なんだか若々しい『強情灸』で好感を持った。春風亭一朝『目黒のさんま』も、ただただ心地よかった。

一朝から笑組の爆笑漫才ときて、続く桂文楽『悋気の火の玉』だが、私にはどうも落語を落語たらしめる滋味のようなものが感じられず、ちょっと退屈した(そういう意味では、芸の味わいはもちろん違うが、先日浅草で聴いた林家正蔵の『悋気の火の玉』と、手応えとしては同じである)。

もっとも『悋気の火の玉』という噺自体に、たとえば色気や凄みや粋な感じや、嫉妬の怖さ、あるいは笑いの量がどれだけ必要なのかは知らない。文楽や正蔵のそれに対する感想は私だけのものかもしれないし、そしてそれは的外れなのかもしれない。

だから別に特定の噺家をくさそうというわけではないけれど、今年は『悋気の火の玉』を三回聴いたけれど(三遊亭小遊三、正蔵、文楽)、いずれもあまり心地よく聴いた記憶がない。噺自体は好きな噺なので、今なら誰の『悋気の火の玉』が私にとって心地よいのか、出会うべくして出会いたいと思った。

ただし文楽の場合、女中は今ではお手伝いさんという→家政婦は見た、だとか、今なら権妻がTwitterに書き込んで炎上、だとか、火の玉の飛ぶ様子をオスプレイに喩えたりだとか、少しくくすぐりの意外性や鮮やかさに欠ける憾みがあるとは思った。Twitterのくだりならどちらかというと発言小町などの投稿サイトのほうが例示としてはぽんと膝を打てるのだが、Twitterと言われるとネットと言えばなんでもTwitterかい、というような、おざなりさや底の浅さを指摘したい感情が聴く側に生まれてしまうように思う。ただ、狆を飼う代わりにドーベルマンを飼ったりして、からの流れで松嶋菜々子の件に言い及んだところは、個人的には好きだし笑ったが。

まあそういう見方でいくと、文楽の次に春風亭一之輔を持って来る顔付けは、結果として残酷なような気もした。一之輔は自分の子供のことを語るマクラから『初天神』を語り出す流れがぎゅっと締まりがあって見事。本編も無駄がないのになにか落語的な滋味が感じられて、匕首をすっと突きつけられるような感じの短いくすぐりにはっとさせられたり、とても引き込まれた。お父っつぁんと金坊とが実力伯仲というかいい勝負なのも、なんだかおかしな緊張感があって面白い。

あとは百栄『寿司屋水滸伝』(柳家喬太郎作)、歌武蔵の相撲ネタの漫談、喜多八『小言念仏』が可笑しかったかな。トリの川柳は、先日の浅草で聴いて少し元気がないなあと思っていたのだが、『ガーコン』はほぼいつも通りの迫力だったと思う。歌はまったく衰えていない。『ガーコン』を語り終えたあとの『マラゲーニャ』は、歌は相変わらずだが、ギターが前に聴いたときより縒れてる感じだったかなあ。なるべく聴けるうちに聴いておきたいと思う。

ところでトリが始まってから帰る客はなんなのだろう。川柳が嫌いなら高座が替わるときに変えればいいし、知らないならとりあえず最後まで聴いてから判断すればいいのに。いつもそうかは知らないが、途中で帰るのはおじちゃんおばちゃんの二三人連れが多かった気がする。あ、若者もいたか。

最後に備忘としては—

・笑組の漫才は、かつら、匂い袋など電車の中のスケッチと、かずおに喋らそうとして喋らせないネタ。後者は見事に爆笑。

・柳家紫文はまあいつも通りだが、いつも通り楽しんだ。一応かかったネタを列挙しておくと、まずは都々逸「いちゃいちゃしている二人の横で、いやいや首振る扇風機」「暑い暑いと思っていても、三月もせぬうち秋が来る」「人はバタンと倒れるけれど、会社はハタンと倒れます」、それからさのさ「うちのおじいちゃん帽子が好きで〜ボケ防止」(細かい文句は失念)、鬼平半可通で“糸屋”、“白鳳”、“綿屋”、“大仏”、大岡越前で“隠れ切支丹”と“山羊”。鬼平半可通“糸屋”のサゲがなんだったか、忘れてしまった。なんだったかな。

・歌武蔵の漫談は相撲ネタで、相撲界の矛盾や問題点を面白く揶揄するもの。さすがの説得力と、時折真面目そうな批判をすっとくだらない笑いに外していく間合いが可笑しい。

・ホームランの漫才は、最後にやった『東京五輪音頭』の勘太郎の歌とたにしの踊りが見事。まだまだ見てない芸がいっぱいあるんだなあと思わされた。

以下、この日の演目。

三遊亭歌実(前座)
 ・・・・・・・・・転失気
林家ぼたん・・・・・ぞろぞろ
花島世津子・・・・・マジック
橘家圓十郎・・・・・強情灸
春風亭一朝・・・・・目黒のさんま
笑組・・・・・・・・漫才
桂文楽・・・・・・・悋気の火の玉
春風亭一之輔・・・・初天神
柳家紫文・・・・・・三味線漫談
春風亭百栄・・・・・寿司屋水滸伝
(仲入り)
ストレート松浦・・・ジャグリング
三遊亭歌武蔵・・・・漫談
柳家喜多八・・・・・小言念仏
ホームラン・・・・・漫才
川柳川柳・・・・・・歌で綴る太平洋戦争史、マラゲーニャ

(追記)
Facebookの『落後総見』グループ(https://www.facebook.com/groups/rakugo99/)に、川柳の高座の模様だけちょっと報告しようと思ったら、思いのほか追記してしまったので、こちらにもそのまま転載する。

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昨日(8/28)上野鈴本下席昼、川柳川柳の芝居を見物してきました。

先日、浅草の中席夜の川柳『パフィーde甲子園』を聴き、ちょっと元気がないのかなあと感じたので(たまにそういうことはありますが)、鈴本の下席でトリを取るのだからと、誠に失敬ながら勝手に“お爺ちゃんの様子を見にいく孫のような心持ち”で、足を運んだ次第です(実際には、川柳は私の老父とほぼ同い年なのですが)。

で、この日はもちろん『歌で綴る太平洋戦争史』(ガーコン)をマクラもそこそこに三十分たっぷり。いつもの「もっと笑え」と客を叱る様子に少し迫力がないのかなあというくらいで、歌とジャズの口ラッパは相変わらず健在でした。途中、軍歌数曲を短くメドレーで歌うところなど、キーの違う歌を組み合わせているのに(多分)音程の狂いがないところなども含め、お爺ちゃんの昔話を聞かされているようでいて実は完成された芸であること、その見事さを改めて痛感しました。

『ガーコン』を語り終えたあと、まだ余興があるからな、といったん袖に引っ込み、ソンブレロとサラッペをまとって登場。これもお馴染み『マラゲーニャ』も演ってくれました(これがこの10日間の楽しみなわけですが)。

『マラゲーニャ』は、歌は相変わらずの高音のロングトーンが見事でしたが、ギターの演奏はだいぶ縒れが感じられたかな。以前はもっとしっかりしてた気がするのですが、どうだろう。先入見がそう感じさせたのか。

いずれにせよ、体力を使う芸ではあると思うので、お元気なうちに観られるうちに観ておこうと思った次第です。

ああ、ひとつ残念だったのは、川柳が本編を語り始めてから帰る客が目立っていたこと。元々嫌いなら高座の替わり目で帰ればよい。まあ寄席は客がいつ入るのもいつ出るのも自由ではあるものの、語り始めてから帰るのは、噺家にとっては痛烈かつ意地の悪い批評行為であると思うのですが、帰る人にその覚悟が果たしてあるのかどうか。冒頭だけ聴いてよほどこれはまずいぞと思ったのなら仕方ないですが、多分、帰って行く人には悪意はそんなにないとは思いますし、その悪意のなさは却ってタチが悪いのではなかろうか。知らなかったり好みでないなと感じても、たかだか三十分ほどなのだから最後まで聴いてみればいいのに、と私は思います。

あ、ちょっと興奮したらとつぜん思い出しましたが、柳家小せんの『ガーコン』は、今どんな感じなのだろう。継承されたというのをすっかり失念していましたが、もしご存知の方がいらしたら、おしえていただければ幸いです。
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2014年08月20日

8月まとめ(11〜20日)

8月11日(月) 朝9時過ぎ起床→昼過ぎまでぼー。ドレスに進呈するガラス福助洗ったりしたのみ→午後2時過ぎ、まずは下高井戸シネマまで歩く(夜の切符購入のため)→整理券は1、2番だった→世田谷線と都バスを乗り継ぎ渋谷へ→ドレスで一杯。というかビール小瓶×2と赤葡萄酒×4。O形も来てしばし歓談→ヤマダ電気に移動しO形の買物。アイロンと電気スタンド。どちらも別物(というと大げさだが)のように変わっていた→買物途中で具合悪くなり、お手洗いで戻す→井の頭線から京王線で下高井戸→JazzKeirinに駆け込み急いでカレーうどん(とビール)→開演ぎりぎりで下高井戸シネマへ。ジャック・タチ特集見物。整理券取った意味なかったが、最後列の端っこという我々にとってはベストポジションに座れた→まずはルネ・クレマン監督、タチは脚本と出演の『左側に気をつけろ』(1936)。スポーツネタのパントマイムで世に出たタチが、のちの仕事の中心となる映画で評判を取った作品だから、まあ出世作といってよいのだろう。教則本を(間違えて)読みながらのボクシングが可笑しい→続いてニコラ・リボウスキー監督、これもタチは脚本と出演の『僕の伯父さんの授業』(1967)。『プレイタイム』(1967)の撮影の(行き詰まった)合間に撮られた作品とのことだが、最後の場面で(多分『プレイタイム』用に作られた高層ビルが映ったと思ったら移動セットで、その向こうの汚い楽屋にタチが入っていく、というところは面白かったな。授業内容もなにを教えなにを学んでんだかよくわからなくて可笑しい。あ、これもスポーツネタが半分くらいだったか→そしてタチ監督・脚本・出演の『僕の伯父さんの休暇』(1953)。『僕の伯父さん』の続きだと勘違いしていたが、『休暇』のほうが先だった(『ぼくの伯父さん』は1958)。意味不明だが繰り返される食堂のドアのノイズ、細かい伏線と描写ながら回収しないギャグの応酬、迷惑な存在のはずのユロ氏をみんな遠巻きに優しく興味深い目で見ているところなどなど、見応えたっぷりだった。『左側』と『授業』は初見だが、これは30年ぶりの再開。見に行ってよかった→下高井戸からぶらぶらと歩いて帰る。楽しい映画のあとなので、帰り道も楽しい→すずらん通りのまいばすけっとなるスーパー(イオン系)で夜食など買い帰宅。結局夜食は食べなかった。午前1時過ぎ就寝。
8月12日(火) 朝9時頃起床。宿酔いではないが、久々にたくさん歩いたのと胃腸の疲れとで、身体が重い。浅草中席を見物に出ようかとも思ったが、今日は休むことにする→ほぼ終日横臥。昼に酎ハイ呑み午睡、起きて風呂、風呂上がりからだらだらと肴拵えつつまた飲酒→神代辰巳『嗚呼!おんなたち 猥歌』(1981)見る。中村れい子のデビュー作になるのかな。救いのない映画だが、角ゆり子と中村れい子のからみはよい→続いて新藤兼人『絞殺』(1979)。開成高校の事件(1977)がモチーフだし、岡真史『僕は十二歳』(事件が1975、詩集の出版が1977)や早稲田大学高等学院学生の朝倉少年祖母殺害事件(1979)、一柳展也の予備校生金属バット殺人事件(1980)を思い出し、その時代にあった亡母の思いを、音羽信子の芝居に重ねあわせて見た(当の私は呑気なものだったと記憶している)→夜11時頃就寝。
8月13日(水) 朝8時半起床→9時15分くらいに家を出たら、9時40分には老父宅着。早過ぎ。待ってても仕方がないので電話を入れ、9時50分くらいに出てきてもらって歯医者へ。東八も空いていて、10時過ぎには歯医者に着いてしまった。それから45分待ち→老父の治療が一時間くらいだったから、結局二時間近く歯医者でぼーっとしていた→いつもの生協に寄って買物。今日は自分の家の分も買った→老父宅で昼食。小一時間ほど。亡母の命日に集まる(一日前だが)相談をまとめる→帰宅、ビール、午睡→夜8時くらいに起床→晩のお供に中島哲也『告白』(2010)。この人の撮るものらしく、居心地悪いし後味は悪いが痛快な映画。松たか子の酷薄な中に微妙な可笑しさや育ちのよさが入り混じる感じもよいし、木村佳乃は見直した(というかTVでしか知らなかっただけだけれど)。録っといてよかった→夜1時頃就寝。
8月14日(木) 朝9時半起床→昨夜から続いたI井まさよのお子さんのHTML問題(背景画像をインラインフレーム内の背景を透明化し親ページの背景画像を表示)、多分解決→午睡→シャワー→久々に魚ケン。御酒二杯だけだし押さえたつもりだったが、けっこうお腹いっぱいになってしまった→時間がなくなりタクシーで下高井戸→下高井戸シネマにて、ジャック・ベール監督、ジャック・タチ脚本・出演『陽気な日曜日』とジャック・タチ監督・脚本・出演『トラフィック』。『トラフィック』でちょっとうとうとしてしまったが、どちらも鋭い笑いをちりばめたという作品ではなく、淡々とした中に妙な可笑し味が立ち上るという感じではあった。『プレイタイム』では相当凝って予算と制作期間を費やしたそうだが、『トラフィック』もなかなかのものではなかったかと思う(単純に登場するクルマの台数や種類が多いし)→下高井戸から歩いて帰宅→風呂→またひとつ、墓穴を掘り続ける案件を見てしまった(ろくでなし子釈放を求める署名に関するやり取り)。なんでその件で片意地を張っても泥沼になるということがわからないのだろうかと思うが、しかし自分がそういう物件の渦中にいたらどうか、それはわからない。気をつけるしかない→明日は早起きしたら青木家(自分ではない)の墓参に行こう。夜1時過ぎ就寝。
8月15日(金) 朝7時半起床→8時、多磨霊園に向けて出発→往きの甲州街道は、すでに調布インターチェンジ入り口がけっこうな渋滞だった→青木家(自分ではない)の墓は、お盆の時期だというのに恐らく5月の連休のときのものではないのか? と思われる花が朽ちていたので、全部下げ花置場に片付けた(通路のゴミはなかった)。今日はビールとハイライトはなし→早過ぎて深大寺の蕎麦屋は全滅。しかし、三鷹通りから甲州街道に出てみると、もうその辺り(のも少し手前)から下りは二車線ともに渋滞していた。早めに出たのは正解であった→甲州街道から吉祥寺通り右折しすんなり帰宅→そうめん啜りながら朝ドラ。『花子とアン』は内容が薄過ぎて、毎日ダイジェスト版みたいだな→早めの午睡→午後1時半過ぎ出発。まずはドレスで仕出し受け取りと昼食→吉祥寺でO形と待ち合わせ、老父宅へ。いろいろ頼んだうち酒を買い忘れたという連絡があったので、顔を合わせたときつい嫌味を言ってしまった。反省→老父宅では戦争関連の話の流れから、いつの間にか呑みながら『効果音大全集 空襲警報/兵器/進軍ラッパ』のCDを聴くことに。と、姉より電話がかかり、「自動小銃」や「迫撃砲」が鳴り響く中、老父が電話口で「こちらは大丈夫だから」と答えていた。笑った→老父が行きたそうにしていたので、さんざん呑んだあとだが三鷹のルパンに行くことに。料理は半分以上残った。五千円でこんなによいのだろうかという量だ。ドレス大丈夫か→ルパンに着いたがもうベロベロで、キーの合わない歌を平気で歌い恥をかくが、可笑しくてげらげら笑う。老父はさすがに今日もうまかった→11時近くにお開き。タクシーで帰る老父を見送り、電車で帰宅、即就寝。0時くらいかな。
8月16日(土) 朝9時半起床。宿酔いと腹下り→今日はO形実家にお邪魔する予定だが、到着時間をちょっと遅らせてもらう→新宿回り西武新宿線経由で花小金井。駅のパン屋で軽く食事→実家に着き、O形の本の整理をする。古い『宝島』に載ってるファッション写真は今となっては壊滅的にダサいが、雑誌自体はメジャーからいわゆるサブカルチャーまで網羅しているし、情報量も多くいろいろな方面に目が向けられていて、面白いと改めて思う→甥っ子のGちゃんが将棋を始めたというので試しに一局。まだコマの動かし方を覚えたくらいなので、駒落とさなかったのは申し訳なかったな。でもこちらも人と打つのはほぼ40年ぶりだし、ときどきうっかり凡手を打ったりした。また思い出す程度に稽古してみようかな→O形父君は次第によくなっている様子。今日もビールの焼酎割りを聞こし召していた。お歳を召される度に、戦争の記憶が鮮明になっておられるようだ→カレーライスをご馳走になり、8時くらいにおいとま。義兄夫婦に武蔵小金井まで送っていただき、吉祥寺〜下北沢経由で経堂、オダキューOXで買物して帰宅→風呂→『アオイホノオ』『タモリ倶楽部』『匿名探偵』見ながらビールと夜食→夜2時頃就寝。
8月17日(日) 朝10時起床。浅草中席は楽日にし、今日は身体を休めることにした→昼頃午睡→O形サイト更新(日記)→風呂→『家族狩り』見ながら晩。ちょっと間延びというか中ダレか?→夜割と早い時間に就寝(時間失念)。
8月18日(月) 朝8時起床。久々にステッパー5分→朝食後早めの午睡→昼は改造レトルトカレー。汗が吹き出た→『NHKスペシャル いつでも夢を~作曲家・吉田正の"戦争"~』見る。見てから調べたら、秋田の北嶋鉄之助(当時85歳)が『帰還の日まで』を歌ったカセットテープを公にしたのは2010年のことだった。まったく知らなかった。こういう“発見”とその記録は、実に素晴らしい。この番組は保存版→ステッパー5分→風呂→高円寺に出るが、ちんとんしゃんの会場が7時ということで、小腹も空いてたのでちんとんしゃん近くの武蔵野うどん屋でうどん啜る→7時過ぎにちんとんしゃんへ。客入りは満員(20名ほど)。開口一番は台所鬼〆『たがや』。夏を感じさせる小気味のよい『たがや』だった→続いて本日の主役、柳家さん生『落語版・笑の大学』。これは文句なく素晴らしい。詳しくはのちほど→打ち上げにも参加、☆夫妻、ルイちゃんと呑む。といっても明日早いのであまり呑まなかったが、いつも通りバカ話に興ずる→11時頃お開き(それでも二時間は呑んでたか)→電車で帰宅→『昼顔』見て就寝。夜3時頃。
8月19日(火) 朝8時前起床→午前中老父のつきそい。歯医者と生協→老父宅でうどん食べてからおいとま。今日は芦花公園脇の道に出ることに成功。こちらのほうが走りやすい→パワーラークスで肉魚類購入し帰宅→シャワー、ビール、午睡→下高井戸に出るのでJazzKeirinと思いきや、うどん玉が切れそうということで断念し、太田尻家に変更→太田尻家では軽く、うどん刺し、ポテトサラダ、ソーセージともやし炒めでビール二杯のみ。軽くのつもりが、これでけっこうお腹いっぱいになった→歩いて下高井戸→下高井戸シネマでは、いつもの落ち着く席取れる。あと、割引券を忘れて慌てて取りに帰ってから太田尻家経由だった次第だが、行ってみれば今日は割引日(ひとり千円)だった→長編デビューの『のんき大将脱線の巻(完全版)』(1949)と、そのきっかけとなった短編『郵便配達の学校』(1946)、あと日本劇場初の『フォルツァ・バスティア’78』(1978〜2000)→『のんき大将』は、撮影時に、カラーフィルム(当時開発中のトムソンカラー)とカラー撮影・現像などに失敗したときのための白黒フィルムの両方を使用。制作当時はプリント技術が確立できかったため、1949年に白黒版を公開。が、ジャック・タチ本人はカラー版に執着があったため、のちの1964年にタチが追加撮影と部分彩色した再編集版を制作、さらにタチの死後、発掘された制作当時のカラーフィルムをもとにジャック・タチの娘とシネマテーク・フランセーズが復元したカラー版(新のんき大将)が1995年に発表されている→で、今日かかったのは1949年の白黒版。今回の番組(ジャック・タチ映画祭)では「完全版」と銘打たれているが、これは1949年の公開当時にはカットされた17分の未公開シーンが追加された版だかららしい→なお映画館の係員に尋ねたところ、カラー版は配給会社が違うため、今回の番組には採用されなかったとの由。今回の番組は日本コロムビア、カラー版はザジフィルムズが配給→そういえば、『郵便配達の学校』のフィルムがかなり使い回されていたが、『のんき大将』の構想があった上で『郵便配達の学校』を(パイロット版的に)制作したのか、あるいは『郵便配達の学校』を制作してからそれをふくらまし、使えるフィルムを使い回したのかは今のところ不明→あと原題『Jour de fête』(祝日、祭日)がどうして『のんき大将脱線の巻』になったかも、(なんとなくはわかるが)今のところ不明。(不明というのは調べていないの意)→下高井戸から歩いて帰宅→風呂→ビール→『日本の話芸』の桂米助『表札』見るが、ナンセンスなのか人情噺なのかが噺の途中途中で判然としなくなってくる点など、あれれと思うところがいくつか。生で聴いたら面白いかもしれないが、不満を感じたのはまあ古い作品だからということもあるかもしれない(正確にいつの作品だかは知らないが)。今の世に合わせて少し改めたほうがよいのではないのかなーと思った→午前4時頃就寝。
8月20日(水) 朝8時45分起床→朝食抜きで、朝から浅草へ→一杯やらずに演芸ホール。昼の前座には間に合わなかったが、以降久々に夜まで通して見物。昼は住吉踊りもあり、お祭り風の賑やかさ、夜は無駄のない芸の数々をじっくりと、という感じであった。夜の仲入り前の三平の高座の際、東洋館で消化器が倒れて粉が吹き出し非常ベルが鳴るというトラブルあり。四回も五回も鳴ったので仕方がないとは思うが、軽く笑いでいなせなかったのは残念ではあった。客としてはそこを力技でなんとか、というところに期待してしまうのである→終演後あづまで純レバとおもったがふられて一代。近所の92歳というおばあちゃんがひとりで呑みにきてて、帰り女将が送っていくという展開に、なんだか目頭が熱くなった。お銚子三本で健全に帰宅→夜1時過ぎ就寝。

浅草演芸ホール8月中席昼夜

浅草演芸ホール八月中席昼『吉例納涼住吉踊り』および夜

とても久し振りに、昼夜通しで見物。10時間座り放しで、尻が痛くなる。

***

昼は住吉踊りが目当て。中席昼の出演者が次々に登場する賑やかな、雑な部分もご陽気な踊りで、夏の風情をたっぷりと味わった。色物の人たち(今回は涼風にゃん子金魚、青空遊平かほり、笑組のかずお、花島世津子、江戸家まねき猫など)の、普段とは違う姿が見られるのも楽しい。

今年の住吉踊りの演目は、『伊勢音頭』『奴さん』『お客さん』『幇間』『かっかれ』『ずぼらん』『三社祭』『深川』『かっぽれ』。『三社祭』の三遊亭小円歌の、華やかで大きく勢いのある踊りが見事。あと『幇間』の、若旦那(金原亭駒三)と幇間たちの小芝居や、『かっぽれ』で駒三がなかなか踊り出せず、歌の手助けを頼むと誰もまともに歌ってくれない、という小芝居も楽しかった。出演者が多く(総勢37名だとか)、出番や各場面での役割をメモ/記憶し切れなかったのが心残り。

前段の各高座は、夏祭りの芝居らしく各々軽いネタで賑やかしていくという感じだったが、印象に残ったものを列挙すると—

・笑組の漫才は、客いじりとかずおの歌ネタがかなり可笑しい。歌ネタは、母親と祖母に教わった、という設定の、カニが登場する意味不明な子守唄やいろはにこんぺいとう、鳥の名前を折り込んだ歌をネタにしていたが、かずおの歌がうまいのがまた妙に笑を誘う。

・にゃん子金魚、金魚の頭は“ビアホール”。ベルサイユ宮殿の話題からゴリラ振りへの移行が無駄に鮮やかなのが可笑しかった。

・三遊亭とん馬は、九官鳥の小咄と猿の運転の小咄で大受けしていた。ここから遊平かほりの漫才、三遊亭歌る多『替わり目』、柳家三三の『寿限無』を折り込みつつ落語を説明するような漫談という流れが、昼の前半の白眉だったか。

・歌る多『替わり目』は、女流でよく感じる男(旦那とかお父さんとか)の演技の無理な感じがないのがとてもよい。あと酒の話題で「最近は冷やといわずに常温というそうですね。北の将軍様みたい」というくすぐりがツボにはまった。

・花島世津子は髪型が変わっていた。いつ変わったかは知らないが、パーマ屋のお姐さんみたいな雰囲気になっていた。

・三遊亭吉窓『猫と金魚』から春風亭百栄の漫談、昭和こいる・あした順子の漫才、そして三遊亭歌之介の漫談までの流れも大きな山だった。この回は仲入りが多かったが、通常であれば仲入り前の大きな渦がここだったろうと思う。

・昭和こいる・あした順子は、歌うこいるの頭にハンカチを乗せたり取ったりする度に歌い方が二枚目と三枚目に変わる、というネタが異様に可笑しかった。あした順子は例のプリーツ・プリーズの跳び箱柄ワンピース。相変わらずカッコよい。

・歌之介がいつも何故あれだけ受けるのかは、研究すべきかもしれない。芸風は違えど、客を馬鹿な状態にして笑わずにいられなくしてしまうというのは、師匠圓歌と同質かもしれない、という辺りとか。

・柳家小菊と小円歌は、寄席の高座で共演するのは初めてとの由。『さんさ時雨』と、前座(柳家花どん)の太鼓を交えての出囃子(文楽『野崎』、馬生『鞍馬』、志ん朝『老松』)と、あともう一曲(失念)。手をつないでスキップしながら出てきたのには驚いたが、その出方と同じく、可愛らしくて色気のある高座だった。これはまた見たい。ふたりの三味線の間がときおりずれるのは、まあご愛嬌と思う。

以下、昼席の演目。

-昼席
前座・・・・・・・・間に合わず不明
春雨や雷太・・・・・元犬
古今亭ちよりん・・・やかん
翁家和楽社中・・・・太神楽曲芸
古今亭志ん陽・・・・他行
笑組・・・・・・・・漫才
古今亭菊之丞・・・・初天神
三遊亭金八・・・・・四人癖
(仲入)
すず風にゃん子金魚
 ・・・・・・・・・漫才
初音家左橋・・・・・酢豆腐
三遊亭とん馬・・・・小咄
宝井梅福・・・・・・山内一豊 出世の馬揃い
大空遊平かほり・・・漫才
三遊亭歌る多・・・・替わり目
柳家三三・・・・・・漫談
(仲入り)
花島世津子・・・・・奇術
三遊亭吉窓・・・・・猫と金魚
春風亭百栄・・・・・漫談
昭和こいる・あした順子
 ・・・・・・・・・漫才
三遊亭歌之介・・・・漫談(8/24追記:最後に向けて「感じの芋と竿の違いがわからない」と持ってくこの漫談は、『芋と竿』という題があるらしい)
(仲入り)
春雨や雷蔵・・・・・新聞記事
江戸家まねき猫・・・動物ものまね
鈴々舎馬風・・・・・漫談
(仲入り)
古今亭志ん彌・・・・浮世床
柳家小菊・三遊亭小円歌
 ・・・・・・・・・三味線共演
金原亭駒三・・・・・後生鰻
大喜利・・・・・・・納涼住吉踊り

***

夜は普段から好んで聴いている噺家が多かったのと(鈴本の柳家権太楼・柳家さん喬の芝居に行けなかったのもある)、仲入り前が林家三平、トリが林家正蔵というのがどうなるか、という興味で見た。

まず三平だが、相変わらず噛み勝ちというか、早口が縒れる。そして重たい。重たい車輪を無理に高速回転させているみたいでもある。

そんな感じで立川談志をネタにしたマクラを振ったとたん、非常ベルが鳴る。最初は笑いに転じようとしていたものの、二回三回と鳴るうちにおたおたしている感じが客席にも伝わってきてしまい、聴いてるこちらも落ち着かない。「古典に入るに入れない」と言いつつ(実際古典のネタを用意してきたかは知らないが)、父先代三平、母加代子のネタで様子を探りながら、結局漫談としても起伏がよくわからない塩梅で、最後まで非常ベル(都合四五回鳴った)に潰された格好になった。

仲入り後の小せんや喬太郎と比べてしまうと、非常ベルをうまく笑いに転化できてはいなかったのが残念だが、ただ高座の最中に四回も五回も鳴ったらそれも難しいかなとは思う。そこは同情すべきとは思うが、やはり総体的に、この人の、先代風の明るく軽さのある芸風で行こうとしているようなのに、なんかいつも妙な暗さと重さがあるところ(今回の非常ベルも、鳴る度に焦りが高じる様子が見え、高座が、内容は軽い感じの漫談なのに、少しずつ深刻な空気になっていってしまった)、その食い違いが、今のところ、裏目に出ているように、聴く度に思う。どうかすると、面白い要素にもなると思うのだが。

兄正蔵は『悋気の火の玉』。これがまた、凄みや色気がまったく感じられない、薄〜い感じの『悋気の火の玉』だった。あんまり“落語のにおい”がせず、私は物足りなかったけど、よくいえば“いやな落語臭さがない”“いろんな人が聴きやすい”ということになるのかもしれない。

まあなんたって落語会の若貴だから(って表現は果たして好意的なのか?)、兄弟ともに、今後10年くらい経ったらどうなるかなあという気持ちで聴くようにしようと思うが、やはりどうも、まだまだ贔屓にしたくはならないな。

順序が逆になるが、浅い時間に出た川柳川柳は、ちょっと元気のない様子だった。心配なので、というわけではないが、鈴本の下席昼は観にいってみようと思う。

柳亭市馬『手紙無筆』はいつも通り特に外連味はないが気持ちのよい高座だったが、手紙を読み始めるところで一くさり木遣りのような節を歌ったのがとても心地よかった。

市馬『手紙無筆』もそうだったが、柳家権太楼『町内の若い衆』や柳家さん喬『気の長短』は、若いお客が多かった所為か初めて聴く噺という客が多かったのか、笑いこそ多くはなかったけれど、それが退屈によるものではなく、高座に集中して耳を傾けている様子だということは、最後列に座っていた私にも伝わってきた。市馬、権太楼、さん喬でそういう空気がすっとできるところは、なかなかよい客が集まる機会に出会したのではないかとすら思った(悪い客だと勝手に退屈して、笑わないけどなんだか落ち着かない客席になるということもままあるのである)。

仲入り後の柳家小せん『犬の目』が、一切無駄がないなという高座で笑いを連発させ、これまた見事。小気味がいい。

林家種平『ぼやき酒屋』は、私は大好きな演目だしこの日も(ある程度細部まで知ってる噺なのに)大いに笑ったが、この日の客席とは少し掛け違ったのか、“もずく酢レーニン主義”などの駄洒落の連発も、笑いの連続に結びつくまで結構時間がかかっていた(なお噺は「ソースです」のところまで)。

とはいっても、この『ぼやき酒屋』から柳家小団治『権助芝居』と林家ぺーの漫談と徐々に盛り上げていくところは寄席ならではの楽しさで(林家ペーはいつも通りだったが、浅草を称して「メガロポリス」と言ったのには笑った)、そこから柳家喬太郎『ウルトラのつる』(しかもこんなマニアックなネタで)どかーんと客席を爆発させる流れには、やはり興奮を覚える。『つる』自体は閑雅で退屈なところが値打ちで、反対にそこにつまらなさや物足りなさ、噺自体の粗を見つけてしまったりするが、同じ構造で間をびっしり無駄な知識で埋めたらどうなるか、という発想とその実践には舌を巻かざるを得ない。

先述した早口の問題について言えば、喬太郎は三平に輪をかけての早口だったが、全部聴き取れるし重さや軋みや縒れはないし、ネタの密度に沿った話芸のスピード感がただただ心地よかった。こういうところで比べられてしまう環境でやり続ける以上、やはり精進に期待するよりないのである。

で、喬太郎の大爆笑から三増紋之助の曲独楽の客席の煽りっぷりへの流れも素晴らしく、もうこれ以上ないというくらい客席は暖まったのだが(ぱらぱらと空席のある状況から考えると、あの熱量はすごい)、そこに薄〜い『悋気の火の玉』というオチ。なかなか複雑な気分で、演芸ホールをあとにした。

ちなみに夜席ではSTAP細胞をネタにした人が多かったが、アサダ二世がマジックを始める前に「200回成功しましたから」と言ったのには虚を突かれて笑った。

林家正楽の紙切りは、線香花火を切ったあと、客の注文でこの芝居のときらしい“矢来町(志ん朝)”と、“宝船”“白鳳の土俵入り”“富士山”。

あと各高座以外での印象だが、この夜は(というか夏休みの時期だからか)、中には浴衣をきちんと着付けた、きれいで可愛らしい若い男女のお客が多く、鏡味仙三郎社中の太神楽曲芸やホームランの漫才に涼やかな黄色い声援が飛んでいて、これもまた夏の夜ならではの心地よさを彩っていたように思う。

以下、夜席の演目。

-夜席
三遊亭歌むい(前座)
 ・・・・・・・・・桃太郎
林家はな平・・・・・牛ほめ
川柳川柳・・・・・・パフィーde甲子園
アサダ二世・・・・・マジック
林家鉄平・・・・・・寄合酒
鏡味仙三郎社中・・・太神楽曲芸
柳亭市馬・・・・・・手紙無筆
ホームラン・・・・・漫才
柳家権太楼・・・・・町内の若い衆
柳家さん喬・・・・・気の長短
林家正楽・・・・・・紙切り
林家三平・・・・・・漫談
(仲入り)
柳家小せん・・・・・犬の目
翁家勝丸・・・・・・太神楽曲芸
林家種平・・・・・・ぼやき酒屋
柳家小団治・・・・・権助芝居
林家ぺー・・・・・・漫談と『ペーパー夫婦節』
柳家喬太郎・・・・・ウルトラのつる
三増紋之助・・・・・曲独楽
林家正蔵・・・・・・悋気の火の玉

2014年08月18日

柳家さん生独演会

高円寺ちんとんしゃんにて。

8月18日、柳家さん生独演会(高円寺ちんとんしゃん)にて、『落語版・笑の大学』(三谷幸喜原作)を聴く機会を得た。

初演が1999年だというのに、恥ずかしながら初体験。会場のご厚意でたまたま事前に今日の会の演目を知ることができ、やっとチャンス到来と出かけた次第。

ごく短いマクラからすっと噺の舞台である検閲取調室に入るところ、検閲官と喜劇作家の丁々発止のやり取りが笑いの渦を巻いていくところ(そしてその中にふっと力の抜けた笑いも差し挟まれるところ)、そこから検閲官の宣告によって一気にその場が凍り付いたかと思いきや、しかしその直後にふたりの暖かい心の交流が生まれるところなどなどの鮮やかさ、起伏の激しさに気持ちをもみくちゃにされた。

噺の流れの中に検閲官と作家の人物が、説明は多くないのにそれぞれの来し方も含めて鮮やかに浮かび上がってくる様(脚本自体のよさを活かしたと思われる演出)も見事。舞台劇の脚本をもとにした落語ながら、ごくごく落語らしい、そして素晴らしい人情噺として、とても深い感銘を受けた。

なお本日の開口一番、台所鬼〆『たがや』も、東京の主な花火大会は終わってしまったもののなお毎日暑い中、実に夏を感じさせる小気味のよい『たがや』だった。ああ、よい会だった。

高円寺ちんとんしゃんの落語会は、まず店自体が落語ととても馴染む空気なのがよいし、一番遠い席でも高座から2〜3m、寄席ならせいぜい二列めの真ん中10席くらいまでなので(高座がカウンターの高さなので、実際にはそこまでは遠くも感じない)、寄席やホールでは味わえない演者の表情や手の先の震えまで目の当たりにできるのも魅力だ。演者が身近にいてくれる(距離だけでなく打ち解け方も含めて)打ち上げも楽しかったな。またお邪魔したい。

2014年08月10日

8月まとめ(1〜10日)

8月1日(金) 朝9時半起床→昼をまたいでB電子原稿。新規分を先に提出→梅園の豆かんでおやつ。その後胡瓜とハムと玉葱のサラダでビール→夕方B電子もう一本提出→夜飲酒。『家族狩り』と『特命探偵』見たところでフェイドアウト。
8月2日(土) 夜中、なぜか寝床で逆さまに寝ているのに気付き、いったん起きて歯を磨いて、向きを直して寝直す→朝8時半起床→シャワー→朝から浅草へ→まず福ちゃんかな、と思ったが11時前では開いてなかったので(仕込み中)、水口食堂で一杯(ビール大瓶とハムエッグ)→浅草演芸ホールへ。今日もよい席に座れた。浅草ジンタよかったなあ。にゅうおいらんずは昇太が歌うという新機軸。なかなか複雑な感じでよい心持ちになった→ところで開演早々つまみ出された酔っ払いの先輩は、その後どうしたろうか→終演後駅に戻り、福ちゃんで一杯。ここの酎ハイは自分にはヤバいタイプかなあ、と思いつつお代わり。〆の焼きそばにカレーと目玉焼き乗せてもらったが、カレーはなくてもよいかもしらん→熱中症か?なにやらぐったりしたおばちゃんが座りにきて、店の人に声をかけられて出て行ったが、大丈夫だったろうか→浅草神社参拝→やはり福ちゃんでの酎ハイお代わりがやばかったらしく、浅草神社横の手洗いで戻す。戻したらすぐすっきりした→続いて曙湯。いつものコースだ→安兵衛はもう閉まっていたので、なってるハウスへ→鈴木常吉と高岡大祐のデュオ。楽曲ありきのライブでも、即興演奏の妙味はもちろん演者によるが十分に味わえるものだな、という当り前のことを考えた。新味のある技をこれでもかと披露したりはしない鈴木常吉は、一般的にはいわゆる“優れたインプロミュージシャン”の範疇には入らないかもしれないが、高岡大祐への即応性が今までに見たことのないような風景を醸し出していたという点では、ものすごく卓越しかつ独特の魅力を湛えた即興演奏者ではないかと思う。いろいろ言い出すと切りはないが、あと、前半の『アイオー夜曲』が終わったあと鈴木常吉が喋りながらなんとなくギターも鳴らしているところに、高岡大祐がテューバで応じていたのが、滅多にない音楽体験として印象深かった。ある種のギター・テューバ漫談めいた楽しさもあったし(いやそんなの聴いたことはないが)、楽器が鳴ってたから、というだけでなく、あそこも素晴らしい即興音楽だと思った。曲目は、

01 父のワルツ
02 田谷春望
03 アイオー夜曲
04 さびしい時には
05 思ひで
06 ワーリー・ブルース
07 ダーティー・オールド・タウン
08 水の中の女
(休憩)
09 疫病の神
10 ただ歩く人
11 夢つぶしの歌
12 くぬぎ
13 目が覚めた
14 アカヒゲ
15 鉛の兵隊
16 石

それにしても最後の『石』のアコーディオンは凄まじい響きだったな→終演後、常さん、高岡さん、あとようやく合えたY野さんと歓談。適当なところで切り上げ、一代にも寄らず、なぜか稲荷町まで歩いて電車で帰宅→何時に寝たかは不明。
8月3日(日) 朝10時起床→終日特になにもせず。昨日の日記や寄席レポートを書いたくらい→夜、B電子残りの一本に着手→夜中なんとかまとまるが、足りない要素が多い。週半ばにもう一仕事だな→シャワー浴びて一杯やって深夜4時過ぎ就寝。
8月4日(月) 朝8時起床→朝食抜きで浅草へ→と思ったら、電車に乗ったところでO形姉よりO形姉に電話。こんな時間にと不安になり、電車を降りてかけ直してもらうと、義父が転倒して骨折したという。慌てて予定を変更し、まずは見舞いに行くことにする→朝食摂ってなかったので、新宿に着いてから岐阜屋で一杯→慌てて食べ過ぎた所為か、西武新宿線内でちょっと具合悪くなる→花小金井駅着いてから喫茶店で休憩→駅前の花屋で見舞いの花を買ってタクシーでO形実家へ→義父は腰の圧迫骨折ということで寝ていたが、思ったよりは元気だった。よかった→ちょっと午睡させていただく→そうこうしているうちに、O形姉夫婦到着。私も手伝いながら寝室をものすごい勢いで片付け、新たに介護用ベッドを搬入、組み立て→寝室から運び出した荷物に整理が残るが、ひとまず義父が快適に介護用ベッドで過ごせるようにはなった→シャワーを借り、湯上がりにビールをいただいていると、義父が起きてきて、ビールと焼酎をやり始める。聞けば倒れてからの一週間も欠かしていなかったという。酒肴も並び、義姉夫婦が牛丼も買ってきてくれて、なんだか夏祭りの夜のような雰囲気になる。作業中もみな微妙に高揚していて嬉しそうだったり慌てたりしてたので、最終的にはとても面白い一日だった。面白いと言ったら不謹慎かもしれないが、面白かったのだから仕方ない→義姉夫婦に武蔵小金井までクルマで送ってもらい、吉祥寺経由で帰宅→さすがに身体は疲れたし荷物もあったので、経堂からはタクシーで帰宅→帰宅後、寝室を冷やして即就寝。夜8時頃か→深夜起床→日記書いて、明日の仕事の準備して、4時頃また就寝。
8月5日(火) 朝9時半起床→昨夜お土産にもらったすきやの牛丼を、ニンニク、生姜、トマトを加えてカレーピラフ風に改造。なかなかうまくなった→O形サイト更新(ギャラリーにトップ画像一覧追加)。作業は完了したが、漫画の新作情報を載せたばかりなので、公開は10日くらいにしようかな→ヨギの父上逝去との由。宗教が違うのでおかしいかもしれないがご冥福を祈ります。ヨギの息子のユータがFacebookに報せを載せていたので、O形経由でメッセージを送る→午睡→シャワー→阿佐ヶ谷へ→まず四文屋で金宮サワーと金宮梅割り(栃尾油揚小、鶏皮、つくね、カシラ、トロ)→SOUL玉Tokyoに移動し生ビール、ハーパーロック×3、カレールー(クラッカー添え)→スーマー(桜井芳樹+茅ヶ崎学)のライブもまたよかった。細かいところと、桜井芳樹のギターまたはブズーキのソロ(06『別れ』、07『道路』、09『死んだ男の残したものは』、12『ミンストレル』など)以外は録音と同じ印象だが、その安定感が一種の持ち味だと思う。02『僕が家を出る理由』では、今月が亡母の命日ということもあって泣いた。茅ヶ崎学がとてもよいベース弾き/音楽家であることも、今日改めて実感。曲目は、

01 古いフレイトレイン
02 僕が家を出る理由
03 火鉢
04 The Poor Old Dirt Farmer
05 Goodbye Jaqueline
06 別れ
07 道路
(休憩)
08 にぎわい
09 死んだ男の残したものは
10 雨がひらひら
11 New Moon
12 ミンストレル
(アンコール)
13 人生行きあたりばったり

→スーマーさんから特典ディスクを受け取り、桜井さんにもご挨拶して帰宅→シャワー→BCCKSから気持ちの悪いメールが届いたので腹を立てる→夜2時頃就寝。
8月6日(水) 朝8時前起床→ご飯とおつけだけの朝食ののち、老父宅へ→いつもより早め(9:40くらい)に着き、老父を拾って富士見ヶ丘の歯医者へ→治療は一時間ちょっと。ぼーっと待つ→人見街道と裏道を通って牟礼の生協へ(人見街道から生協への裏道は、前もって調べておいたものと全然違う道程で、人見街道沿いにふたつある社の最初のほうを過ぎたところで裏道に入ってしまったが、結果的にはこちらのほうが近道だった)→老父の買物につき合ったのち、老父宅に戻り、昼食→1時過ぎにおいとま→すんなり帰り、シャワー、ビール、午睡→午後中寝る。19時前起床。まだ眠い→晩飯後、また寝ることにする。夜10時くらい。
8月7日(木) 深夜2時起床→4時くらいからのそのそと仕事を始め、6時過ぎにB電子のあれの第二稿完了。かなり完成度は上がったと思う→6時半頃いったん就寝→9時頃起床。朝食→昼までごろごろ→昼しらかめ。店で待ち合わせたら、O形が鬼太郎、私が河童のTシャツだった。しらかめ夫人には褒めてもらえた→81ベーカリー、ピーコック、河内屋、梅田青果と買物。あとすずらん通り入り口の履物屋で雪駄を買う。すごい親切な親父さんで感激した。履物はあまり買わないが、できるだけ贔屓にしたい→帰宅してシャワー浴びてアイスクリーム食べてから午睡→午睡から醒めて飲酒と晩飯とTV鑑賞。圓生『唐茄子屋政談』聴いていろいろ考えたり→『昼顔』は、まあ見てもいいがどっちでもいいか。昼ドラでガツンとやってほしいとは思う→夜0時前就寝。
8月8日(金) 朝8時半起床→O形館山に出発→昼は鯵の干物などで一杯。三隅研次『婦系図』(1962年、市川雷蔵主演)見て泣く→午睡→B電子のものづくりなんとか申込書、一応終わったようなので、今月のここまでの請求書制作→なんとなく校正してみたら誤字脱字があったので連絡。折り返し現状のレイアウトが帰ってきたので、これも校正→豆炊いたのと昆布の佃煮作る→シャワー→豆と昆布で呑み始めながら、『剣客商売(鬼熊酒屋と三冬の縁談)』『家族狩り』『匿名探偵』『タモリ倶楽部』『アオイホノオ』見る。『タモリ倶楽部』は企画も人選もよいのに時間が足りないのかほとんど面白くなかった。こういう回も実は珍しいのかも→夜2時過ぎ就寝。
8月9日(土) 朝9時ちょっと前起床。今日は涼しい→録画DVDの整理を初めて絶望感を覚える→シャワー→昼食がてら『くノ一忠臣蔵』見る。原作は山田風太郎『忍法忠臣蔵』→続いて牛すじ煮込み作りながら『おんな牢秘抄』見る。こちらも山田風太郎原作。どちらも映像化としてはつまらなかった。前者だとくノ一、後者だと大場久美子など、見所はあるけれど→さらに続いて山下敦弘『リアリズムの宿』(2003年。つげ義春原作)見る。ちょっとジャームッシュっぽくもあり、意外なところで意外な笑いを笑う。意味のわからなさもあるが、それを最小限に押さえている辺り、独りよがりの学生映画っぽくて実はそうではないという手練を感じさせられた。尾野真千子が出てるってのは知らなかったなあ→牛すじ煮込みはなんだかうまくできた。丸福の夏煮込み風をちょっと意識したら、ならもう少しカイエンペッパーが多くてもよかったかな。二杯目にガラムマサラをちょいと振りかけたら、カレーすき焼きの趣きあり→『漫才大行進ゲロゲーロ』見て就寝(『笑う洋楽展』はやらなかった)。夜1時くらい。
8月10日(日) 夜中ちょいちょい起きつつ、朝10時過ぎ起床→起き抜けに雨脚強くなり雷も→深夜帰宅したO形いわく、Mまるこさん(旅行ご一緒した)ご近所との由。びっくり→昨夜作った牛すじ煮込みをそうめんの汁と具にしたら(生たまご追加)、思いのほかうまかった。思わずビールを開ける→昼過ぎまでごろごろ→午後、O野さんへ北千住呑みの連絡と、O形サイトのギャラリーの更新→午睡→結局眠れなかったので、録画しておいたNHK『深東京コネクション~新宿三丁目界隈~』の録画見る。鈴木砂羽は好きなので面白く見たし、知らない話もいくつかあったが、まあそれでも知ってる話のほうが多かったし、最後にたっぷり紹介されたのがマルゴだったりしたので、総じて言えば興醒めな番組であった。あとごく個人的には、“新宿三丁目”と銘打ったら伊勢丹や中村屋やタカノはさーっと(しかし必要最小限の漏れなく)紹介して“あの界隈”に時間を割いてほしかったな→結局『笑点』見てから少し眠る→起きてシャワー→『浅草お茶の間寄席』録ったつもりが録れてた三崎港の祭りの番組見ながら、O形土産の鯨ベーコンで一杯。この鯨ベーコンはうまかった→夜0時頃就寝。

2014年08月02日

浅草演芸ホール8月上席昼

浅草演芸ホール八月上席昼 夏休み特別興行前半

毎年八月の恒例となった浅草演芸ホールの噺家デキシーランドジャズバンド「にゅうおいらんず」ライブ。

今年は、創設メンバーかつステージでは司会進行も務めていた三遊亭右紋がとても残念ながら一月に逝去し、夏の公演はどうなるのかな、と思っていたが、アロハマンダラーズでギターを担当する春風亭柳橋がギターバンジョー(バンジョーのボディーながらギターと同じ6弦構成・同じ調律の楽器。ギターと同じ奏法で、バンジョーの音色が出せる)として参加。今年も例年通り、八月の上席昼を沸かせてくれることになった。

そして今年は、もうひと組バンド—5日までの前半のみの出演だが、落語芸術協会所属でも知られる浅草ジンタが出演。つかみこそ『笑点のテーマ』を演奏したものの、いわゆるボーイズもののような笑いを提供してくれるわけではないし、いつもの高速スラップベース中心のハード・マーチの趣きはそのままだが、それが寄席の音響にも不思議とよく合っていて、恐らく普段若いバンドなど聴かないであろう年齢層のお客も、自然と手拍子を打ち、楽しんでいた。演奏はもちろん、そのお客の姿にもなにか目頭が熱くなるものがあった。(ちなみに、にゅうおいらんずの正式メンバーとなったソプラノサックスのミーカチントは、元は浅草ジンタのメンバー)

で、にゅうおいらんずの今年の新機軸は、春風亭昇太の歌唱! これから聴きに行かれる方のために曲名は伏せておくが(上席が終わったら追記する)、とつとつとした歌い方が意外にその楽曲に合ってるし、あんたがその歌詞歌うか! という可笑しさがなかなかの味わいだった。

#春風亭昇太が歌ったのは『私の青空』(My Blue Heaven)でした。独身が売り物の昇太が歌う「♫狭いながらも楽しい我が家〜」という歌詞について、演奏終了後、案の定小遊三に突っ込まれていた。(14.8.11追記)

新メンバーの柳橋のギターバンジョーは、バンジョーの不在を十分サポートしてはいたが、もう少しギターバンジョーとしての存在感が出てくるといいなと思った。これはまた来年の楽しみ。バンド全体は、安定かつグルーヴ感満載のリズム隊はいつも通り、三遊亭小遊三のトランペットと昇太のトロンボーンは腕を上げていたように思う。

ちなみに今年は、小遊三—昇太のみのトークタイムはなく、四曲めの『ハロー・ドーリー』のあと全員が高座に残る形でお喋りと手拭いプレゼントのコーナーとなっていた。昨年までの、一番演奏が過酷なこの二人を残し他のメンバーが楽屋に引っ込んでしまうというネタも可笑しかったのだが、今年は今年なりに楽しませてもらった。なおトークタイムは昨年までと異なる趣きだったものの、ライブの終わりはいつも通り、お馴染みのサゲで笑わせてもらった。

落語や他の演芸も、夏のお祭りらしく、普段の寄席と比べて独特の高揚感があり、ほかの季節にはない寄席の味わいを味わえると思う。前座の古今亭今いちの妙なハイテンションが意外に印象に残る存在なのを知ったのもこの日の収穫だったか。かけたネタ(動物園)も意外にしっかりしていて楽しめた。千葉大学の落研の出身で古今亭今輔の弟子、今後どう化けるのかちょっと楽しみに思った。

浅草ジンタのあとの三遊亭遊史郎『たがや』は、本編に入る前のマクラしか演らなかったが、花火の掛け声を指南するくだりの「玉屋〜」の異様に長い掛け声が見事かつ可笑しい。たまたまおとつい三遊亭萬窓でも『たがや』聴いたので、(遊史郎はマクラだけとはいえ)その違いも楽しめた。

あとはぴろきのギタレレ漫談と古今亭壽輔『しりとり都都逸』、宮田陽昇の漫才、笑福亭鶴光『袈裟御前』がとりわけ笑いの渦を渦巻かせていた。ぴろきは、いつも以上に受けていて、実際笑いの渦もいつも以上にぐいぐい来る感じがあったように思った。自虐の感じが、これまで聴いてきた経験ではすーっと消えていく儚さが特徴だと思っていたのだけれど(まあたまたまそういうときに当たっていたのかもしれない)、この日はちょっととんがった感じというかざらざらした感じというか、そういう手応えだった。笑いの量だけでいえば、ここまででは一番だったかな。

ボンボンブラザースのおふたりは、暑い盛りに揃ってジャケットの下にベストを着込んで蝶ネクタイ、なのに涼やかで、いつもながらなんとも粋だった。

以下、この日の演目

古今亭今いち・・・・動物園
三笑亭遊夢・・・・・平林
浅草ジンタ・・・・・笑点のテーマ、百万光年の彼方から、男はつらいよ
三遊亭遊史郎・・・・たがや(の手前まで)
三遊亭遊之介・・・・浮世床
ぴろき・・・・・・・ギタレレ漫談
春風亭柳橋・・・・・小言念仏
瀧川鯉昇・・・・・・うなぎ屋
ボンボンブラザース
 ・・・・・・・・・曲芸
桂伸乃介・・・・・・気の長短
古今亭壽輔・・・・・しりとり都都逸
宮田陽昇・・・・・・漫才
笑福亭鶴光・・・・・袈裟御前
春風亭昇太・・・・・漫談
北見伸&スティファニー
 ・・・・・・・・・奇術
三遊亭小遊三・・・・悋気の火の玉
(仲入り)
噺家バンド大喜利 にゅうおいらんず(デキシーライブ演奏)
-曲目
導入 聖者の行進
01 タイガーラグ
02 私の青空
03 ハロー・ドーリー
04 セントルイス・ブルース
05 聖者の行進

-メンバー
ギターバンジョー・・春風亭柳橋
ソプラノサックス・・ミーカチント
トランペット・・・・三遊亭小遊三
トロンボーン・・・・春風亭昇太
ピアノ・・・・・・・桂伸乃介
ベース・・・・・・・ベン片岡
ドラム・・・・・・・高橋徹

余談になるが、この日の浅草演芸ホール昼席、幕開けから最前列に泥酔した先輩がいて、すごい変な間で大声で笑ってるなあと見てたら、高座の芸人に話しかける頻度が高くなってきた。

と、浅草ジンタが出る前にいったん幕が下り、ホールの係員(不埒な客がいるといつも毅然と対峙しているお兄ちゃん)につまみ出されていた。お兄ちゃんの「うちは金払や何やってもいいとこじゃねえんだよ」って一言がよかったな。先輩もまあ、可愛らしいものだったけれど。

番組の内容とは関係ないが、こういう光景は浅草以外の寄席ではほとんど見られないので(何年か前に池袋演芸場で酔漢が暴れたか粗相をしたか、という話を耳にしたことはあるけれど)、記しておく。

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